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酔狂〜紫硝の怪物達〜  作者: 紫月 凛
一章〜何でも屋と元若頭様の世話係〜
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ブックマークありがとうございます。

「それで、貴方はどこまで調べたの?」


 セナは自分で「お茶会」と言い切っただけあって、とてもリラックスしている。


「お前と同じだ。調べられる範囲しか知らない。」


 セナの問いに凪は彼女と同じように返す。腹の探り合い。セナは人間が警戒できない微笑みを浮かべているが、凪は相変わらず無表情。二人共、人間離れした容姿のため、会話内容が聞こえない程離れた場所から見ると、和やかに談笑しているように見えるのだろう。しかし、当の二人には隠す気などない。セナは楽しそうに、凪は淡々とお互いの腹を探ろうと視線を交わす。


「セナ様、準備完了いたしました。」


 二人が本格的に腹の探り合いを開始しようと口を開けたところでユウリが報告に来た。セナが先程頼んだものの準備が終わった、と。


「いつでも上映できます。」


 ルランの言葉に凪達は怪訝そうな顔をする。セナはソファを立ってキッチンへ向かう。


「ちょっと待ってね。今、ポップコーンと飲み物を準備するから。」


 セナはわざわざフライパンを温め、油を引き、乾燥コーンを入れる。蓋をしてポップコーンが飛び散らないようにし、調味料を用意する。セナの動きは妙に手慣れている。


「なぁ…まさか、日にちを指定しなかったのって…ポップコーンを作る練習だったりするんか?」


「ええ。半分はね。」


 セナはニッコリと微笑んで夏弦の時に肯定した。


「はい。ポップコーンと飲み物は行き渡ったから…上映開始してもらえる?」


「なぜ私の分まで…?それ以前に、個人の嗜好までどうやって把握したのですか?」


 顕はこの場で初めて疑問を口にした。セナが用意したポップコーンは人によって味が違う。飲み物もだ。完璧に一人一人の好みに合わせられている。


「貴方に関係あることですし…ほら、映画って大人数で見るものですよね?個人の好みは…ユウリとルランが調べてくれました。違う味がよかったら今のうちに言ってもらえますか?」


 セナはソファに腰掛け、自分用に用意したコーヒーを飲んでいる。


「ユウリ、ルラン。こっちも準備終わったわよ。」


 ユウリとルランはスクリーンの準備を終えるとセナの両隣にそれぞれ座った。


「顕さんが座ったら上映開始ですよ。」


 セナは顕がソファに座らずに、立っていることに首を傾げる。


「護衛が主人の目の前でくつろぐわけには…」


「顕、座れ。じゃないとコイツは話を進めない。」


「そうやなぁ。セナ…様の助手も座っとるし、凪の補佐役の俺も座っとるしなぁ。さっさと座らんと、話し進まんし、夜が明けてしまうで?」 


「貴方はそもそも凪様の…いえ、ここで話すことではありませんね。はぁ、分かりました。座ります。」


 凪と夏弦の言葉で顕は折れた。


「あっ…」


 ソファでくつろいでいたセナが何かを思い出したような声を出す。そして、酷く申し訳なさそうな顔をする。


「ごめんなさい。」


 いつもフザケたことしか言わないセナが真面目なトーンで謝罪を口にする。凪、夏弦、顕の三人はそれを見て身構える。


「本当にごめんなさい…チュロスとかフライドポテトの準備を忘れていたわ…ポップコーンと飲み物しか準備していないの。」


「「「は?」」」


 三人の声が見事にハモる。セナは急いでソファから立ち上がる。


「少し待ってて。直ぐ様材料を買ってくるわ。」


「待て。まず、なんで俺らは映画鑑賞をする前提なんだ?ここまでどうにか流していたが…流石に説明しろ。」


「セナちゃん…謝るとこ、そこちゃうやろ…多分。」


「夏弦さん、セナ様です。様をつけてください。」


「ユウリ、セナ様を様付けで呼ばなかったら何かペナルティ課せばいいんじゃない?」


 セナの言葉に凪が至極まともなツッコみを入れた。夏弦は呆れ、ユウリとルランは自分達のセナ様を様付けで呼ばなかった時のことを話し始める。顕はそれらの口論に参加せずに、悟りを開いたような微笑みを浮かべている。


「この場にまともな方はいなかったこでした…なぜそれに思い至らなかったのでしょう…?」


 顕の独り言をこの場いいる者達は聞いていない。全員が好き勝手に行動している。


ーーー数十分後


「分かったわよ…チュロスとかを用意するのはまた今度にするわ…」


「そうしてくれ。俺は巻き込むなよ。代わりに、夏弦と顕はいつでも貸してやる。」


「えっ!?俺、人身御供になんてなりたくないんやけど!?」


 セナと凪の話し合いが終息した。夏弦の主張は当然のように無視される。顕は悟りを通り越して菩薩のような微笑みを浮かべている。そして、ポン、と夏弦の肩に手を置き、逃がしませんよ、と無言の圧をかける。


「さて、場も和んできたし、上映始めましょうか。」


 この場をカオスに陥れた元凶が微笑みながらふざけたことを言った。一切悪びれていない。いっそのこと清々しいセナの態度に凪と夏弦も無我の境地に達しかけている。


 セナの言葉にルランがタブレットを操作した。スクリーンには無駄に完成度の高い映画が放映され始めた。

ここは…大分深夜テンション入ってますね…

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