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異世界住人譚~ショートショート集~  作者: nireron


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誰も見ていない場所で、毎朝剣を磨き続けた

「辺境送りは、出世を諦めた者の場所だ」と先輩に言われた。

それが正直なところだ、と思いながら私は荷物を担いで山を越えた。

着いた村は小さくて、魔物の出没が絶えない土地だった。

隊長は無口な老兵で、初日にこう言っただけだった。

「毎朝、村の外の道を歩け」

理由も聞けないまま、私は毎朝歩いた。

三週間が経つ頃、わかってきた。

魔物の足跡。

押し倒された草。

土の乾き方。

隊長はそれを「読む」训練をさせていたのだ。

ある朝、森の奥に大型の魔物の痕跡を見つけた。

村の方角に向かっている。

私は走って戻り、村人を避難させた。

魔物が来たのはその二時間後だった。

被害はなかった。

村長が私に頭を下げた。

「ありがとう」と。

隊長は何も言わなかった。

ただ、剣の手入れを続けながら、少しだけ口の端を上げた。

名声も勲章も、ここにはない。

でも毎朝、誰かが安心して目を覚ます。

それで十分だと気づいた時、私はここが好きになっていた。

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