第1章 【 漆黒の幕開け 】
そして運命の日が訪れる。
ジュニアが友好国・湯田圃共和国と共に、
仮想敵国であるイーロンパ神国の軍事施設に対して
「大規模な攻撃を実施した」と発表したのだ。
世界経済の歯車が狂い出す。
私の復讐の歯車が、音を立てて回転を始めた。
第1話【 スキャンダルと相場の罠 】
攻撃発表直後の市場の反応は、驚くほど鈍かった。
専門家の大半は、
「数日で終わる小規模な紛争に過ぎない」と高を括り、
株式市場も原油価格も小幅な上げ下げを繰り返すばかりだった。
花札財閥の息がかかった経済アナリストたちも、
「大統領の決断は世界に平和をもたらす」
などと、テレビで気色の悪い賛辞を並べていた。
しかし、私の予測は違った。
全知全能のチートが示す未来は、そんな生易しいものではない。
イーロンパ神国は、外見の虚飾とは裏腹に、
驚異的な軍事力と徹底抗戦の備えを隠し持っていた。
戦闘が始まって数日、
イーロンパ軍は瞬く間に反撃に転じ、
世界中に致命的な経済的打撃をもたらす
最重要の要衝・アニハカランヤ海峡を完全軍事封鎖したのである。
世界経済は一瞬にして未曾有のパニックに陥った。
原油の流通ルートが断たれたことで、石油関連資源の価格は歴史的な暴騰を記録。
市場の指数先物は底が抜けたように急落し、世界中の投資家が阿鼻叫喚の地獄絵図へと引きずり込まれていった。
その中で、唯一笑っていたのは私と、
私の進言を信じて巨額の賭けに出たSSFファンドだけだった。
SSFは空売りと原油買いのダブルで空前の巨額利益を叩き出し、その名は瞬く間に世界中の金融界に轟いた。
この功績により、私は入社間もない身でありながら異例の大抜擢を受け、栄誉ある「シニアアナリスト」へと昇格を果たしたのだ。
私は、ジュニアに仇名を付けた。
豚醜毒悪餓鬼だ。
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パニックの最中、
花札財閥も戦争特需で一見して巨額の利益を得ていたように見えた。
だが、それは表向きの姿に過ぎない。
私は知っていた。
大統領であるジュニア自身が、
この軍事侵攻のタイミングと
海峡封鎖の機密情報を事前に察知し、
身内や関連企業を総動員して
「超インサイダー取引」を
極秘裏に実行していたのだ。




