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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その遺跡の秘宝が何だったのかを彼らは知らない
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その絶体絶命を逃れる術を、僕は知らない

 お姫様抱っこをしている少女なのですが、ようやく現状を把握したのか無言のまま見つめて来る。

 というか、デスマスクがふやけて剥がれそうだ。

 素顔拝見してみたい気もする。


 折角なので取ってみました。

 うん、凄く可愛らしい。青白い顔なのが気になるけどなんていうんだろう。クールビューティー? いや、クールキューティーかな? 美しいというよりは可愛らしい方だし。


 そんな彼女はゆっくりと僕の身体に手を触れる。

 何も無い空間なのに誰かがいる。

 それに気付いたようだ。


 ぺたぺたと胸元を触られる感覚がもうね、凄く可愛いです。

 あ、アルセもすごく可愛いよ。そんな嫉妬した笑顔見せないで。

 いや、アルセは嫉妬してないな。そう見えるのは僕がそう感じているだけだ。

 なにせいつも通りの能天気な笑顔だし。


 しばらく僕を触ってそこに何かが居ることと、自分に危害を加えないことを確信したらしい少女はゆっくりと僕から降りると、ぺたぺた歩いて地面に放置されていたチェーンソウを取りに向う。

 あ、そうだ。今の内に水を移動させとこう。

 どうも僕のポシェットがどれ程入るか不明だし。


 と、ポシェットからミイラ少女が入っていた柩を取り出し開く。

 開けるだけでもクソ重いねこれ。

 ぎぃぃと全身使ってなんとかあげようと努力するが開かない。

 僕の筋力では無理なようだ。クーフさん助けてっ!


 四苦八苦してると少女がチェーンソウ引っ提げ戻ってきた。

 何をしているのか不思議そうにしながら片手で柩を開けてくれる。

 その目はこれでいい? と告げているようで、地面に落ちていたデスマスクを拾い上げる。


 僕はポシェットから湖の水を取り出し全て柩の中にぶちまける。

 アルセがおおーっとなんか感心した声をあげていたけど、突然水が出たことに驚いたのかな?

 まぁいいや、とりあえず移動完了。これでクーフのお土産ができたかな。


 元ミイラ少女に柩を閉じるのをお願いしてポシェットにしまい込む。

 さて、準備できたしそろそろ出発かな。

 アルセと元ミイラ少女を連れて移動を始める。


 アルセを抱えて歩きだすと、なぜか元ミイラ少女も抱き上げてほしそうにする。

 仕方なくアルセを右に、元ミイラ少女を左に抱えようとするも、彼女の持つチェーンソウが重過ぎてあがりません。

 申し訳ないけどチェーンソウはポシェットに回収させて貰った。


 そして……

 通路へ出るとばかり思って一歩踏み出した隔壁の先。

 とても大きく荘厳な部屋。

 背後の隔壁が閉まり、目の前にある通路への隔壁も同時に閉まる。


 部屋の中央に存在するのはなんかもう見るからにヤバい感じのアレ。

 ミイラです。ミイラが三体程くっついた身体を持ってます。

 足が六つ、手が六つ、三面六臂という奴でしょうか?

 手には三つの柩、そんな化け物が部屋の中央に立っておりました。


 僕は即座にアルセと元ミイラ娘を降ろすと彼女にチェーンソウを渡しておく。

 倒さないと、出られません。

 相手化け物、こっち三人。ロリッ娘二人とひ弱なモヤシ男でございます。


 これ、どう闘えと?

 幸い敵と思われる三身ミイラはこちらではなく逆方向を向いている。

 でも三方向に顔があるのでこちらに気付くのは直ぐだろう。


 アルセが楽しげに踊りだした。それを見た元ミイラ娘が親指を立てる。

 意味が分かりません。

 ドルン、ドルン、ギュイィイイィィィィィィン!!

 理解できずにいる間に元ミイラ少女がチェーンソウを起動。その音で化け物さんがこちらに気付いたようです。


 ギシャァッともはや人とは思えない声をあげて走り出す化け物。

 それに工具を向けた少女が突撃する。軽快に走り出す少女は振りまわされる柩を跳び避け、一撃を腕の一つに叩き込む。

 耳障りな音と共に細い腕が飛び散った。


 左右同時に振われる柩、当るかっ!? と思われたその刹那、地面から飛び出すマーブル・アイヴィ。

 左の柩を絡め取ると、少女は右の柩を持つ腕を一本切り裂く。

 支えを失った重量物が地面に落ちて地面を砕く。


 ギシャアァと咆哮が響く。

 慌てて下がる少女。チェーンソウを構えた瞬間だった。

 三つある顔の一つが大きく口を開く。


 何か嫌な予感がして僕はアルセを抱えて飛び退いた。

 刹那、背後を何か黒い光が迸る。

 まじっすか!?


 少女は!? と転がりながら確認すると、どうやら直撃してしまったらしい。

 外傷こそ見当たらないがその場で呆然としたように立ちつくしていた。

 どうやら今の攻撃は状態異常攻撃というやつのようだ。


 感じからして、恐怖かな? それとも盲目? 幻覚かもしれない。どれだとしても言えることは一つ。あの少女はしばらく使えないということである。

 アルセと僕だけであの化け物を少女を守りながら闘えと?


 まぁ彼女が今ので上半身消失とかになってなかったから良かったけど……

 僕はアルセを見る。

 心配そうに少女を見つめるアルセ。

 この子を守れるのは、今、僕しかいない。


 そう、僕しかいないんだ。

 たとえ絶体絶命な状況だとしても、僕だけが彼女を守れる状況なのだ。

 だったら……やるしか、ないよね?

 ポシェットからアルセソードを引き抜く。すらりと構え、凶悪な三面ミイラと対峙する僕だった。

 アメミルド(アメス・ミルクラトス・ルドト)

  種族:古代人 クラス:合成ミイラ

 ・真の宝物へ至る道を守る者。罠に掛かった者や宝を狙う者、王の墓を荒らすモノ全てを撃退するために造られたミイラ。といっても包帯で三人を巻いただけ。

  三面六臂の姿で三つの柩を操り敵を粉砕する。

  さらに口から吐き出されるブレスには停止の状態異常が存在する。

  時間停止に陥ると一切の行動が不能になり、これを解くにはアメミルドを完全に撃破する必要がある。

  また、窮地に陥ると三体のミイラに分かれて闘いだす。

  ドロップアイテム・古代人の柩×3、呪われたクリスタルソード×3、誓いのペンダント×3、イクシスのパンツ

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