↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/52

第24話 前編 地下水路の鈴

白樺屋の地下室は、ワイン樽と織物の梱包材で埋まっていた。


壁の一角にある石の蓋を、ベルトランが三人がかりで持ち上げる。下から、冷たく湿った空気が吹き上がってきた。


「この水路は、百年前の下水道です。今は使われていませんが、旧教会区の地下まで続いています」


「ありがとうございます。ミアちゃんは」


「二階の乳母に預けました。あの子には、客は朝に発った、とだけ伝えます」


ベルトランは、俺の手を両手で握った。


「どうか、ご無事で」


「必ず、また来ます。その時は、ミアちゃんにココアを持ってきます」


「……楽しみにしております」


梯子を降りると、足首まで水に浸かった。


『長靴(防水・膝丈) 銅貨 3 枚×4』


出発前に買っておいてよかった。ティオの分は小さめを選び、全員のヘッドライトを点ける。白い光が、苔むした円形の天井を照らし出した。


「うえ、ぬるぬるする」


「ティオ、壁には触らないで。何がいるかわからないわ」


シルファは、弓を肩にかけ、先頭に立った。耳が、水音の中の異音を、絶えず拾っている。


「この先、百メートルは何もいない。ただ、少し先に、足音。たぶん、上の通りの、兵士ね」


「地上は、もう囲まれてるか」


「ええ。でも、ここまでは来られないと思う」


セレスが、手帳を水濡れから守るため、防水ケースに入れて抱えていた。


「水路の構造図は、ベルトランさんから写しを頂きました。三つ目の分岐を、右。その後、五百メートル先に、旧礼拝堂への、点検口があるはずです」


「頼もしいな」


「ふふ。仕事ですから」


水の音と、四人分の足音。


十分ほど進んだところで、ティオが、足を止めた。


「あれ……何か、聞こえませんか」


「鈴の音?」


懐の銀の鈴が、誰も触れていないのに、りん、と微かに鳴っていた。


板が、胸の中で、脈打っている。


『こちらです』


画面に、短い一文。同時に、右の分岐の壁が、ぼんやりと青白く光った。


「……導いてるの?」


「そうらしい。行ってみよう」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。