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酔狂〜紫硝の怪物達〜  作者: 紫月 凛
一章〜何でも屋と元若頭様の世話係〜
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評価ありがとうございます。

「勝手に記憶を捏造しないでもらえますか?私は泣いてなどいませんが?」


「そうでしたか?」


 カップやソーサーの片付けを終えたセナは再びソファの上に足を組んで座る。


「凪、今回の依頼の代金はなしでいいわよ。貸しってことで。」


「…あぁ。わかった。」


 セナの言葉に凪は反論せずに頷いた。反論したところでセナのペースに持っていかれるだけだからだ。セナはユウリとルランに余ったポップコーンと飲み物を持ち帰り用の容器に入れさせ、凪達に渡す。


「あんまり食べてないでしょ?これはお土産。翔琉さん達と食べて。」


「…毒とか入ってないよな?」


「凪達は耐性あるでしょ?」


 凪の確認にセナは否定も肯定もしない。ただ、楽しそうに笑っているように見せている。


「そういう問題じゃないだろ。」


「大丈夫よ。食べ物を粗末にしたら罰が当たるもの。だから、私は食べ物に毒を盛るなんてことしないわ。」


 凪は一瞬、瞳を桔梗色に変え、セナを見た。オーラの様子からセナは嘘をついていないとわかる。しかし、セナは自分のオーラを抑えることができる。眼で視たことが全てとは限らない。


「お前はオーラを誤魔化すこともできるのか?」


「ん〜…一応ね。でも、疲れるからあんまりやらないわ。」


「そうか。それにしても…お前は神を信じているのか?」


 凪の言葉を聞き、セナは一瞬、キョトンとしたあと、肩を震わせて笑い始める。


「フフッ…アハハッ…」


 急に笑い始めたセナを凪と夏弦、顕は警戒する。セナは凪の方へ顔を向ける。セナの表情はいつも通りだ。人間が自然と警戒を解いてしまうような、柔らかく、優しい微笑み。しかし、その瞳には何の感情も宿っていない。


「神?そんなもの、いるわけないじゃない。物語の世界では主人公が困ったら神様が助けてくれるけれど…ここは現実よ?しかも、物語の世界でも神様は力が強すぎるとか歴史が変わるとか何かと理由をつけて主人公とその周囲しか助けないじゃない。」


 セナがここまで長く喋るのは珍しい。そのため、ユウリとルランは目を見開いてセナを凝視している。


「私は…私達(異能者)は主人公になんか絶対なれないのよ?だって……」


 そこまで言って、セナは我に返ったのか、言葉を止めた。


「あら…ごめんなさいね。話しすぎたわ。私は神は信じていないけど、食べ物を粗末にするなんてことは絶対にしないわ。毎日何かを口にできることが当たり前じゃないことくらい、痛いほど知っているもの。」


(水だけでも毎日飲めたら……()()()()()()わよ。)


 セナはそれ以上話す気はないのか、ソファの背もたれに体を預ける。


「それじゃ、今夜はもう遅いから。さようなら。」


 セナは視線で凪達にさっさと帰れ、と圧をかける。


「邪魔したな。」


「ほな、さいなら。にしても俺、いる意味あったんかな〜?」


「では、またお会いしましょう。」


 三人が部屋を出ると途端に静寂がその場を支配する。スクリーンなどの機材を片付け終えたユウリとルランはセナが端末に送った仕事を片付けに行ったため、部屋にはセナだけが残った。


「…さてと、私も残りの仕事を片付けなきゃね。」


 セナはそう呟くと髪をまとめて部屋を出て行った。

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