第九十六話 「文明というものは、“何を高度知性として定義するか”で未来が変わるので、ベルタリュオンはついに“ツッコミ能力”を研究し始めました」
ベルタリュオン。
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中央観測都市。
第七感情解析研究機構。
白かった。
無機質。
静寂。
巨大空間内では、無数の光粒子が浮遊している。
感情抑制区域。
会話音量制限。
精神波動安定化処理済。
完全管理社会。
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だが。
最近。
異変が起きていた。
【地球接触個体】
【精神安定率向上】
【生体崩壊減速】
【感情波形正常化】
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研究員達は、沈黙していた。
理解不能。
中央スクリーン。
映像。
地球。
東央マテリアル。
地下第三層。
そこでは。
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佐伯が叫んでいた。
「だからなんで会議室で焼きそば焼いてるんですかぁ!!」
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野村部長。
鉄板。
「いやぁ〜、お昼まだだったからぁ〜」
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キノピー。
ソースまみれ。
「にゃははは〜♡」
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リゼ。
焼きそばへ月光石を置こうとしている。
「ソースって、“地球の陽エネルギー”強いのよね」
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「食べ物へ石置かないでください!!」
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研究室。
沈黙。
ベルタリュオン研究員Aが呟く。
「……何故、あの個体は」
「全状況へ即時応答可能なのですか」
研究員B。
静かに解析。
【対象:佐伯美咲】
【会話軌道修正速度:異常】
【感情処理分散性能:高】
【集団崩壊防止率:確認】
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さらに。
【対象周囲】
【精神安定率上昇】
【笑顔発生率増加】
【位相乱れ減少】
沈黙。
研究員C。
静かに言う。
「……この能力は」
「文明維持へ必要なのでは?」
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空気が止まる。
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危険思想だった。
ベルタリュオン文明では、長い間。
感情処理は、低次機能とされていた。
雑談。
笑い。
ツッコミ。
全て。
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非効率。
不要。
そう定義されてきた。
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だが。
地球観測後。
数値が、否定している。
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【雑談中】
【生体波動安定】
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【共同食事時】
【精神崩壊率低下】
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【ツッコミ発生時】
【集団位相固定成功】
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研究員達。
静かに混乱。
「……ツッコミとは何ですか」
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中央AI。
解析開始。
【ツッコミ】
【高密度感情整理行動】
【空気修正】
【孤立防止】
【集団精神安定化】
【高度共感処理技術】
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研究室。
ざわつく。
「高度……技術……?」
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さらに映像。
東央マテリアル。
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ノベェンタ。
静かにコーヒーを飲んでいる。
「人類、“変な事言う人”と“ツッコむ人”両方必要なので。ボケだけだと空間壊れるし、ツッコミだけだと乾燥する。つまり会話、“混沌と秩序”で成立してるんですよ。あとツッコミ、“怒ってる”というより、“会話へ参加してる証明”寄りなので。“無視しない”って、人類かなり愛情なんです」
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研究室。
完全停止。
【無視しない】
【愛情】
未定義概念。
研究員B。
小さく呟く。
「……だから」
「アインは安定したのですか」
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映像。
アイン。
佐伯へ向かって言う。
「……今日は、少しビジュが良いですね」
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静寂。
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佐伯。
硬直。
「えっ」
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キノピー。
大爆笑。
「にゃははははは♡ アインちギャル感染してるにゃ〜♡」
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アイン。
少し赤い。
「……駄目ですか」
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佐伯。
顔真っ赤。
「い、いや別に駄目じゃないですけどぉ!!」
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研究室。
沈黙。
【感情波形確認】
【対象:アイン】
【位相安定率:過去最高】
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研究員達。
完全停止。
そして。
中央研究責任者が、静かに告げた。
「……認識を改めます」
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白い空間。
静かに文字列が浮かぶ。
【新規研究分類】
【感情統合処理技術】
【通称】
【ツッコミ学】
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ベルタリュオン文明は、ついに。
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人類最大級の謎技術へ、手を出し始めていた。
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