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浮遊島の午後、命の等価交換
浮遊島の午後
空に浮かぶ島の修理工として働く俺は、今日も下界を見下ろしながらボルトを締めていた。
いつか地上に降りてみたいと言うと、同僚の少女は笑って「ここが世界のすべてでいい」と答えた。
揺れる足場で交わす他愛ない会話が、いつしか離れがたい時間になっていた。
浮遊島が落ちるか、俺たちが飛び立つか、そのどちらかの日がいつか来ると分かっていても、今だけは風の音を聞いていたかった。
命の等価交換
村を救うためには、一人の命を差し出さなければならないと、古い石板には刻まれていた。
候補として選ばれたのは、病弱でいつも笑っていた幼なじみだった。
彼女は「みんなが生きるなら、それでいい」と笑うが、その笑顔こそ守りたいと俺は思う。
命は本当に天秤にかけられるのかと、自分の胸に問い続けながら、石板を砕くための別の道を探し始めた。




