第六十八話 「大河ドラマ経済圏は、“歴史と観光と承認欲求”が混線し始めると時々町ごと主人公化します」
幡多郡大月町。
午前九時十三分。
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港町だった。
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つい先日まで。
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だが今日は違う。
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「ジョン万ソフト追加入りまーす!!」
「足摺岬ツアー満席ですー!」
「清水側の大河館予定地、今日も視察来てるって!」
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商店街が、
妙に浮ついていた。
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幟。
海洋冒険ポスター。
坂本龍馬コラボ。
ジョン万次郎まんじゅう。
“世界へ羽ばたけ土佐スピリット”。
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超時空維新大河ドラマ
『量子黒潮』】
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「…こ、これタイトルどうなの?…しかもなんで大月町まで浮かれてるのよ。舞台、隣の土佐清水市でしょ?」
リゼが真顔で呟く。
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ノベェンタは、
道の駅で買った柚子サイダーを開けながら頷いた。
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「地方、“隣町で大型イベント発生すると広域連帯ボーナス”始まるので。特に幡多地域みたいな人口減少エリア、“近隣全部まとめて観光圏”として動く傾向あります。“清水で泊まれなかった人、大月来るかも”“足摺帰りに柏島寄るかも”“ついでに宿泊需要増えるかも”。つまり地方経済、“巨大イベントの余波”だけでもかなり重要なんですよ。あとジョン万次郎、土佐清水市出身ですが、“海の男”“漂流”“世界へ出た少年”という物語強度が高すぎるので、高知西南地域全体が“なんか乗れる気がする”空気になりやすい」
「最後かなり地方リアルなのよ」
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商店街。
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観光協会。
移住相談窓口。
空き店舗再生計画。
カフェ開業支援。
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全部が、
少しだけ未来を向いていた。
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「ちなみに大河ドラマ経済効果、“放送開始前”が一番テンション高い場合あります。“これから来るぞ!”って期待値段階、人類かなり夢見れるので。あと地方、“人口減少”みたいな長期戦問題ばかり見てると精神沈みやすい。だから“全国規模で注目されるイベント”、共同体へかなり効くんですよ。“まだこの町、終わってないかも”って感覚、人類の行動力かなり変えるので」
「今日はちょっと優しいわね」
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その時。
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空気が、
少しだけ軋む。
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【成り上がれ】
【今しかない】
【人生逆転】
【全国区】
【バズれ】
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黒い文字列。
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リゼが眉をひそめた。
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「……来たわね」
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商店街奥。
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黒い霧。
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そこから。
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一人の男が現れる。
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長い黒羽織。
赤黒い袴。
無精髭。
鋭い目。
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腰には刀。
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刃には。
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【急上昇】
【話題性】
【拡散力】
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という、
嫌すぎる文字が刻まれていた。
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「情報社会の悪霊そのものじゃない」
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男は、
ゆっくり笑った。
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『――拙者の名は、“天上院バズ丸”』
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沈黙。
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「名前の圧が強いのよ」
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『土佐清水が跳ねれば、大月も跳ねる』
『ならば今こそ、“波へ乗る時”でござる』
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刀を抜く。
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空中へ、
黒い数字が浮かび始めた。
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【再生数】
【登録者】
【勝ち組】
【地方成功例】
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観光客達の視線が、
少しずつスマホへ吸われ始める。
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『人類、“何者かになりたい”のでござろう?』
『地方から全国へ!』
『人生逆転!!』
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空気が、
妙に焦り始める。
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ノベェンタは静かに頷いた。
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「現代人類、“他人の人生PV”を毎日見せられ続けてるので。“地方移住成功”“古民家カフェ大繁盛”“YouTube爆伸び”。結果、“自分だけイベント起きてない感覚”へ陥りやすい。あとSNS、“人生の良い部分だけ切り抜く文化”なので、本来存在してる“赤字”“孤独”“湿気”“虫”“集客不安”が映らない。つまり現代比較社会、“他人の編集済み成功ダイジェスト”と“自分の未編集日常”を戦わせてる状態なんですよ。しかも地方、“人口減少”みたいな静かな不安を常時抱えてるので、“一発逆転ストーリー”へかなり引っ張られやすい。“このイベントで町が変わるかも”って希望、悪ではないんですが、“常に結果出し続けないと価値がない”へ変換され始めると共同体ごと疲弊するので」
「まぁ夢で終わらせない気持ちは大事だけど……」
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天上院バズ丸が刀を掲げる。
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『もっと注目されたいでござろう!?』
『もっと称賛されたいでござろう!?』
『静かな港町で終わる気かァ!!』
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黒いノイズが爆発。
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【バズれ】
【成り上がれ】
【人生逆転】
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その瞬間。
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佐伯が前へ出る。
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赤いビキニアーマー。
境界断ち印。
ハルバード。
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「オラァ〜新技《他者評価因果切断》!!」
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赤い斬撃。
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だが。
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黒い数字群が、
逆に増殖する。
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【炎上拡散】
【話題化成功】
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「増えたァ!?」
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ノベェンタが頷いた。
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「承認欲求系外側、“反応されるほど強化”されるタイプですね。炎上文化に近い。“嫌い”でも話題化された時点でエネルギー供給始まるので。あと現代SNS、“静かに満足してる人”より、“強い言葉使う人”が可視化されやすい構造ある。なので人類、“普通に幸せ”だと発信弱くなり、“怒り”“成功”“勝利”ばかり流れ始める。結果、タイムライン全体が“人生RTA大会”みたいになるんですよ」
「嫌な分析だわ!」
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その時。
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アインが前へ出た。
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青銀の術式外套。
ミスリル帷子。
灰色の瞳。
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静かに、
拳を握る。
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「……私は」
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珍しく。
少しだけ感情が乗っていた。
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「ずっと、羨ましかったんです」
「え?」
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アインは、
野村部長を見る。
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野村部長。
最近。
腹巻で覚醒した。
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必殺技持ち。
しかも。
かなり派手。
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「部長みたいな、“叫んだ瞬間に全部解決した感ある技”が欲しくて……」
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沈黙。
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リゼが吹き出した。
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「そんな理由!?」
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アインは真顔だった。
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「毎回、“アイン先輩は静かですね”と言われるので」
「気にしてたの!?」
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アインの周囲へ、
巨大魔法陣展開。
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青銀光。
演算式。
幾何学模様。
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完全にラスボス演出。
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風が吹く。
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アインは、
静かに眼鏡を押し上げた。
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「――ならば今回は、少し派手に行きます」
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空間震動。
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術式が、
町全体へ展開される。
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「《超位因果収束演算殲滅術式――アカシック・レゾナンス・オーバードライブ》」
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「長ッッ!!」
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轟音。
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青銀の光が、
空へ突き抜けた。
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そして。
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空中へ映る。
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普通の人生。
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魚を焼く人。
昼寝する老人。
洗濯物。
港の夕暮れ。
猫。
スーパー半額シール。
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“バズってない幸福”。
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だが。
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温かかった。
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天上院バズ丸が揺らぐ。
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『……ぬぅ』
『承認欲求出力が下がるでござる……!』
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アインは静かに言った。
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「“普通に生きる”って、本来かなり高難易度なんですよ」
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光が広がる。
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黒いノイズが、
少しずつ消えていく。
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だが。
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完全には消えない。
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天上院バズ丸は、
不敵に笑った。
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『……だが人類、“比較”をやめられぬ』
『隣の人生が光って見える限り、拙者は何度でも現れるでござる』
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黒い霧が膨張。
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風。
通知音。
ノイズ。
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次の瞬間。
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天上院バズ丸は、
商店街の闇へ消えた。
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『次は東京で会おうぞ――!!』
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静寂。
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佐伯がぽつりと言う。
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「……逃げましたね」
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アインは少し悔しそうだった。
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「まだ、部長ほど“ド派手に全部解決した感”が足りません」
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野村部長が、
キラキラ腹巻を叩く。
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「いやぁ〜! 必殺技は勢いだよぉ!!」
「参考になりそうでならないのよ」
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ノベェンタは、
静かに笑った。
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「まあ人類、“他人と比べる癖”完全には消えないので。文明自体が競争構造ありますし。でも重要なの、“比較しない”じゃなく、“比較で自分壊し過ぎない”くらいなんですよ。“あの人すごいな”と思いつつ、“今日はカツオうまかったし寝るか”へ戻れる能力、現代かなり重要なので。あと地方、“人生ランキング”から少し距離置きやすい。海見てると、“フォロワー数より潮風の方が人体へ効くな……”って瞬間あるので」
「全然関係ないけど…なんか最後ので最近潮風で愛車が錆びるの早いの思い出しちゃった…海沿いあるあるね…」
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その時。
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キノピーが、
ジョン万ソフトを舐めた。
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「にゃ」
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微妙な顔。
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「塩バニラ強いにゃ……」
「ネコにも重い味評価されてる!」
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商店街へ、
少し笑い声が戻る。
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海風が吹いた。
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町はまだ小さい。
未来も分からない。
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でも。
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“今より少し面白くなるかも”
くらいの希望で。
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案外、
人類は明日まで進めたりするのだった。




