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酔狂〜紫硝の怪物達〜  作者: 紫月 凛
一章〜何でも屋と元若頭様の世話係〜
36/40

35 映画(?) 最終回!(映画のことです)

「顕くん、久しぶりね。翔琉と話はついた?」


 青羅は相変わらず穏やかに微笑んでいる。一ヶ月前、目立っていたお腹は出産したことにより、少し小さくなっていた。


「たった今、この男……翔琉さんがマナーを知っていたのかと驚いているところです。」


 顕の返答に青羅は肩を震わせて笑う。翔琉は拗ねた子供のような顔になる。


「顕くんさぁ〜、僕への当たり強いよね?仲良くしようよ〜。」


 顕は翔琉の言葉を無視する。まともに反応した場合、翔琉を喜ばせることになるか、楽しませることになるかの二択しかないと学んだのだ。最悪の場合、翔琉の都合よくさらに丸め込まれ、いいように使われるのがオチだ。翔琉はそういうことがとても上手いのだ。


「この子が凪。私達の息子よ。」


 青羅は腕に抱いていたタオルに包まれた赤子を顕に見せた。

 凪は青羅に抱かれて眠っている。この世の汚い部分を何も知らない顔。それはここで生きることによって現実を知るともう二度と見れなくなる顔だ。


「綺麗ですね…」


 顕は汚れを知らない赤子を見て、そう呟いた。


「本人が拒否しない限りは月守組(うち)の若頭になるね。」


「強制しないのですか?」


 顕は驚いて翔琉の言葉を聞き返す。月守組は裏社会ではかなり有名だ。何年も何十年も続いているヤクザの組だ。下手したら何百年も続いている。そんな家の長男に生まれたら、普通は時期組長になることを強制される。

 しかし、翔琉も青羅もそれを強制する気はない。一人の親として自分の子供を見ている。


「うん。する気はないね〜。本人の人生には親でも干渉する権利はないし。まぁ…流石に自衛のために普通は覚えなくてもいいことをしてもらうことはあるけど。」


 翔琉は軽く答えた。


「顕くん、この子のお世話と護衛、任せてもいいかしら?」


 青羅が優しく顕に訊く。


 顕は無言で考える。顕の両親―少なくとも、父親の方は顕を大切にしていた。母親の方は血がつながっているだけの他人だ。そう、割り切っている。

 顕の父は師範として刀術を顕に教えたが、それは強制ではなく、顕が望んだからだ。


「…貴方方が望まない方向に成長するかもしれませんよ?」


 顕は殺し屋になった。それは顕の知る父親が望む生き方ではないだろう。いつ死ぬとも知れない修羅の道を子供に望む親などいないだろう。


 だから、この二人が本当の「親」なら自分を子供のお世話や護衛を任せるわけがない。


 顕は父に教えられた技術を殺しに使い、父の形見を凶器に変えた。いくら生きるためとはいえ、生前の父が許す行為ではない。そんな自分を何も知らない綺麗な子供の傍に置くなど、正気の沙汰とは思えない。顕はそう結論づけた。


「私は親不孝者ですよ。父から教えられた技術を殺しに、形見を得物にして意味もなく生きているだけの…そんな人間を大切な子供の傍に置くなど…」


 ここで一度、顕は言葉を止める。青羅に抱かれている赤子の凪から逃げるように目をそらして言葉を続ける。


「……それは、将来を強制するようなことではないですか?」


 翔琉と青羅は一度、顔を見合わせる。翔琉は凪を愛おしそうに見ながら話す。


「顕くん、君は裏の人間である自分が何も知らない凪の傍にいたら凪は裏で生きるしか道はなくなると思ってるんだよね?」


 翔琉は確認するように訊いた。顕は黙って頷く。


「その話で言ったらさぁ、表の人間が凪の傍にいたら凪は表で生きるしか道はなくなるね。」


「そういうことでは…」


 焦る顕を見て翔琉は楽しそうに微笑む。


「大丈夫だよ。顕くんがそういう意図で言ったんじゃないことくらい僕にも分かるから。」


 顕は翔琉が喜ぶ反応をしてしまったことを知り、表情を無にした。翔琉はそれすらも楽しそうに見る。


「顕くんは裏の人間だけど、表のことも知ってるでしょ?元は表の人間なんだから。だからさ、凪に裏の生活が合うのか合わないのかとかさ判断しやすいでしょ?裏の人間でそういうことを正常に判断できる人って少ないからさぁ〜。」


「……それは演技ですか?」


「酷い!これは本心!それと、顕くんは自分のことを親不孝者って言ったけどさ、そんなことないからね。」


 翔琉の言葉に顕は驚き、初めて自分から凪に顔を向けた。顕が見た限り、翔琉の表情は演技ではない。


「親はさ、結局のところ子供が生きてくれれば嬉しいんだよね。まぁ…僕の主観で綺麗事だけど。それに、君はお父さんの死に顔は見た?僕は知らないけど、自分が教えた技術で息子に命の終止符を打たれるのってさ、嫌じゃないと思うんだよね。」


「それは…人によると思いますが。まず、殺されることを嫌がらないなんて、表の人間にいますか?」


「さぁ?僕は裏の人間だから知らないや。でも、子供に自分が教えたことを使って殺されるのってさ、僕は嫌じゃないんだよね。むしろ…嬉しい。超えたんだなって。成長したな〜って。」


「狂ってますね。」


 顕は翔琉の発言を聞き、そう小さく呟いた。

 父親の死に顔、それは顕に刃を向けた時の虚無の表情とは打って変わってとても穏やかで優しいものだった。


「…世の父親は全員狂ってますね。」


 顕はどこか晴れやかな気持ちで口角を上げる。貼り付けた微笑みではなく、本心からのものだ。


「引き受けてもいいですよ。」


 気づいたら、そう言っていた。自分が言った言葉の意味を理解した顕は即座に撤回しようとしたが、もう遅かった。


「やったー!言質は取ったからね!」


「翔琉、はしゃぎすぎよ。凪が起きたらどうするの?」


 翔琉はすぐに雇用契約書を準備してきた。準備したのでなく、されていたのだが、それは些細なことだろう。


「ごめんね。嬉しくってさ。顕くん、ありがとう。」


「…ここまで本気で人を殺そうかと思ったのは初めてですよ。」


 顕は物騒な発言とは裏腹に、明るい、素の表情で笑みを浮かべている。


「顕くん、何か吹っ切れたのかな?表情が明るくなってるけど。」


 翔琉の指摘に顕は自分の頬を触り、首を傾げる。


「私はいつも通りですよ。貴方の目が節穴なだけでは?」


 雇用主に対して、顕は欠片も遠慮しない。翔琉も青羅もそれを当然のように聞き流す。


「あははっ!顕くんはずっとそんな感じでいてね〜。」


***


 顕が雇用契約書に同意のサインを書いたところで、映画は終わった。


「なんですかこれは!?」


 映画が終わった途端、顕のそんな叫びがタワーマンションの最上階の部屋の中に響き渡った。

映画(?)はこれにて終了です。もともとはかく予定なかったんですが気づいたらかなり長く書いてました。深夜テンションは偉大ですね。小説の展開に悩んでいても深夜テンションになればすごい勢いで思いつくんですよ。そのため、作者は基本、深夜テンションで狂ってるときに小説を書いています。文章がおかしいのはそのせいですね☆


すいません。テンションがヤバいんで寝ます。明日の更新をすっぽかしたら作者はここ連日のオールが祟って寝てると思ってください。






誤字脱字などの修正中、改めて読むと大分ヤバいですね…面白い…この世界に行きたい…

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