第26話 前編 漏れた計画
「拘束された場所は、わかるか」
「旧礼拝堂の、東の詰所です。ローデン殿の隊は、全員、待機を命じられました」
セレスは、手帳を開いたまま、早口で続けた。
「ガルシアの名目は『内通の疑い』。ただ、実際には、牢の警備計画が漏れたと、確信している動きです。牢の見張りが、今朝から、直属の騎士に入れ替えられました」
「計画を知っていたのは」
「ローデン殿と、私たち四人。それと、老司書殿だけです」
ティオが、不安そうに顔を上げた。
「僕たちの中に、裏切り者がいるんですか」
「それは、ない」
俺は、即答した。
「全員、長老を助けたい理由がある。疑うなら、外だ」
「……外、ですか」
「あの詰所の窓は、塞がれていた。扉も二重だった。だが、俺たちが話していた部屋の暖炉には、煙突がある」
シルファの耳が、ぴくりと動いた。
「煙突から、声が、漏れる?」
「かもしれない。もしくは、詰所に出入りしていた、他の誰かだ」
セレスが、静かに眼鏡を押し上げた。
「ローデン殿の隊員を、洗い直す必要があります。私が、老司書殿を通じて、探ってみます」
「頼む。俺は、ローデンを助け出す方法を考える」
ホルストが、茶器を片付けながら、ぽつりと言った。
「この塔には、古い地下道がある。旧教会区の、旧礼拝堂まで、続いているはずだ」
「そんなものが」
「天文台は、昔、教会が建てた。星を読むための、聖職者の通り道だった」
老人は、棚の奥から、錆びた鍵束を取り出した。
「使いなさい。マレンも、一度、使った」




