王子たちの登場①
殿下――。
私はぼんやりと三人を眺めた。
先頭を歩いているのは、一際背の高い青年だった。
年齢は二十歳前後だろうか。
淡い金色の髪は綺麗に整えられ、青みがかった瞳には知性を感じさせる。
身につけている衣装も上質なものらしく、白を基調に金の刺繍が施されている。
立ち姿には隙がなく、周囲の人間が自然と道を譲ることにも慣れているようだった。
いかにも――王子様。
そんな言葉がぴったりくる人だった。
その後ろを歩く二人も、兄とはまた違った雰囲気をしている。
二人目は、兄よりも少し背が低い。
赤みを帯びた茶色の髪に、鋭い目つき。
整った顔立ちではあるものの、どこか人を食ったような笑みを浮かべている。
身体つきも三人の中では一番がっしりとしていて、腰には剣が差されていた。
見るからに――俺様。
そんな印象だった。
そして最後の一人。
まだ少年らしさの残る顔立ち。
兄たちよりも幼く、柔らかな金髪が額にかかっている。
大きな瞳には素直そうな光があり、二人の兄について歩く姿は、どこか小さな弟そのものだった。
三人とも、顔立ちだけを見れば驚くほど整っている。
これが、この国の王子様なのだろうか。
私はそんなことを考えながら、三人の姿を眺めていた。
けれど――。
三人の視線は、私のところには一度も向かなかった。
「……?」
そのまま三人は、私のすぐ近くを通り過ぎていく。
そして。
中央に座り込んでいる、もう一人の少女へと向かった。
「やあ」
先頭の青年が、柔らかな笑みを浮かべる。
「君が異世界人だね。お会いできて光栄だよ」
「えっ……あの……」
突然声をかけられた少女は、戸惑ったように瞬きを繰り返している。
当然だろう。
私だって、まだ何一つ状況を理解できていない。
それなのに、目の前の青年はまるで当たり前のように彼女へ話しかけている。
「へぇ……」
二人目の青年が、少女の姿を上から下まで眺める。
そして、ニヤリと笑った。
「可愛いじゃん」
「え……」
「こんな薄暗いところにいる必要なんてないだろ?」
そう言って、少女との距離を詰める。
「とっととこんなところ出て、俺たちとゆっくりディナーでもしようぜ?」
「え、えっと……」
少女はますます困ったような顔をする。
すると今度は、三人目の少年が少女の前にしゃがみ込んだ。
「お姉さん、何が好き?」
「え?」
「食べ物。お野菜? それともフルーツ?甘いものもあるよ」
少年は純粋に尋ねているようだった。
けれど、少女は完全に置いてきぼりにされている。
「えっと……その……」
三人の王子たちは、そんな彼女を気にする様子もなく楽しそうに会話を続けている。
まるで、ここに来た理由も。
私たちがどういう状況なのかも。
何も説明する必要などないとでもいうように。
私はその光景を、ただぼんやりと眺めていた。
……なんなんだろう。
この人たちは。
そんな疑問が浮かんだ、その時だった。
「殿下」
少し離れた場所にいた魔法士が、おずおずと声をかけた。
「ん?」
第一王子が振り返る。
「……もう一人、異世界人がいます」
「…………」
空気が止まった。
三人の王子が、ゆっくりとこちらを見る。
そして。
初めて、三人と目が合った




