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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その遺跡の秘宝が何だったのかを彼らは知らない
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その頼れる仲間たちは、僕を知らない

「わああああああああっ!」


 剣を構えて走る僕。けど、何故かそれに反応して来る化け物。

 ちょっと、見えないのが僕の特性なのになぜ僕に反応できる!?

 振り上げられた柩、慌てて避ける。


 元ミイラ少女のように素早い動きは出来ないので本当にぎりぎりの避難だった。

 直ぐ真横に重量物が落下して来て思わず冷や汗が流れる。

 さらに折れた二つの腕のせいで扱えないと思われた柩をも、残った二つの腕で支えて二度目の攻撃。


 マジッすか。

 真上から振り下ろされる一撃、そしてすぐ横の柩も地面を抉りながらこちらに移動して来る。

 僕は、当然ながら悲鳴を上げていた。

 確実に殺される。しかも当ればミンチになるような一撃が上と横からの同時進行。

 僕の足では逃げる間もなく、どうにもならない現実。


 終わった。そう思った瞬間だった。

 地面を割り砕き急成長する蔦が僕を背後に弾き飛ばし二つの柩を受け止める。

 気が付けば、アルセがマーブル・アイヴィを唱えてくれていた。

 た、助かった……


 でも、今ので僕はアルセソードを手放してしまっていたらしい。だいぶ離れた場所にアルセソードが……って、あれ?

 化け物は僕に注意すら向けず、アルセソードに柩を振り上げている。

 ああ、そうか。彼らが反応したのは僕ではなく、アルセソードという動く凶器だったわけだ。


 となると、僕が攻撃されることはやっぱりない訳か。自分から狙われる印を持ってたせいで狙われたんだね。

 そう気付いたんだけど、アルセソードが手元に無いので敵に攻撃する手段が……ああ、一つだけあるか。


 僕はまだ武器を持っていた。それに気付いてポシェットを確認しようとした瞬間だった。

 僕らが入ってきたのとは別方向から隔壁が粉砕された。

 柩を振り切ったクーフの姿が現れる。


「いましたアルセ!」


「アルセ無事か!」


「ブヒッ!」


 パーティー勢ぞろいです! 待ってましたカインさーん!!

 化け物を迂回してアルセを守りに向うのはバズ・オークとエンリカ、そしてリエラ。

 カインとバルスが剣を構え、クーフも柩から大剣を取り出す。

 ネッテとユイアがその背後で魔法詠唱を開始。


 その合間から走り寄る漆黒のリーゼント。

 自慢の拳を握りしめ、三面六臂のミイラに跳びかかる。


「ウオルァッ!!」


 元番長の一撃。ボギンと肋骨を砕き割り化け物に悲鳴を上げさせた。

 凶悪な一撃を受けた化け物は脅威の優先度を元番長に向ける。

 振りまわされる二つの柩。右から左から、バックステップで即座に飛び退いた元番長の目の前をブオンと重量物が二度通り過ぎる。


「突出し過ぎるな、仲間がいるのだ」


「オルァ!」


「好戦的なのはいいが敵の攻撃を喰らえばお前といえど無傷で済むまい。全員、生存して帰還するぞ!」


「う、ウルァ」


 仕方ない。といった顔で頷く元番長。どうやらクーフの言葉を理解はしているらしい。言葉は喋らないけど相手の言葉は分かるとか、バズ・オーク並みに頭いいのだろうか?

 っと、あいつの意識が逸れた隙に。


 僕はそぉっとアルセソードに近づくとポシェットに回収しておいた。

 その間に棒立ちの元ミイラ少女を抱えて戦場離脱。

 皆がこっちに意識を向けていない内にアルセの背後に辿りついて少女を降ろす。

 チェーンソウ? 当然ポシェットに隠して運びました。

 今取り出しといたけどね。

 少女がいつ気付いて参戦しても良いように彼女のすぐ横に置いておいた。


「皆さん、援護します!」


「ブヒッ!」


「エンリカ頼む。でもバズ・オークは待ってくれ! アルセ達の御守を頼む。そいつらが好き勝手したら倒せるもんも倒せねぇ! こいつは手を抜ける相手じゃない!」


「ブヒッ!」


 カインの言葉に頷くバズ・オーク。闘いたいようだが姫様の護衛を優先したようだ。


「コ・ルラリカ!」


「ラ・ギライア!」


 ネッテとユイアの魔法が同時に発動する。

 同時に動き出すカイン、バルス、リエラ……ちょ、リエラさんまで行くんですか!?


「俺は右、バルスは左、注意がそれたらリエラ、腕を狙え!」


「「はいっ!」」


 右手で剣を、左手で柩を持ちながら相手の柩の一つを牽制するクーフの脇を通り抜け、隙を見て打撃を加える元番長の隣を駆け抜け、カインが勇敢にも化け物の真横を走る。

 同時にバルスも逆方向に走り、同時に足へと剣を叩き込む。


 化け物の悲鳴が上がった。

 苛ついたようにカインとバルスに柩が襲いかかる。

 だが、それは逆に化け物の隙となった。


「いっけぇぇぇぇぇッ!!」


 最後に走り込んできたリエラがアルセソードを振り下ろす。

 刹那、彼女の腕が伸びるようにミミック・ジュエリーが遠く離れた頭上に存在する化け物の腕を切り落とした。

 ……なんだろう、リエラが関係なくない? あの攻撃、ミミック・ジュエリーが居れば出来た攻撃だよね?


 腕を切られたせいで支えを失った柩が落下する。

 真下にはリエラ。

 マズい。と思うが杞憂だった。

 すぐ横に走り込んだクーフが柩を振り上げ落下してくる柩を叩き落とす。

 その勢いに任せてくるりと回転。右手で持った大剣で化け物の胴に一撃を叩き込んだ。

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