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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その遺跡の秘宝が何だったのかを彼らは知らない
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その混沌の場を治める術を彼らは知らない

「オオオオオッ」


「ヌンッ」


 雄たけびと共にマミィの柩が襲いかかる。

 ソレを迎撃するクーフ。

 柩同士がぶち当たり物凄い音を響かせる。


「ガァッ」


「ムッ」


 すかさず連撃を叩きこむマミィ。

 重量物をモノともしない一撃を、難なく柩で受け止めるクーフ。

 もう、完全に人外の闘いです。


 いや、普通に拮抗してる剣同士の闘いに見えなくもないけどね、実際問題闘いに用いられているのは人一人入れる巨大な柩を用いた鈍器での打ち合いだ。

 しかも両方の柩に傷すら付かない。


 僕らはただただ見てるだけである。

 ほらアルセ、ふらふらしない。

 今アルセを野放しにするとなんかいろいろ混沌化しそうなのでアルセの腕を掴んでおいたのだが、どうもアルセはどこかに行きたいらしい。

 しきりに脱出しようとしてくる。


 ほら、イイ子だからここにいなさい。

 リエラからもなんとか言ってやって……ってリエラさん?

 リエラとネッテ、ユイアの三人は揃ってクーフたちを見ながら元カノかな? とかどうでもいい想像を言い合っていた。


 あのマミィ、クーフの知り合いじゃないと思うよ。

 そんな元カノとかじゃないと思うよ、うん。

 なんでそんな残念そうな顔なの?


「ヌガァッ」


「チィッ」


 力任せに振われる柩を受け止めるように柩を振うクーフ。

 押され始めているのは防御側に徹しているせいだろう。

 迎撃するより攻撃すべきなのだが相手の力任せの闘い方のせいで反撃が出来ないでいるらしい。


「なんとかクーフさんのフォローできませんかね?」


「無理ね。下手に手を出すとこっちに来るから、それこそクーフの邪魔になるわ」


「補助魔法、覚えてればよかったんですけどね」


 としみじみ口ずさむユイア。バルスを助けるために補助魔法を覚えようと思った時期もあったらしいのだけど、攻撃魔法の方が魅力的だったのでこっちを取ったとか言っていた。

 よくわからないけど攻撃魔法を取ると補助魔法は取れないのかな?


「見てるだけしかないかぁ。神父さんに補助魔法お願いしたらよかったなぁ」


「あ、それはダメよリエラ。あの神父さん回復魔法使えるけど補助は使えないから。ちなみに攻撃魔法の方はマルメラさんのを込めてるの。補助魔法を求めるならもう一つの教会に行くしかないわね」


「あの堅苦しい方にですか。私、神父さんたちの教会の方が行きやすいんですけど」


「適当感だしまくりの教会だしね。冒険者である私達が行きやすいのは確かね」


 そういえばもう一つ教会あるんだっけ。今度アルセと行ってみるか。なぁある……せ?

 僕は掴んでいたアルセの腕を見て固まった。

 そこにはいつの間にかアルセではなくマーブル・アイヴィの蔦が握られていた。


 あ、アルセェッ!?

 気が付けば、アルセがこの空間の中央に座す柩を開いているところでした。

 敵ぃ!? 敵増やしてどうするのアルセさん!?


 そして現れる新たなミイラ。

 団子頭+ツインテールの藍色の髪を持ったミイラ少女が現れた……って、ちょ、その仮面何!? なんで工具持ってるの!? ブルン、ブルン、ギュイイイイインとか、スイッチ入れちゃダメ! それ色々ヤバイからっ!


 仮面はあの穴のあいた特有の仮面……ではなくおそらくデスマスクという奴だろう。人の皮で造られたマスクなのだが少女の顔にぴったり張り付いてることからして彼女自身のデスマスクと思われる。

 そして手にしているのはそう、あの木を切るための武骨なる工具、チェーンソウでございます。

 色々とおかしいのは黄金色に輝くチェーンソウでしょう。どう見ても回転している刃部分に虹色の輝きが生まれている。


 ミイラ少女は艶やかさを失いながらも普通にふさふさの髪を揺らしながら走り出す。

 ミイラなのに凄い身軽である。

 そして対峙している二人のミイラのもとへ。


「ムゥッ!? 新手だと!?」


「ガァッ!?」


「……」


 驚くクーフと新たな敵に戸惑うマミィ。その二人に対峙するようにチェーンソウを両手で構えるミイラ少女。

 三つ巴の闘いが今、膠着状態に入った。

 ……どうすんのこの混沌?


 僕は思わずアルセに視線を向ける。

 にぱっと笑顔を返すアルセ。笑顔でも今回のは許しちゃいけません。

 こういう悪戯をしてはいけないと怒らないとっ。やっぱりお尻ペンペンの刑が妥当なのでしょうか?


「って、アルセ、あんた一体何したの!?」


「アルセ、まさかまた開けちゃったの!? 柩開けちゃダメよ!」


「えーっとリエラさん、もしかしてですけど、あのミイラ女もアルセが柩開けたせいで?」


 悪いのは全てアルセです。

 僕はアルセを甘やかしすぎたのではと後悔したがちょっと遅かったかも知れません。

 いや、きっとまだ逆転可能なはず。やんちゃ過ぎるのは危険なのでこれから押し留めて行こう。

 覚悟してくれアルセ。僕はこれから心を鬼にするよ。


 まぁ、今は、クーフ、死なないで。

 アイテム紹介


 古代人の扱う柩。ヒヒイロカネ製のため時間が止まっている。このため破壊不能オブジェクトになっている。

 蓋部分には彼らにとっての英雄の姿が描かれており、底の後頭部に位置する部分には左右と真ん中に持ち手が付いている

 左右の部分は両手で持って振りまわすため縦に取り付けられており、底の部分の支柱は横に、柩を盾として使えるように取り付けられている。

 また、アイテムボックスとしても使え、長旅にも便利なテント代わりに使われていた。昔は空気も入っていたらしいのだが、経年劣化で失われたようだ。

 代わりに真空保存が可能になった。

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