表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
酔狂〜紫硝の怪物達〜  作者: 紫月 凛
一章〜何でも屋と元若頭様の世話係〜
39/40

38 顕視点

ブクマ&評価ありがとうございます。

「さてと、凪達もいないことだし、今夜は二人きりでゆっくりとお話し合いでも楽しみましょうか。」


「尋問の間違いでは?」


 セナと顕は「ロライ」という()()の拠点にいる。二人は微笑んでいるため、一見するとただ、笑い合って談笑している男女にしか見えない。とても平和だ。見た目だけは。

 ほんの少し離れ、二人の周囲に視線を向けると、人間が転がっている。セナと顕に気絶させられただけで、生きてはいる。逃げられないよう、手首と足首、親指の付け根を縛られ、山積みになっている。


「酷いわね。私はただ、平和的に貴方とお話したいだけですよ?」


「依頼主をこき使っておいてよくそんなことを言えますね。」


 その言葉通り、顕は先程まで労働をしていた。ロライの拠点にいる人間の意識を奪い、拘束し、山積みにする、というかなりの重労働だ。


「さてと、じゃぁ、貴方の依頼達成の報告でも始めましょうか。」


 セナは人間が自然と警戒を解いてしまうような微笑みを浮かべながらそう言い、その場にあった机に座った。顕は近くの壁に背中を預けて腕を組む。


「さて、凪達にも言った通り、私は貴方からの自分を消す、という依頼を達成しました。何か私から聞きたいことはありますか?」


「いくつかあります。」


「この後も仕事があるから手短にお願いします。」


(こうして微笑んでいるだけなら表の人間にしか見えないんですけどね。初対面の際は汚いことを何も知らない少女に見えたのですが…実際は真逆ですね。)


***


「こんにちは。ケンさん…いえ、顕さんって呼んだほうがいいですか?」


 顕は突然、耳元でそう囁かれた。急いでそちらに視線を向けると、金髪の少女がいた。その少女はこの世の者とは思えないほど、人間離れした美貌の持ち主だった。少しキツめの顔立ちも少女が浮かべている微笑みで親しみやすい印象を受ける。しかし、


ー危険だ


 顕は本能的にそう思った。一見すると、容姿が人間離れしているほど整っていることと身長が平均的な女性の値よりも高いこと以外はどこにでもいそうな美少女だ。しかし、顕の勘は目の前にいる、女神のような少女はこちら側の人間だと告げていた。


「何者ですか?その名はもう随分と長く使っていないはずなのですが。」


 顕は顔に微笑みを貼り付けながら少女にそう尋ねた。少女は鈴を転がすように笑いながら顕から一歩、距離を取った。


「申し遅れました。私は裏の何でも屋をしている者です。セナと呼んでください。」


 顕は一瞬、笑みが崩れかけた。裏の何でも屋のセナ、その名は裏社会に少しでも関わったことがある者ならば、必ず耳にする人物の名の一つだ。

 年老いた老婆、屈強な男、小柄な少年、愛らしい少女、などと噂されている。噂されている姿形は様々で、実際に姿を見た者はほぼいない。年齢や性別、容姿は当然のように不明で、国籍なども多くの者は知らない。

 確かなことは二つだけ。

 一つ、実力主義の裏社会でもトップクラスを誇る実力者だということ。

 二つ、依頼と代金が釣り合っていれば基本は気分次第でどんな汚れ仕事も請け負うということ。

 一つ目は何でも屋のセナは何人もの裏社会での有名人達、ヤクザの組長や闇の商会の会長、外国のマフィアのボスなど、とのコネクションがあることから余程のバカじゃなければすぐに分かる。

 二つ目の依頼と代金が釣り合っていれば基本はどんな汚れ仕事でも請け負う、というものは実際にセナに依頼をした者達ならば身を持って知っていることだ。セナへの依頼は暗殺や情報収集、死体の処理、人探し、証拠隠滅、拉致、監禁、誘拐、尋問や拷問の代理、社会的抹消、脅迫など、非常に多岐にわたる。裏にはそれ専門の人間がいる。しかし、セナはその全てを完璧にこなす。多くの依頼主達はセナと直接顔を合わせてはいない。しかし、たまにその依頼主が消息不明になることがある。何でも屋への依頼をした後に。調べると、代金の支払いを渋ったり、セナを侮っていると分かる金額を支払った、など裏では致命的なことをやらかした者達だとわかる。やらかした者達は基本は生かされ、利用される。利用価値はいくらでもある。

 しかし、何でも屋は利用しない。セナはそんな面倒なことをしない。全て片付けるのだ。

 実際に何でも屋が依頼主を片付けた、という証拠はない。しかし、裏の人間達は本能的に察している。セナが殺ったのだ、と。このようなことは一度や二度ではない。何度もあった。やがて、裏社会に暗黙の了解が追加された。


―――何でも屋との約束は命を賭して履行しろ―――


 破った時、その者に待っているのは死のみ。


 顕も当然のようにその噂を知っている。そのため、何でも屋のセナという名を騙る愚か者は想像を絶するバカ以外にはいないと理解している。そして、目の前の少女は顕のパーソナルスペースに難なく入り込んでみせた。実力は確かだ。故に、想像を絶するバカではない。


(本物、ですか。)


 顕はすぐにそう理解し、セナから三歩ほど距離をとる。


「私に何かご用でも?一応、忙しい身ですので手短にお願いいたします。」


 それが何でも屋と元月守組の若頭の世話係との出会いだった。


***


(相変わらず、仮面を被るのが上手いですね。私でも最初は騙されかけましたしね。)


 セナと顕は微笑んでいる。しかし、二人の空気は驚くほどに冷え込んでいた。

最近忙しいんですよね…

面倒事からは逃げているはずなのにおかしいなぁ、と思いながら徹夜(趣味のため)しています。徹夜は一週間からが本番なのでまだ作者は元気です。少し深夜テンションがヤバいだけです☆


更新頻度が落ちます。最低でも一週間に一回は更新すると思います。多分!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ