42/57
聖剣は、俺じゃなくて隣の少女に輝いた
聖剣の試練に、俺は三回挑んだ。
一回目、剣は動かなかった。
二回目、剣は静かだった。
三回目、剣は俺を弾き飛ばした。
見物人が笑った。
神殿の司祭が「縁がなかったのです」と穏やかに言った。
悔しくて、翌日また神殿に来た。
そこに一人の少女がいた。
旅の途中で迷い込んだ、と言っていた。
「あの剣、抜いてみてもいいですか?」
司祭が苦笑した。
「どうぞ、お試しください」
少女が柄に触れた瞬間、剣が光った。
青白い光が神殿中に広がった。
少女は驚いて手を離した。
だが剣は、少女の手を追うように浮き上がった。
「嫌です。私には似合わない」
「なぜ」と俺は思わず聞いた。
少女は困った顔をした。
「私、平和が好きなんです。剣なんて、持ちたくない」
俺は笑ってしまった。
聖剣に選ばれた者が、剣を嫌いだった。
俺はその日から少女の護衛になった。
彼女が聖剣を使わなくて済むように、俺が前に立つことにした。
それが俺の使命だと、今は思っている。




