33 映画(?)
今回少し短いかも…
「あっ、もしかしてまだ気にしてるの?」
顕の様子に気づいた翔琉はそう声をかけながら彼の頭にポン、と手を置く。
「なんですか?」
「寂しそうな顔をしてたから。」
図星だ。顕は感情を顔に出していない。普通は顕が何を思っているかなど分からない。しかし、翔琉は普通ではない。子供の頃から裏にいたのだ。数年前に裏に来た人間の表情を読むなど朝飯前である。
「君は父親や母親をかなり早くに亡くしたからね。十二歳になって思春期を迎えている今、いろいろと考えて当然だ。普通は親が寄り添ってくれる時期で、反発する時期。君は寄り添ってくれる相手も反発できる相手もいない。少しでも早く大人にならなくちゃいけなかったから。」
翔琉な先程までの軽い雰囲気を消し、真剣な表情で話す。顕の頭を撫でながら。
「それはここではありふれた…それこそ、掃いて捨てるほどある不幸話だよ。それでも、当事者…特に子供にとっては受け止めることが辛い現実だ。それが原因で壊れていく子供達は沢山いる。僕は優しくないからどうでもいいけど。だけど、君は違う。月守組の組員になったんだから。」
「まだ決めていませんが?それに、入る気もないですね。」
真剣な空気をものともせずに顕は否定した。翔琉の真剣な表情が消える。
「顕くん…空気読んでよ…今はありがとうございますって言って泣く場面でしょ!?そうだよね!?青羅!」
翔琉は涙目になって青羅に同意を求める。
「そうねぇ…もう少し翔琉の演技に引き込んでから言ったほうがよかったんじゃないかしら?そうすれば確実に言質を取れたはず…」
「結局はそれが目的だったんですね。途中までは感動できたんですが…別に人の過去を利用して言質を取ろうとしたことに文句はありません。普通のことなので。しかし…もう少しだけ配慮してください…」
顕は顔を俯かせる。翔琉のせいで父親の死に顔を思い出してしまったからだ。翔琉と青羅は顔を見合わせる。
「全部嘘だったんですね…」
「嘘じゃないよ。」
顕の言葉を翔琉が即座に否定した。
「今更私がそれを信じるとでも?」
「ごめんね。」
「は?」
顕ら思わず、顔を上げた。目の前で、翔琉が頭を下げている。
「流石に無神経だったよ。まぁ…反省はしてないけど。次はもう少し別の手を考える。」
「諦める気はないんですね…」
翔琉は頭を上げる。
「欠片もね。そんな簡単に諦めてたら今頃僕は死んでるね。暫くはゆっくり考えて。どうしても嫌ならその時考えるよ。」
顕は客間に通された。
「いくら極道の子供でも殺し屋を近くに置くのは…親子以外にも何人も殺している私を…」
顕は壁に背をつけて独り言を呟いた。その表情は前髪に隠れて分からなかった。
クソだ!コイツラ、ゴミだ!裏にはまともなやついねぇのか!?(いるわけねーだろ!)
皆様は演技で相手を騙す時はこうなっちゃだめですよ。(そもそも騙さすな!)




