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異世界住人譚~ショートショート集~  作者: nireron


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38/58

島が落ちると知ったのは、島を愛してからだった

浮遊島に着いたのは、嵐で船が壊れたからだ。


雲の上に集落があった。

百人ほどの住人が、静かに暮らしていた。


畑を耕し、鳥を飼い、夕方になると全員で星を眺める。


俺はそこで一年過ごした。


島の長老は百年近く生きていた。

ある夜、俺に言った。


「島はあと五年で落ちる」


「なぜですか。」


「島を浮かべている石が、少しずつ力を失っている。古代の石だ。無限には続かない」


「なぜ住民に言わないのですか?」


「言ったら、どうする。逃げるか? どこへ? この島の外に、行く場所がない者も多い」


俺は黙った。


「私は長老として、ここで生まれてここで死ぬ。残り五年を、精一杯生きる。それだけだ」


老人の目は穏やかだった。


翌朝、島の子供たちが駆け回っていた。

声が澄んでいた。

笑い声が、雲に溶けていった。


俺は島を離れる日、振り返った。


島はまだ、ゆっくりと浮かんでいた。

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