第19話 前編 北へ向かう支度
出発は、三日後の朝と決めた。
ガレンハルトまでは、馬車と徒歩を合わせて、およそ十日。満月まで残り二十五日。余裕はあるが、道中で何が起きるかわからない。
居間のテーブルに、地図と帳面を広げた。
「同行者は、俺、シルファ、セレスさん、ティオ君。ダインとリゼは、店を守ってもらう」
「納得はしたけどよ」
ダインが、腕を組んで唸った。
「本当は、ついていきたかった」
「屋台を空けるわけにはいかない。それに、君たちがいるから、安心して出られるんだ」
「……わかった。店は、任せろ」
リゼが、小さな袋を差し出した。
「これ、持っていってください。火の魔石を、小さく砕いたものです。いざというとき、焚き火の足しになります」
「ありがとう。助かる」
「それと、シルファさん」
リゼは、少し迷ってから、言った。
「無理を、しないでくださいね。あなたが倒れたら、レイジさんが、一番困りますから」
「……わかってる」
シルファは、少しだけ、頬を緩めた。
旅の装備は、板で、慎重に選んだ。
『大型バックパック 50L×2 銅貨 12 枚』
『携帯浄水器 銅貨 6 枚』
『モバイル太陽光パネル(折り畳み) 銅貨 8 枚』
『ポータブルバッテリー 銅貨 10 枚』
『保温ボトル×4 銅貨 8 枚』
『エマージェンシーブランケット×4 銅貨 2 枚』
「この、ぴかぴかの紙は?」
ティオが、銀色のブランケットを、興味深そうに広げている。
「体温を、逃がさない紙だ。広げて、体に巻くと、すごく温かい」
「へえ!」
「ただし、音が鳴る。隠れるときには、使えないから、気をつけろ」
「わかりました!」
家電のカテゴリーは、まだ電源の登録が必要だが、太陽光パネルとバッテリーなら、電気を、少しだけ蓄えられるかもしれない。試しに、ヘッドライトの予備電池を、充電してみる。
『電源設備が、登録されました』
『小型機器のみ、ご利用いただけます』
「……お」
板が、ほんのり、光った。
「電気が、使えるの?」
「ごく少しだけな。スマホ……いや、小さな機械なら、動かせる」
「すまほ?」
「気にしないでくれ」
ノートに、大きな文字で、メモを残した。
『家電:小型機器まで。大型は、第二の鍵以降』




