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目覚め

2025.3.5 微修正いたしました。


目が覚めると、ベッドの上だった。



ここは一体どこなのか。私は死んだのではなかったか。


いや、本当は死にたくないと願った私の心が生み出した夢なのかもしれない。



まだ開ききらない瞼のまま、上半身を起こそうとしたところ、腹部に激痛が走る。


「いたっ………」



そうだ、私は死ぬ前に殿下に腹部を刺されて…



「目が覚めたか、ルクリア」



「シオン…皇太子殿下…」



思いもよらない人物を目の前にして、やはりこれは夢なのかと錯覚する。


だが、今もジンジンと響く腹の痛みが、これは現実なのだと物語っている。


無理に起きようとしたせいなのか、血が滲んできている気さえする。耐え切れない痛みに、言葉を紡げずにいた。



「ルクリア、傷を見せろ」



シオンはそう告げて、私の腹部に巻かれている包帯を解いた。



「ちょ、ちょっと待ってください!殿下にそのような事をさせる訳には参りま…いっ…」



急に大きな声を出したからか、痛みが増して血が滲む。



「喋るな。今医者を呼んでくるから寝ていろ。決して動くなよ」



私の身体を再びベッドの上に倒したあと、シオンは部屋を後にした。



「どうして殿下が…どうして私は死んでいないの…?」



すっかり首を落とされ死ぬものだと思っていた私は、なぜ殿下が腹部を刺したのか、なぜ私が生きているのか理解できずにいた。



彼は、必ず殺すだろうと思っていたから。



それとも、自分を殺害しようとした令嬢を一思いに殺してやるなんて、そんな甘い考えで済ませる訳がないとでも考えているのだろうか。



「私には、いつまで立っても彼の考えていることが分からないのね…」



いずれ本人に聞いてみるしかないと、まずは医者の診療を待つことにした。

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