表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『境界断ちのノベェンタ』 〜観測整合維持局 第七補正執行室 野部遠汰の場合〜  作者: nobunobuwo


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
146/183

第百四十六話 「“可愛い”って、実は“守りたい”“一緒に居たい”“失いたくない”を同時発生させる超高密度感情なので。文明が子猫で救われても、生物としてはわりと正常反応なんですよね」


 ベルタリュオン。



 世界樹中央基部。



 ネウロン群は、停止していた。


 宇宙空間。


 黒い星々は。


 まるで。


 “安心したように”漂っている。


 世界樹を流れる感情波も、穏やかだった。


 その中心。


 キノピーは、子猫を抱えて座っていた。


 ふわふわ。


 小さい。


 丸い。


 そして。


 めちゃくちゃ可愛い。



 ノベェンタが、しゃがみ込む。


「……なるほど」


「人類、“可愛い”へ遭遇するとIQ下がる説ありますが、ベルタリュオン人でも同現象確認できそうですね。あと幼体保護本能、種族超えて発動するケース結構あります。パンダとか典型です」



 リゼが即座に返す。


「今それ説明してる場合!?」



 周囲。



 ベルタリュオン研究者達。


 全員。


 子猫を見て固まっていた。


「…………」


「…………」


「…………尊い」



 次の瞬間。


 感情波。


 爆発。


 世界樹が、キラキラし始める。



 エルが叫ぶ。


「感情出力上がってる!!」


「なんでですか!?」



 ノベェンタ。


 真顔。


「“可愛い”は高密度感情エネルギーなので」



「急に宇宙法則みたいに言わないで!!」



 キノピーは、まだ少し混乱していた。


 腕の中。


 子猫が、じーっと見上げてくる。


「……にゃ」


「……な、なんにゃ」


 すると。



 ノベェンタが、ポケットから小さな鈴を取り出した。


 ネパール。


 ラミラから貰った鈴。


 二つあったうちの一つは、既にキノピーの首元で揺れている。


 残る一つ。


 小さい銀色の鈴。



 チリン。



 ノベェンタは、そっと子猫へ付けてあげた。


「……お揃いですね」


 キノピーの鈴。


 子猫の鈴。


 同じ音。



 その瞬間だった。



 チリン。



 共鳴。


 白銀光。


 世界樹全体へ、波紋が走る。



 子猫の瞳が、金色へ輝いた。


「——接続確認しましたにゃ」



 全員、固まる。



「…………」


「…………」



「喋ったにゃ!?」


 キノピーが飛び上がる。



 子猫は、きょとんとしていた。


「母体ニャンベルタン個体認識完了ですにゃ」



「えっ」



「長期孤独状態、本当にお疲れ様でしたにゃ」



「えっ」



「感情波形かなり摩耗してましたにゃ」



「えっっ」



 キノピー、混乱。


「な、なんでそんな母親みたいに喋るにゃ!?」



 子猫。


 首を傾げる。


「継承情報内で“保護対象認識”が強く形成されていますにゃ」



 ノベェンタ、吹き出す。


「なるほど。“守られる側”じゃなく、“守る側”認識なんですね」



 リゼが笑いを堪える。


「キノピー、完全に子育てされる側じゃない……」



 キノピー、ぷるぷる震える。


「にゃぁぁぁ……」



 その時。


 子猫が、キノピーへすり寄った。


 鈴。


 チリン。


「でも」


「やっと会えましたにゃ」



 キノピーの目が、潤む。


「……ほんとに、いたにゃ」


 300万年。


 ずっと。


 ひとりだった。


 でも。


 今。


 隣に、同じ鈴の音がある。


 キノピーは、泣き笑いみたいな顔になった。



「名前……つけるにゃ」


 子猫が見上げる。



「名前ですにゃ?」


 キノピーは少し考え。



 それから。



 小さく笑った。


「リンベルにゃ」


 鈴。


 ベル。


 繋がる音。



 リンベルは、嬉しそうに鈴を鳴らした。


 チリン。



挿絵(By みてみん)



 その瞬間。



 ベルタリュオン人達。


 限界突破。


「ぅわぁぁぁぁぁ♡♡♡」


「生きてるぅぅぅぅ♡♡♡」


「動画じゃないぃぃぃ♡♡♡」


「触っていいですか!?!?」


 感情波。


 大爆発。


 世界樹、異常発光。



 エルが叫ぶ。


「文明出力が上がってる!!」



 リゼが笑う。


「滅亡寸前からの回復理由が“子猫”なのよこの文明!!」




 数日後。



 東央マテリアル。


 給湯室。


 リンベル、いた。


 チリン。



 野村部長、硬直。


「…………」

 


 リンベル、見上げる。


「こんにちはですにゃ」



 野村部長。


 コーヒー吹いた。


「喋ったぁぁぁぁぁ!?」



 佐伯、しゃがみ込む。


「ちっちゃ……♡」



 アイン、完全に崩壊。


「むりです♡♡♡」


「かわいすぎます♡♡♡」



 リンベル、首を傾げる。


「感情波形、大変愉快ですにゃ」



 ノベェンタ。


 コーヒー飲みながら頷く。


「人類、“可愛い”へ遭遇すると語彙崩壊しやすいので。あと幼体へ赤ちゃん言葉使い始める現象、脳が保護モード入ってる可能性あります」



 野村部長が震える。


「いや待て野部くん!!」


「この子どう説明するんだ会社へ!?」



 ノベェンタ。


 真顔。


「海外提携先マスコットです」



「無理あるだろ!!」



 リンベル。


 チリン。


 嬉しそうに鳴らした。




 その夜。


 屋上。


 静かな風。


 街灯。


 鈴の音。



 ノベェンタとリゼが、並んで座っていた。


「……終わったわね」



「はい」



「いや、まだ終わってないんでしょうけど」



 ノベェンタは、少し笑う。


「人類、“ひと段落すると終わった気になる”習性ありますので」



「便利に使うわねその言い回し」



 静かな夜風。


 遠く。



 リンベルの鈴音。


 チリン。



 リゼが小さく呟く。


「……良かった」



「キノピーも」



「野部くんも」



 ノベェンタは、少し黙った。



 それから。



「……はい」



 静かな返事。


 夜空。


 星。



 そして。



 鈴の音だけが、優しく響いていた。


ちなみにWeb小説文化における「ブックマーク」と「評価」という行為、人類史的にはかなり面白いんですよね。


 昔の物語って、基本的に“王侯貴族か宗教組織のスポンサー付き”だったんです。つまり創作者、「面白い作品を書けば読まれる」以前に、“まず飯を食える環境”が必要だった。


 ですが現代インターネット文明、人類はついに「好き」を直接数値化して作者へ投げるシステムを作ってしまった。


 ブクマ。

 感想。

 評価。

 レビュー。


 これ全部、“面白かった”を可視化するための現代型焚き火なんですよ。


 特にWeb小説作者、“更新通知”と“評価ポイント上昇”で寿命が数日延びる傾向あります。MMORPGでレアドロップ出た瞬間テンション上がるのとかなり近い。あと深夜二時に「ブクマ増えてる……」を見ると、脳内で謎の生存肯定感が発生するので。人類、意外と「読んでる人いるよ」の一言で頑張れてしまう生物なんです。


 なので。


 もし少しでも面白かったら、

 ブックマークや評価を頂けると、

 作者のHPとMPと現実接続率がだいぶ安定します。


 ちなみに創作者、「次も書こう」と思える最大理由、“誰かが続きを待ってる”なんですよね。


 では。


 あなたの読書人生へ、

 少しでも妙な彩りを追加できていたなら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ