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赤字ダンジョン、封印されし約束
赤字ダンジョン
開業したばかりの俺のダンジョンは、今日も冒険者が来なくて真っ赤な帳簿とにらめっこだ。
罠の設置費用も魔物への餌代も、全部ツケが回ってくる。
思い切って入口に「初心者歓迎」と書いた看板を出したら、震える手で木の棒を握った少年がやってきた。
危険なルートをそっと封鎖し、宝箱の中身を少しだけ豪華にすり替える。
彼が満面の笑みで帰っていったあと、利益は相変わらず赤字だったが、口コミ欄に増えた星ひとつが、俺には十分な黒字に見えた。
封印されし約束
古城の地下に眠る魔物の封印を、代々守ってきた家の長男として俺は育った。
友人も恋も諦めてきたが、今日初めて封印の間に侵入者が現れた。
彼女は「世界を救うため」と言い、封印を解こうとする。
俺は家の誓いと、彼女の必死の瞳のあいだで揺れる。
誰かの未来を守るために、何を犠牲にすべきかと問われている気がした。




