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『境界断ちのノベェンタ』 〜「観測者が意思決定した瞬間、世界線は収束します」意識高い系エリート社畜、たまに世界を救う  作者: nobunobuwo


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第二話 「認知フレームの共有不足は、だいたい世界崩壊を招きます」


 黒い空。


 赤黒い雲。


 都市ユグドラ上空には、巨大な裂け目が広がっていた。


 その外側。


 無数の“目”。


 巨大。


 粘つくような視線。


 まるで世界そのものを覗き込んでいるようだった。


 兵士たちは震えている。


 魔導士たちは青ざめている。


 石畳には避難民が座り込み、子供が泣いていた。


 だが。


 その中心で。


 銀髪の魔族少女リゼだけは、腕を組んで露骨にイライラしていた。


「遅い」


「定時後即対応だったので、むしろかなり迅速ですよ。あと異世界移動って座標誤差あるので毎回微調整必要なんですよね。GPS無い時代の航海士って本当に偉いと思います」


「長い」


 黒い裂け目から現れたノベェンタ——野部遠汰は、コンビニ袋を持ったままだった。


 中にはエナドリ。


 あと柿ピー。


「ちなみに柿ピーって元々ピーナッツ入ってなかったらしいですよ。戦後の物資事情で増量兼ねて追加されたのが始まりです。つまり今の柿ピー文化って食糧事情の副産物なんですよね。あと人類史ってだいたい“余った物をどう誤魔化すか”の歴史です」


「最後まで言うな!!」


 兵士たちがざわつく。


「あれが境界断ち……?」


「もっとこう……威厳とか……」


 ノベェンタは空を見る。


 灰色の瞳が細まる。


「なるほど。今回の敵、“自己拡張型存在不安”ですね。おそらく“他者から観測され続けないと自己存在を維持できないタイプ”です。承認依存型高次生命体と言ってもいい。SNS中毒を宇宙規模にした感じですね」


「急にわかりやすくなるのやめて」


 リゼが頭を抱える。


 その時。


 後方からローブ姿の男が歩いてきた。


 金縁眼鏡。


 紺色の長衣。


 胸元には魔導院紋章。


 そして冒険者ギルド本部長章。


 ノア教授。


 魔導院教授。


 兼、冒険者ギルド本部長。


 世界最高峰の魔導理論家。


 そして。


 長年ノベェンタに振り回されてきた男だった。


「つまり?」


 ノア教授が疲れた顔で聞く。


 ノベェンタは真顔で答える。


「“誰かに見てもらえないと不安で死ぬ怪物”です。あと人間も本質的には似た部分ありますよね。“自分はここにいる”って他人の反応で確認してるので。だから既読無視で精神削れる人いるんですよ。あと鳩って意外と方向感覚すごいです」


「最後の情報なんなんだ……」


 その瞬間。


 空の“目”が開く。


 轟音。


 兵士たちが膝をつく。


「頭の中に……声が……!」


 精神侵食。


 認識汚染。


 普通なら防げない。


 だが。


 ノベェンタは普通に柿ピーを食べていた。


「やっぱりピーナッツ比率高いですね」


「なんで平気なのよ!!」


「精神汚染って“自分の思考を絶対視してる人”ほど通りやすいんですよね。逆に“人間の脳なんてわりとバグる”って理解してるタイプは耐性高いです。あとメタ認知訓練って瞑想だけじゃなく日記でも鍛えられます。ちなみにカラスは人の顔覚えます」


「情報量が多い!!」


 ノベェンタは静かに剣を抜く。


 空気が沈む。


 灰色の魔力が世界を軋ませる。


「——人は、一人では世界になれない」


 轟。


 次の瞬間。


 空間ごと黒い奔流が真っ二つに切断された。

ちなみにWeb小説文化における「ブックマーク」と「評価」という行為、人類史的にはかなり面白いんですよね。


 昔の物語って、基本的に“王侯貴族か宗教組織のスポンサー付き”だったんです。つまり創作者、「面白い作品を書けば読まれる」以前に、“まず飯を食える環境”が必要だった。


 ですが現代インターネット文明、人類はついに「好き」を直接数値化して作者へ投げるシステムを作ってしまった。


 ブクマ。

 感想。

 評価。

 レビュー。


 これ全部、“面白かった”を可視化するための現代型焚き火なんですよ。


 特にWeb小説作者、“更新通知”と“評価ポイント上昇”で寿命が数日延びる傾向あります。MMORPGでレアドロップ出た瞬間テンション上がるのとかなり近い。あと深夜二時に「ブクマ増えてる……」を見ると、脳内で謎の生存肯定感が発生するので。人類、意外と「読んでる人いるよ」の一言で頑張れてしまう生物なんです。


 なので。


 もし少しでも面白かったら、

 ブックマークや評価を頂けると、

 作者のHPとMPと現実接続率がだいぶ安定します。


 ちなみに創作者、「次も書こう」と思える最大理由、“誰かが続きを待ってる”なんですよね。


 では。


 あなたの読書人生へ、

 少しでも妙な彩りを追加できていたなら幸いです。

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