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遺跡から出た箱は、開けた者の願いを一つ叶えた
箱を見つけたのは、三人だった。
俺と、傭兵のライラと、学者のゴードン。
ゴードンが箱を調べた。
「これは古代の意志機械だ。持ち主の願いを読み取り、実現する。ただし、一度だけ」
ライラが言った。
「じゃあ誰が使う?」
誰も答えなかった。
俺にも願いはある。
死んだ弟を生き返らせたい。
でも言えなかった。
その夜、箱が光った。
誰も触れていないのに。
翌朝、ゴードンの長年探していた古文書が机に置いてあった。
ライラの腰の古傷が、嘘のように消えていた。
二人の願いが、叶っていた。
俺の番がくると思った。
でも箱は黙っていた。
俺はゆっくり聞いた。
「なぜ俺だけ叶えない?」
箱からは何も答えがなかった。
ふと気づいた。
俺が本当に願っていたのは、弟の復活じゃなかった。
弟に「ありがとう」と言いたかっただけだ。
その夜、夢に弟が現れた。
笑って、頷いた。
箱は俺の願いも、ちゃんと叶えていた。




