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酔狂〜紫硝の怪物達〜  作者: 紫月 凛
二章〜何でも屋と表の女子高生〜
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男子会(?)Part2 セイ視点

リアクションありがとうございます。

最近、リアクションが増えたきて嬉しいです。

「他人を意のままに操る異能は存在するか?」


 ペンが走る音とキーボードを叩く音のみが響く部屋にその声は小さかったが、よく響いた。


「おっ、急にどうしたぁ? 奴隷にしてぇやつでもいんのかぁ?」


 ずっと複数の画面を見続けたせいで乾燥した目を擦りながらも、セイはニヤニヤとした笑みを崩さない。


「凪、俺少し出かけるで!」


 巻き込まれるのはごめんだとばかりに夏弦は部屋を出ていった。異能を使い、気配を完全に消して。


「若いっていいねぇ。」


「お前も然程変わらないだろ。それと、夏弦はフリーだぞ。」


「おぉっと、そうなのかぁ? 今度いい女でも紹介してやろう。仲介料は期待しとくぜぇ?」


 大袈裟なリアクションを示しながらセイは自分が使っていたパソコンやタブレットの電源を落とした。

 そんなセイの瞳は古代紫色に染まっている。


「っ!?」


 それに気づいた凪が瞳を桔梗色に染めたが、一足遅かった。


「なるほどねぇ……最近月守組に入った顕っつー男は操られていたわけだ。」


(凪ちゃんもまだまだだねぇ。表層心理に浮かぶくれぇ大事なことに気を取られちゃって、可愛いもんだ。()()()と大差ねぇ。)


「そうか。」


「ん? あー、やっちまったか。」


 髪をかきあげ、天井を仰ぐ仕草は胡散臭いの一言に尽きる。

 わざと凪の質問に答えるような内容を口走ったのか、はたまた偶然か、全てが嘘臭い情報屋相手では判断しにくい。


「ちっ、お前らみたいな訓練されている人間は思考がわからん。もう少し愛想を身に着けろ。」


「おめぇもな。一ヶ月、同じ地獄で共に切磋琢磨した仲だろぉ?」


「生憎、俺にとっては輝かしい記憶ではない。」


(いいねぇ、女を守る男はつよいからなぁ。今後も定期的に凪ちゃんの恋の行方を見守るには……)


 セイが邪な目的が大半を占める思考をしていると、凪が作業に戻ろうとした。


「一ヶ月に一回くらい、情報をやろうか?」


「どういう風の吹き回しだ?」


 凪は動きを止め、セイの真意を探ろうと視線を合わせる。セイはその視線を堂々と受け止め、身を乗り出す。


「要は狸と狐の化かし合いだ。お互い、探られたら痛い場所しかねぇ腹を針でつつきまくって欲しい情報をとるんだよ。」


「断る。」


 即答だった。

 理由は簡単だ。腹の探り合いにおいて読心の異能を持つセイの右に出る者はいないのだから。


「ひっでぇなぁ。繊細な俺の心が傷ついちまった。凪ちゃんが話し合いを了承してくれなきゃ傷ついた俺が口を滑らせちまうかもなぁ?」


「国語辞典を買ってこい。」


 泣き真似をしていたセイの頬を涙が伝った。


「うぅ……俺のことがそんなに嫌いかぁ?」


「あぁ。」


 力強く頷いた。

 セイの演技は凪に効かない。

 一刀両断。半ば被せるように切って捨てられた。


「はー、なんでこんなに生意気になっちまったのかねぇ? 昔はすーぐ泣いて縋ってきたくせに。」


 セイの涙はいつの間にやら止まっていた。

 もとのニヤニヤとした笑みを浮かべている。


「でもよぉ、この話を飲まねぇとおめぇは収容所(アサイラム)の情報を手に入れらんねぇぜぇ? セナのやつ、おそらくだが異能を偽ってっからなぁ。」


 セイの言葉を聞いた凪には特段、大きな変化が見られない。テーブルをトントンと指で叩きながら考え込んでいる。


「異能を偽っている、というのは異能を覚醒している数か? もしくは自己治癒と称して本来セナが覚醒している異能は別物という意味か?」


 ピキリ、とセイの余裕の笑みが凍った。

 次の瞬間、部屋には大きな笑い声が響き渡った。


「あっ、ははははははははっ! そうか! そこまで気づいてたのか!」


 パチパチと拍手をしながらダンッ、とテーブルが壊れないよう加減しながら拳を叩きつけた。


「その質問には正直に答えてやる。いいか、ぜってぇセナに悟られるんじゃねぇぞ?」


 そう前置きし、真剣な顔で凪の瞳を射抜いた。


「前者だ。いいか、よく聞けよ。」


 自分を落ち着かせるようにゆっくりと深呼吸をする。セイの頬を冷や汗が伝う。


「セナはな、異能を二つ覚醒してる。一つは自己治癒、そしてもう一つは――」


 凪も真剣な顔でセイの瞳を射抜く。一言も聞き逃すまいと神経を尖らせる。


「知らん。」


「は?」


 真剣な雰囲気はその一言で霧散した。


「だってよぉ、しょうがねぇだろぉ? 異能者相手にそいつの異能を聞くのは核爆弾を投げつけんのとおんなじだ。詳細までは読心でもわからなかった。」


「お前な、それでも……一ヶ月に一回の腹の探り合いを飲んでやる。」


「おっ、これは感謝しねぇとな?」


 セイはニヤニヤと笑いながら部屋の扉に顔を向ける。

 取っ手が傾き、銀髪に紫色の瞳の少女――セナが帰ってきた。


「お待たせ。籠絡、必要なかったわ。」

皆さんは既にセナの二つ目の異能はご存知ですよね?

覚えてない方は一章の四十話〜最終話のどこかにあるので読み返してみてください。

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