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2,3日ほど更新を忘れてました。睡眠不足で寝てたのと別の作品(投稿予定は今のところなし)を書いていました。更新を待っていた皆様(いるかは不明)遅れてしまい、申し訳ございません。
「映画の上映中に叫ぶのはマナー違反じゃないかしら?」
スクリーンにはエンドロールが流れている。翔琉や青羅の名前も出演者のところに流れていた。
「勝手に人の過去をバラすほうがマナー違反ではないですか!?」
「ん?顕さんのご依頼通りにしただけなのですけれど…」
顕の言葉にセナは首を傾げる。顕もセナの返答に首を傾げている。お互い、会話がかみ合っているようでかみ合っていなかった。
「待て、一旦、映画?のことは置いておこう。今考えてもお前がまともに答えるとは思えん。それで、顕はお前に仕事の依頼をしていたのか?」
「…?もしかして、顕さんから何も聞いていないの?」
凪からの質問にセナは少し驚く。顕と凪は和解しているように見えたため、顕が凪にとうの昔に話しているものと思っていたのだ。
「あぁ。お前への依頼については何一つ聞いていない。」
セナは芝居がかった仕草で頬に手を当て、考え込む。
「教えてあげたいのだけれど、依頼人の個人情報を守るのも私の仕事だから…依頼人が直接、本人の口から言うのは別に構わないのだけれど…」
セナは言葉の最後でしっかりと顕にニコリ、と微笑んだ。
―――どうするの?
と、セナは顕に視線で問いかける。顕がセナにした依頼について、凪達に言うか言わないかは顕が決めることだ。セナはそこに干渉するほど野暮じゃない。
「…セナ様には私を消していただく予定でした。依頼はそれだけです。」
顕は数分悩んでから依頼の内容を凪達に教えた。
「ふざけているのか?」
凪は他人を威圧するような低い声でそう言った。
「お前は自分の責任から逃げるほど臆病な人間ではないだろ?しかも…消えるくらい、他人に頼まずに自分で終わらせろ。」
部屋を重く、気不味い空気が満たす。そんな中、セナは優雅に紅茶を飲み、ユウリとルランはスクリーンなどの片付けをしている。まるで、自分達には関係ないとでも言うような態度だ。
「この件はお前達にも関係あるだろう?」
「なんのことかしら?」
セナは凪の問をすっとぼけてソファでリラックスしている。ついでに紅茶のおかわりまでしている。彼女のマイペースな態度を見ても翔琉や青羅で耐性ができているのか、凪には苛立っていく様子が見られない。
「お前は顕からの依頼を受けたんだろう?顕を消す依頼を。それなのになぜ殺さなかったんだ?」
「ん〜?気分って言って納得してもらえるかしら?」
「すると思っているのか?」
(さてと、どうするか…これ以上はお互いの地雷ならぬ核爆弾を起爆させかねないのよね。)
セナは凪達を上手く納得させる言い訳を思案する。目を閉じ、数秒するとすぐに開ける。
「だって、顕さんそのものを消す依頼ではないでしょう?」
セナはあっけらかんと言い切った。動揺するところを見せたらすぐに嘘だと見抜かれる。ならば、堂々と言い切ってしまえばいいのである。
(ま、バレたらその時考えましょ。)
「顕さんは自分を消す、という依頼を私にした。ここまではいいわね?」
セナの確認に凪、夏弦、顕は無言で頷く。
「顕からは『自分を消してください』って泣きつかれただけなのよ。だから、私は顕さんを物理的に殺すのではなく、凪の中から裏切った顕さんを消すことにした、というわけ。」
セナの言い分は、詭弁に近いが間違ってはいない。「顕を消す」という依頼には顕の殺害だけではなく、記憶の抹消やイメージの上書きも含まれるからだ。この件に関しては、具体的な指示をしなかった顕に全面的に非がある。
(よし、あとは上手く凪と顕さんが話し合いをするって方向に話を持っていけば大丈夫ね。)
セナは上手く誤魔化す段取りを整えられたことに満足し、紅茶のカップやソーサーを片付け始めた。




