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スライムの約束、落ちこぼれ補習室
スライムの約束
気づいたら透明な身体になっていて、地面の石ころと同じ目線で世界を見上げていた。
村人に石つぶてのように追い払われても、痛みは水音のように広がるだけだ。
ただ一人、森で迷った子どもだけが、震える手で僕をすくい上げた。
泣き止ませようと、足元の光るきのこを集めて道しるべを作る。
「また遊びに来るね」と言われたとき、かつて人間だった記憶の奥で、守りたいという感情だけがくっきりと形を取り戻した。
落ちこぼれ補習室
魔法学園の最下層、窓のない小さな部屋が補習室だった。
呪文の発音を何度も間違えて、火花ひとつ出せない生徒だけが集められる。
担当教師は、教科書よりも生徒の家庭の話をよく聞いた。
「魔力が弱いぶん、手先が器用なんだね」と言われ、初めて魔法陣のチョークを自分のやり方で引いてみる。
小さな灯りがぽっとともった瞬間、暗い部屋にいた全員の顔が、一斉にこっそり誇らしくなった。




