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その彼の名を誰も知らない  作者: 龍華ぷろじぇくと
第四話 その遺跡の秘宝が何だったのかを彼らは知らない
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そのミイラとの関係を彼自身も知らない

 お、おー。


 柩から出現した大女のミイラ……というか包帯ぐるぐる巻きの生物がゆっくりと眼を開く。

 マミィといえばいいんだろうか。

 包帯に巻かれているのでミイラ化した姿は見えないが、そのプロポーションはかなり美しい。ただ、やはり大柄だ。2mくらいはある大女である。


 そいつに感嘆の意を洩らすアルセ。

 ギロリとアルセに視線を向けるマミィ。

 足を踏み出し柩から出ると、アルセに向って腕を振り上げる。

 アルセッ!


 慌てて走り出す僕。でも拳が振り下ろされる方が速いっ。

 アルセに拳が当るその瞬間、アルセの頭の草が強い発光を始めた。

 突如眼の前で光が溢れ仰け反るマミィ。


 って、アルセ眩しいっ。僕も眼がぁぁぁっ。

 直撃を受けたのはアルセを助けるために近づいていた僕も一緒だった。

 思わずその場で転げ回る僕に代わり、リエラがアルセに近づいて彼女を抱え上げる。


「透明人間さんッ、先に行きますッ!」


 ええっ!? おいて行くんですかリエラさん!?

 まぁどこで転げまわってるか分からないから助けようもないのはわかるけどさ。

 うぅ、酷い目にあった。


 ようやく目が慣れだすと、僕は直ぐに走り出す。

 横目にちらっと見れば、マミィは自分が出て来た柩を手にして肩に引っ提げ、リエラ達を追う準備を始めていた。


 やばい。クーフが敵にまわった状況だ。

 僕は彼女より少し早く通路に入り、リエラに追い付くために走り出す。

 どうやらマミィは走ることはないらしい。けれどゆっくりと距離を詰めて来る。


「きゃあああああああああああっ」


 なんかリエラの悲鳴が!?

 全速力で走る僕の目の前に、リエラとアルセが見えた。

 そして、通路を埋めるようにのたうつ大蛇さんがマーブル・アイヴィに絡め取られていた。


 なんとも凄い状況だ。

 開かれた蛇の口に巻きつく蔦。尻尾を絡め取る蔦。おおよそ全ての動きを封じられた蛇はのたうつこともできず悔しげにアルセを睨んでいる。

 そんなアルセは蔦を蠢かせて段状に編み込むと、リエラの腕を離れて階段となった蔦を昇って行く。


「これは……」


 驚いてる場合じゃないリエラ、奴が近づいて来てるから!

 僕は驚いたまま立ち止まっていたリエラの手を取って階段を駆け上がる。


「と、透明人間さんっ!?」


 驚いていたリエラは突然引かれた腕にまた驚き、顔を赤らめながらも付いてきた。階段を駆け上がり蔦の通路を通り抜けて階段を下りると、待ってましたとアルセが蔦の一部に手を触れマーブル・アイヴィを枯らしてしまう。


 自由になった大蛇がのたうちながら体勢を変えようとしたその刹那、バゴンッと何か鈍い音が聞こえた。

 怒り狂った蛇の威嚇音と打撃音が何度か響く。

 そして、ぐったりと蛇が痙攣しながら動かなくなった。

 蛇が伏せた先に見えたのは、巨大な柩を抱えてこちらを睨むマミィ。


「に、逃げましょうっ」


 リエラに同意だ。

 僕はアルセを抱え上げてリエラの手を引き走り出す。

 しばらく通路を駆けると、ようやく次の部屋に辿りついた。


 背後の通路が隔壁によって閉じられる。

 そして出現する敵が前方の隔壁から……


「リエラ!?」


「ネッテさん?」


 隔壁が開いて現れた敵はネッテ、ユイア、クーフの三人だった。


「無事だったのね! アルセと落下した時には焦ったわ」


「なんとかここまで脱出できました」


 ネッテに駆け寄るリエラ。僕もアルセを抱えたまま彼女たちに近寄る。

 でも、どうしようか。隔壁は両方閉じたままだ。


「ふむ。これは困ったことになったらしい」


「クーフさん? どういうこと?」


「どうもどちらかの隔壁を開くにはそちらから出現した敵を倒さねばならぬようだ。となると、我らが敗北しなければリエラは脱出できん。そして我等としてもこちらに戻るにはリエラを倒さねばならん」


「な、なるほど、そういう罠ですか……どうしよう」


 困った顔のユイア。その視線は部屋の中央に佇む柩に向う。


「ふむ。こいつを倒せば両方開くという罠かもしれんな」


 そう、クーフが呟いた瞬間だった。

 僕らがやってきた隔壁に打撃が打ち込まれる。

 なんだ? と思った僕らの視線が集まった時、隔壁は衝撃に耐えきれず粉砕された。


 のっそりと、マミィが現れる。

 力技で隔壁壊しやがった……

 リエラが慌ててクーフの後ろに走り込む。

 せっかくなのでアルセもそちらに回り込ませた。


「なんダあいつは?」


「クーフさんの知り合いじゃないんですか!? 同じミイラだしほら、柩武器にしてますよ!」


「ふむ。なんにせよ襲ってくるなら闘わねばならんな。任されよう」


 記憶にはないらしいクーフは柩を抱えて対峙する。

 ミイラVSミイラ女。実力的にはほぼ拮抗している気がするのだけど、これどうなんの?

 イクシス

  種族:古代人 クラス:マミィ

 ・柩内で冒険者を待つミイラの一人。2m越しの大女。脳味噌が退化しているのかクーフのように話せない。

  問答無用で襲いかかって来る上に、腕力はクーフ同等らしい。

 ドロップアイテム・古代人の柩、包帯、クリスタルソード、イクシスの日記

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