第百五十五話 「“星を救う”って、人類わりと“最強の力”を想像しがちなんですけど。実際には“孤独を放置しないこと”の方が重要なので。文明って、“誰かと繋がってる感覚”で結構延命してるんですよね」
異世界だと誤認識していた、惑星パンドーラ。
浮遊港湾都市。
⸻
空が広かった。
青ではない。
少し紫がかった、異世界特有の空。
巨大飛空艇。
魔導貨物列車。
雲海を泳ぐ空鯨。
⸻
そして。
空の遥か向こう。
惑星全体へ、神経網みたいな光が走っていた。
星そのものが、“何か”へ変わり始めている。
⸻
桐谷修司——元勇者パーティ後衛担当は、少し疲れた顔で空を見上げた。
「……最近、夜になると星が“寂しそう”なんですよね」
⸻
佐伯が小さく聞く。
「分かるんですか?」
⸻
「長く住むと、なんとなく」
「“空気が不安そう”な感じ、あるんです」
⸻
ノベェンタは静かに頷いた。
「はい。人類、“説明不能な環境変化”を感覚側で先に察知するケース結構あります。“なんか空気悪い”とか典型ですね。あと共同体って、“明確事件”起きる前に微妙な沈黙量変わったりします。学校とか職場でも、“笑い声減る”方が危険信号だったりするので。さらに海沿い文化圏、“天候の機嫌”読む能力かなり高い傾向あります。高知漁師文化とか典型ですね」
⸻
桐谷が頷く。
「うちの祖父、台風来る前だけ妙に静かになる人でした」
⸻
「はい。“自然の不機嫌”を先に察知してた可能性あります」
⸻
佐伯がため息を吐いた。
「また急に民俗学と気象学と心理学混ざってる……」
⸻
その時だった。
巨大飛空艇が、港へ着陸する。
蒸気。
魔導光。
空間振動。
船体側面へ、巨大文字。
【世界樹巡礼便】
⸻
部長が顔を引きつらせる。
「……嫌な予感しかしない名前だな」
⸻
アインは端末を確認した。
「ここから世界樹中枢圏まで、飛空艇で約八時間です」
⸻
「近いのか遠いのか分からん!!」
⸻
飛空艇内部。
木製通路。
柔らかい魔導灯。
揺れる床。
長距離フェリーっぽかった。
⸻
ノベェンタは窓際へ座り、空を見ていた。
「……なるほど。長距離移動空間って、人類かなり“仮設共同体”化しやすいんですよね。船旅とか典型です。“一時的に同じ方向向いてる他人”へ妙な親近感発生する。あと夜行バス、サービスエリアで全員ちょっと仲間感出る現象あります」
⸻
佐伯が即座に返す。
「分かるの嫌なんですけど」
⸻
「さらにフェリー文化、“帰省感情”とかなり接続しやすいので。海越える移動って、人類側の“境界通過感覚”刺激しやすいんですよ。あと高知西部圏、海霧出る朝かなり幻想的です」
⸻
桐谷が静かに笑った。
「……宿毛湾の朝、そんな感じでしたね」
⸻
少しだけ。
空気が柔らかくなる。
だが。
その時。
飛空艇全体が、微かに震えた。
ブゥゥゥゥゥン……
低い振動。
⸻
まるで。
星そのものが、唸っているみたいな音。
⸻
アインの顔色が変わる。
「……進行速度が上がっています」
⸻
窓の外。
空へ走る神経網。
さっきより、広がっていた。
異世界だと誤認識していた、惑星パンドーラ。
浮遊港湾都市。
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空が広かった。
青ではない。
少し紫がかった、異世界特有の空。
巨大飛空艇。
魔導貨物列車。
雲海を泳ぐ空鯨。
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そして。
空の遥か向こう。
惑星全体へ、神経網みたいな光が走っていた。
星そのものが、“何か”へ変わり始めている。
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桐谷修司——元勇者パーティ後衛担当は、少し疲れた顔で空を見上げた。
「……最近、夜になると星が“寂しそう”なんですよね」
⸻
佐伯が小さく聞く。
「分かるんですか?」
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「長く住むと、なんとなく」
「“空気が不安そう”な感じ、あるんです」
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ノベェンタは静かに頷いた。
「はい。人類、“説明不能な環境変化”を感覚側で先に察知するケース結構あります。“なんか空気悪い”とか典型ですね。あと共同体って、“明確事件”起きる前に微妙な沈黙量変わったりします。学校とか職場でも、“笑い声減る”方が危険信号だったりするので。さらに海沿い文化圏、“天候の機嫌”読む能力かなり高い傾向あります。高知漁師文化とか典型ですね」
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桐谷が頷く。
「うちの祖父、台風来る前だけ妙に静かになる人でした」
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「はい。“自然の不機嫌”を先に察知してた可能性あります」
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佐伯がため息を吐いた。
「また急に民俗学と気象学と心理学混ざってる……」
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その時だった。
巨大飛空艇が、港へ着陸する。
蒸気。
魔導光。
空間振動。
船体側面へ、巨大文字。
【世界樹巡礼便】
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部長が顔を引きつらせる。
「……嫌な予感しかしない名前だな」
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アインは端末を確認した。
「ここから世界樹中枢圏まで、飛空艇で約八時間です」
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「近いのか遠いのか分からん!!」
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飛空艇内部。
木製通路。
柔らかい魔導灯。
揺れる床。
長距離フェリーっぽかった。
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ノベェンタは窓際へ座り、空を見ていた。
「……なるほど。長距離移動空間って、人類かなり“仮設共同体”化しやすいんですよね。船旅とか典型です。“一時的に同じ方向向いてる他人”へ妙な親近感発生する。あと夜行バス、サービスエリアで全員ちょっと仲間感出る現象あります」
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佐伯が即座に返す。
「分かるの嫌なんですけど」
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「さらにフェリー文化、“帰省感情”とかなり接続しやすいので。海越える移動って、人類側の“境界通過感覚”刺激しやすいんですよ。あと高知西部圏、海霧出る朝かなり幻想的です」
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桐谷が静かに笑った。
「……宿毛湾の朝、そんな感じでしたね」
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少しだけ。
空気が柔らかくなる。
だが。
その時。
飛空艇全体が、微かに震えた。
ブゥゥゥゥゥン……
低い振動。
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まるで。
星そのものが、唸っているみたいな音。
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アインの顔色が変わる。
「……進行速度が上がっています」
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窓の外。
空へ走る神経網。
さっきより、広がっていた。
⸻
桐谷が小さく呟く。
「最近、“星が誰かを探してる”感じするんですよ」
⸻
ノベェンタは静かに空を見上げた。
「……はい。おそらくこの星、“理解されたい”段階入ってますね」
⸻
「理解?」
⸻
「人類も、“誰も自分を分かってくれない”感覚続くと不安定化するので。逆に、“誰か一人でも知ってくれてる”だけで耐久力かなり変わる。あとSNS文化、“発信”そのものより“反応返る”ことで安定してる側面あります。“ここにいる”へ応答あるかどうか、結構重要なんですよ」
⸻
佐伯が窓の外を見る。
空。
巨大な神経光。
そして。
星。
静かに、寂しがっているみたいな惑星。
飛空艇は進む。
⸻
世界樹へ。
⸻
“星の孤独”へ、アンカーを打ち込むために。
⸻
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桐谷が小さく呟く。
「最近、“星が誰かを探してる”感じするんですよ」
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ノベェンタは静かに空を見上げた。
「……はい。おそらくこの星、“理解されたい”段階入ってますね」
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「理解?」
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「人類も、“誰も自分を分かってくれない”感覚続くと不安定化するので。逆に、“誰か一人でも知ってくれてる”だけで耐久力かなり変わる。あとSNS文化、“発信”そのものより“反応返る”ことで安定してる側面あります。“ここにいる”へ応答あるかどうか、結構重要なんですよ」
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佐伯が窓の外を見る。
空。
巨大な神経光。
そして。
星。
静かに、寂しがっているみたいな惑星。
飛空艇は進む。
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世界樹へ。
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“星の孤独”へ、アンカーを打ち込むために。
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