表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『境界断ちのノベェンタ』 〜観測整合維持局 第七補正執行室 野部遠汰の場合〜  作者: nobunobuwo


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
155/183

第百五十五話 「“星を救う”って、人類わりと“最強の力”を想像しがちなんですけど。実際には“孤独を放置しないこと”の方が重要なので。文明って、“誰かと繋がってる感覚”で結構延命してるんですよね」


 異世界だと誤認識していた、惑星パンドーラ。


 浮遊港湾都市レヴァナード



 空が広かった。


 青ではない。


 少し紫がかった、異世界特有の空。


 巨大飛空艇。


 魔導貨物列車。


 雲海を泳ぐ空鯨。



 そして。


 空の遥か向こう。


 惑星全体へ、神経網みたいな光が走っていた。


 星そのものが、“何か”へ変わり始めている。



 桐谷修司——元勇者パーティ後衛担当は、少し疲れた顔で空を見上げた。


「……最近、夜になると星が“寂しそう”なんですよね」



 佐伯が小さく聞く。


「分かるんですか?」



「長く住むと、なんとなく」


「“空気が不安そう”な感じ、あるんです」



 ノベェンタは静かに頷いた。


「はい。人類、“説明不能な環境変化”を感覚側で先に察知するケース結構あります。“なんか空気悪い”とか典型ですね。あと共同体って、“明確事件”起きる前に微妙な沈黙量変わったりします。学校とか職場でも、“笑い声減る”方が危険信号だったりするので。さらに海沿い文化圏、“天候の機嫌”読む能力かなり高い傾向あります。高知漁師文化とか典型ですね」



 桐谷が頷く。


「うちの祖父、台風来る前だけ妙に静かになる人でした」



「はい。“自然の不機嫌”を先に察知してた可能性あります」



 佐伯がため息を吐いた。


「また急に民俗学と気象学と心理学混ざってる……」



 その時だった。


 巨大飛空艇が、港へ着陸する。


 蒸気。


 魔導光。


 空間振動。


 船体側面へ、巨大文字。


【世界樹巡礼便】



 部長が顔を引きつらせる。


「……嫌な予感しかしない名前だな」



 アインは端末を確認した。


「ここから世界樹中枢圏まで、飛空艇で約八時間です」



「近いのか遠いのか分からん!!」



 飛空艇内部。


 木製通路。


 柔らかい魔導灯。


 揺れる床。


 長距離フェリーっぽかった。



 ノベェンタは窓際へ座り、空を見ていた。


「……なるほど。長距離移動空間って、人類かなり“仮設共同体”化しやすいんですよね。船旅とか典型です。“一時的に同じ方向向いてる他人”へ妙な親近感発生する。あと夜行バス、サービスエリアで全員ちょっと仲間感出る現象あります」



 佐伯が即座に返す。


「分かるの嫌なんですけど」



「さらにフェリー文化、“帰省感情”とかなり接続しやすいので。海越える移動って、人類側の“境界通過感覚”刺激しやすいんですよ。あと高知西部圏、海霧出る朝かなり幻想的です」



 桐谷が静かに笑った。


「……宿毛湾の朝、そんな感じでしたね」



 少しだけ。


 空気が柔らかくなる。


 だが。


 その時。


 飛空艇全体が、微かに震えた。


 ブゥゥゥゥゥン……


 低い振動。



 まるで。


 星そのものが、唸っているみたいな音。



 アインの顔色が変わる。


「……進行速度が上がっています」



 窓の外。


 空へ走る神経網。


 さっきより、広がっていた。


 異世界だと誤認識していた、惑星パンドーラ。


 浮遊港湾都市レヴァナード



挿絵(By みてみん)



 空が広かった。


 青ではない。


 少し紫がかった、異世界特有の空。


 巨大飛空艇。


 魔導貨物列車。


 雲海を泳ぐ空鯨。



 そして。


 空の遥か向こう。


 惑星全体へ、神経網みたいな光が走っていた。


 星そのものが、“何か”へ変わり始めている。



 桐谷修司——元勇者パーティ後衛担当は、少し疲れた顔で空を見上げた。


「……最近、夜になると星が“寂しそう”なんですよね」



 佐伯が小さく聞く。


「分かるんですか?」



「長く住むと、なんとなく」


「“空気が不安そう”な感じ、あるんです」



 ノベェンタは静かに頷いた。


「はい。人類、“説明不能な環境変化”を感覚側で先に察知するケース結構あります。“なんか空気悪い”とか典型ですね。あと共同体って、“明確事件”起きる前に微妙な沈黙量変わったりします。学校とか職場でも、“笑い声減る”方が危険信号だったりするので。さらに海沿い文化圏、“天候の機嫌”読む能力かなり高い傾向あります。高知漁師文化とか典型ですね」



 桐谷が頷く。


「うちの祖父、台風来る前だけ妙に静かになる人でした」



「はい。“自然の不機嫌”を先に察知してた可能性あります」



 佐伯がため息を吐いた。


「また急に民俗学と気象学と心理学混ざってる……」



 その時だった。


 巨大飛空艇が、港へ着陸する。


 蒸気。


 魔導光。


 空間振動。


 船体側面へ、巨大文字。


【世界樹巡礼便】



 部長が顔を引きつらせる。


「……嫌な予感しかしない名前だな」



 アインは端末を確認した。


「ここから世界樹中枢圏まで、飛空艇で約八時間です」



「近いのか遠いのか分からん!!」



 飛空艇内部。


 木製通路。


 柔らかい魔導灯。


 揺れる床。


 長距離フェリーっぽかった。



 ノベェンタは窓際へ座り、空を見ていた。


「……なるほど。長距離移動空間って、人類かなり“仮設共同体”化しやすいんですよね。船旅とか典型です。“一時的に同じ方向向いてる他人”へ妙な親近感発生する。あと夜行バス、サービスエリアで全員ちょっと仲間感出る現象あります」



 佐伯が即座に返す。


「分かるの嫌なんですけど」



「さらにフェリー文化、“帰省感情”とかなり接続しやすいので。海越える移動って、人類側の“境界通過感覚”刺激しやすいんですよ。あと高知西部圏、海霧出る朝かなり幻想的です」



 桐谷が静かに笑った。


「……宿毛湾の朝、そんな感じでしたね」



 少しだけ。


 空気が柔らかくなる。


 だが。


 その時。


 飛空艇全体が、微かに震えた。


 ブゥゥゥゥゥン……


 低い振動。



 まるで。


 星そのものが、唸っているみたいな音。



 アインの顔色が変わる。


「……進行速度が上がっています」



 窓の外。


 空へ走る神経網。


 さっきより、広がっていた。



 桐谷が小さく呟く。


「最近、“星が誰かを探してる”感じするんですよ」



 ノベェンタは静かに空を見上げた。


「……はい。おそらくこの星、“理解されたい”段階入ってますね」



「理解?」



「人類も、“誰も自分を分かってくれない”感覚続くと不安定化するので。逆に、“誰か一人でも知ってくれてる”だけで耐久力かなり変わる。あとSNS文化、“発信”そのものより“反応返る”ことで安定してる側面あります。“ここにいる”へ応答あるかどうか、結構重要なんですよ」



 佐伯が窓の外を見る。


 空。


 巨大な神経光。


 そして。


 星。


 静かに、寂しがっているみたいな惑星。


 飛空艇は進む。



 世界樹へ。



 “星の孤独”へ、アンカーを打ち込むために。




 桐谷が小さく呟く。


「最近、“星が誰かを探してる”感じするんですよ」



 ノベェンタは静かに空を見上げた。


「……はい。おそらくこの星、“理解されたい”段階入ってますね」



「理解?」



「人類も、“誰も自分を分かってくれない”感覚続くと不安定化するので。逆に、“誰か一人でも知ってくれてる”だけで耐久力かなり変わる。あとSNS文化、“発信”そのものより“反応返る”ことで安定してる側面あります。“ここにいる”へ応答あるかどうか、結構重要なんですよ」



 佐伯が窓の外を見る。


 空。


 巨大な神経光。


 そして。


 星。


 静かに、寂しがっているみたいな惑星。


 飛空艇は進む。



 世界樹へ。



 “星の孤独”へ、アンカーを打ち込むために。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ