表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『境界断ちのノベェンタ』 〜観測整合維持局 第七補正執行室 野部遠汰の場合〜  作者: nobunobuwo


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
96/183

第九十六話 「文明というものは、“何を高度知性として定義するか”で未来が変わるので、ベルタリュオンはついに“ツッコミ能力”を研究し始めました」


 ベルタリュオン。



 中央観測都市。


 第七感情解析研究機構。


 白かった。


 無機質。


 静寂。


 巨大空間内では、無数の光粒子が浮遊している。


 感情抑制区域。


 会話音量制限。


 精神波動安定化処理済。


 完全管理社会。



 だが。


 最近。


 異変が起きていた。


【地球接触個体】


【精神安定率向上】


【生体崩壊減速】


【感情波形正常化】



 研究員達は、沈黙していた。


 理解不能。


 中央スクリーン。


 映像。


 地球。


 東央マテリアル。


 地下第三層。


 そこでは。



 佐伯が叫んでいた。


「だからなんで会議室で焼きそば焼いてるんですかぁ!!」



 野村部長。


 鉄板。


「いやぁ〜、お昼まだだったからぁ〜」



 キノピー。


 ソースまみれ。


「にゃははは〜♡」



 リゼ。


 焼きそばへ月光石を置こうとしている。


「ソースって、“地球の陽エネルギー”強いのよね」



「食べ物へ石置かないでください!!」



 研究室。


 沈黙。


 ベルタリュオン研究員Aが呟く。


「……何故、あの個体は」


「全状況へ即時応答可能なのですか」


 研究員B。


 静かに解析。


【対象:佐伯美咲】


【会話軌道修正速度:異常】


【感情処理分散性能:高】


【集団崩壊防止率:確認】



 さらに。


【対象周囲】


【精神安定率上昇】


【笑顔発生率増加】


【位相乱れ減少】


 沈黙。


 研究員C。


 静かに言う。


「……この能力は」


「文明維持へ必要なのでは?」



 空気が止まる。



 危険思想だった。


 ベルタリュオン文明では、長い間。


 感情処理は、低次機能とされていた。


 雑談。


 笑い。


 ツッコミ。


 全て。



 非効率。


 不要。


 そう定義されてきた。



 だが。


 地球観測後。


 数値が、否定している。



【雑談中】


【生体波動安定】



【共同食事時】


【精神崩壊率低下】



【ツッコミ発生時】


【集団位相固定成功】



 研究員達。


 静かに混乱。


「……ツッコミとは何ですか」



 中央AI。


 解析開始。


【ツッコミ】


【高密度感情整理行動】


【空気修正】


【孤立防止】


【集団精神安定化】


【高度共感処理技術】



 研究室。


 ざわつく。


「高度……技術……?」



 さらに映像。


 東央マテリアル。



 ノベェンタ。


 静かにコーヒーを飲んでいる。


「人類、“変な事言う人”と“ツッコむ人”両方必要なので。ボケだけだと空間壊れるし、ツッコミだけだと乾燥する。つまり会話、“混沌と秩序”で成立してるんですよ。あとツッコミ、“怒ってる”というより、“会話へ参加してる証明”寄りなので。“無視しない”って、人類かなり愛情なんです」



 研究室。


 完全停止。


【無視しない】


【愛情】


 未定義概念。


 研究員B。


 小さく呟く。


「……だから」


「アインは安定したのですか」



 映像。


 アイン。


 佐伯へ向かって言う。


「……今日は、少しビジュが良いですね」



 静寂。



 佐伯。


 硬直。


「えっ」



 キノピー。


 大爆笑。


「にゃははははは♡ アインちギャル感染してるにゃ〜♡」



 アイン。


 少し赤い。


「……駄目ですか」



 佐伯。


 顔真っ赤。


「い、いや別に駄目じゃないですけどぉ!!」



 研究室。


 沈黙。


【感情波形確認】


【対象:アイン】


【位相安定率:過去最高】



 研究員達。


 完全停止。


 そして。


 中央研究責任者が、静かに告げた。


「……認識を改めます」



 白い空間。


 静かに文字列が浮かぶ。


【新規研究分類】


【感情統合処理技術】


【通称】


【ツッコミ学】



 ベルタリュオン文明は、ついに。



 人類最大級の謎技術へ、手を出し始めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ