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『境界断ちのノベェンタ』 〜観測整合維持局 第七補正執行室 野部遠汰の場合〜  作者: nobunobuwo


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第百十六話 「文明維持というものは“高度な理論”だけでは成立せず、最終的に猫動画みたいな『なんか癒やされる』が意外と重要になります」


 ベルタリュオン星。



 中央観測統合城塞オリジン・コア


 白。


 光。


 感情波。


 惑星全域意識同期空間。


 その中心。


 オリジンとの謁見空間。


 ベルタリュオン人達の意識が、惑星規模で接続されていた。


【ノベェンタ来訪】


【感情安定率向上】


【安心感】


【黒い】


【ちょっとうるさい】


【だが好ましい】


 感情波が、惑星全域へ流れていく。



 ノベェンタは、静かに黒剣を肩へ担いでいた。


 黒い量子文字列。


 紫電。


 白銀空間へ、黒い波紋が広がる。


 その時。


 黒剣。


 ぷるぷる震える。



 佐伯、嫌な予感。


「……あ」



 次の瞬間。


 ボフンッ。


 黒煙。


 ラメ。


 ハート。



 そして。


「にゃははは〜♡ ベルタリュオンち超キラキラにゃ〜♡」


 キノピー。


 黒猫形態。


 登場。



 しかも。


 白銀空間ど真ん中。


 完全に自由。



 ノベェンタ、静かに目を閉じる。


「人類、“神聖空間ほど猫が自由”現象わりとありますので。寺、神社、王城、会議室。“なんでそこ居るの?”みたいな場所へ自然侵入する生物なんですよ」



 佐伯、即ツッコミ。


「そんな豆知識挟んでる場合じゃないですって!!」



 だが。


 その瞬間。


 ベルタリュオン全域。


 感情波。


 爆発。


【……ッ!!?】


【確認】


【確認】


【確認】


【ありえない】


【ニャンベルタン】


【古代神話存在】



 静寂。



 そして。


 惑星全域。


 大混乱。


【ニャンベルタン実在!?】


【感情導き獣!!】


【文明守護存在!!】


【耳かわいい】


【尻尾揺れた!!】


 白銀都市全域。


 感情波、一気に暴走。


 空中交通網。


 乱れる。


 感情同期率急上昇。


 重力波、不安定化。



 スグドモール、顔面蒼白。


【ま、まままま待つでゴザルゥゥゥゥ!!!!】



 キノピー。


 完全に調子乗る。


「にゃはは〜♡ 崇めるがよいにゃ〜♡」



 惑星全域。


 さらに混乱。


【喋った!!】


【神話一致!!】


【かわいい!!】


【感情波上昇!!】



 アイン、額押さえる。


「……最悪です」



 オリジンですら、少し困惑していた。



 その時。


 スグドモール。


 杖を掲げる。


 紫色の超巨大魔法陣、空間全域展開。


【超広域感情鎮静術式】


【《モルモール・メンタルフラット》】


 発動。


 白銀光が、惑星全域へ広がる。


 感情波。


 ゆっくり安定化。


【……落ち着く】


【確かに猫】


【かわいい】


【だが落ち着こう】



 佐伯、ぽつり。


「“かわいい”は残るんですね……」



 ノベェンタは、キノピーを抱き上げる。


 キノピー、超ご満悦。


「にゃふ〜♡」



 オリジン。


 静かに解析波を流す。


「……興味深い」


「この生命体出現後、ベルタリュオン全域の感情波安定率が上昇しています」


「特に」


「安心感」


「親和性」


「共感性」


「庇護欲」


「これらが急増」



 ベルタリュオン人達。


 一斉同期。


【守りたい】


【撫でたい】


【かわいい】


【生きる意味かもしれない】



 佐伯、吹き出す。


「文明規模で猫に落ちてる……」



 ノベェンタは、静かに頷いた。


「人類、“猫動画”へ異常な精神安定効果確認してるので。疲れてる時ほど、小動物見て脳回復する傾向あるんですよ。あと猫、“自由に生きてるのに許されてる感”が現代人へ刺さる」



 スグドモール。


 超真剣。


 メモ取ってる。


【なるほどでゴザル】


【感情文明安定媒体】


【猫】



 アイン、遠い目。


「……我々の文明は、猫に救われるのですか……」



 ノベェンタ。


 即答。


「わりとあります」



 静寂。



 そして。


 ベルタリュオン全域。


 妙な納得感が広がる。


【確かに】


【理解できる】


【猫なら仕方ない】



 オリジンは、静かに言った。


「……初回接触としては、これ以上の長時間滞在は危険です」


「感情波変動が急激すぎる」


「文明全体が適応しきれていない」



 ノベェンタは、少し頷く。


「人類、“急激に価値観変わる”と脳バグるので。推し突然出来た時とか人生観変わる本読んだ時とか、“感情処理追いつかない期間”必要なんですよ」



 オリジン。


 静かに同意。


「……理解します」



 その時。


 スグドモール。


 突然、立ち上がる。


【提案があるでゴザル!!】



 全員、見る。



 スグドモール、超真剣。


【ノベェンタ殿不在期間!!】


【定期的に猫動画を惑星全域へ流すでゴザル!!】



 静寂。



 ベルタリュオン全域。


 ざわつく。


【猫動画】


【感情安定化媒体】


【なるほど】


【合理的】



 佐伯、爆笑寸前。


「異星文明の国家プロジェクトが猫動画になるのおかしいでしょ!!」



 しかし。


 オリジン。


 超真面目。


「……採用します」



 佐伯。


 崩れ落ちる。


「採用されちゃったぁぁぁ!!」



 キノピー、得意顔。



「にゃはは〜♡ 時代は猫にゃ〜♡」


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