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異世界住人譚~ショートショート集~  作者: nireron


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33/57

兄上は、俺に負けたふりをした

剣の試合で、俺が兄上に勝った日のことを覚えている。

群臣が沸いた。

「第二王子の剣技、見事なり」と。

俺は誇らしかった。

でもその夜、侍女を通じて手紙が届いた。

兄上の筆跡だった。

「よく気づかなかったな。俺は三度、隙を作った」

読んだ瞬間、膝が折れそうになった。

翌朝、兄上の部屋を訪ねた。

「なぜ、負けたふりを」

兄上は窓の外を見ながら言った。

「お前に王座が必要だからだ」

俺は意味が分からなかった。

「俺より兄上の方が、王に向いている」

兄上は静かに笑った。

「王に向いているのはお前だ。俺は、頭が切れすぎる。切れすぎる頭は、正義より策略を好む。俺が王になれば、この国は強くなるが、民は疲れる」

窓の外では、城下の炊煙が上がっていた。

「俺がお前の剣術師範になれば、それで十分だ」

俺はその日初めて、兄上という人間の深さを知った。

そして思った。

この人のそばで戦える王になろう、と。

王座に就いた日、俺の隣には兄上がいた。

剣を抜いて、守る立ち位置に。

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