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「貴方達が麻薬の運搬をしていたことに間違いはないですね?」
「あぁ。間違いねぇ。」
「貴方達は寄せ集めの集団ですか?それとも、裏に来る前から行動を共にしていましたか?」
「一部はそうだ。大体、半分は裏に来る前……堅気の頃からの仲間だ。」
セナの質問に船長は大人しく答える。ニコニコと人間が警戒できない微笑み浮かべているせいで何を考えているのかが少しもわからず、不気味だ。船長の態度から、嘘は言っていないと分かる。
(ふ〜ん…となると、ドリーム・ドロップを摂取していた奴らは船長さんの仲間じゃないほうか。よかった〜。駒が増える。)
「裏に来る前は何の職業に就いていたんですか?裏に来た理由も併せて教えてください。」
「漁師だ。詳しくは言いたかねぇが、要するに嵌められた。……それだけだ。先に言っとくが、俺はバックに何がついているのか知らねぇぞ。」
(あの施設と姉さんが関わっていたかは不明か。やっぱり、そう簡単には尻尾を出さないのね。)
セナはこれ以上、船長の知っている情報の中に自分が欲しいものはないと察した。
「なるほど。騙された方が悪いからしょうがないですね。と、いうわけで、私の駒になる気はありませんか?」
「………は?」
セナはなんの脈絡もなく、軽いノリで船長に勧誘の言葉を投げた。船長は口をポカンと開け、間抜けな顔をしている。
「いや、待て。なんでそうなった!?」
「ん?」
セナは船長の質問の意図が分からず、首を傾げる。船長は一瞬、それに見惚れたが、すぐに正気を取り戻して声を荒らげる。
「俺は麻薬の運搬船の船長ってぇだけだ。元漁師だろうが裏に入った以上はいつでも死ぬ覚悟をしてる。部下……仲間だけでも生かしてもらえるよう命乞いをしようと考えていた時に駒になれっつう命令をされて、その理由を尋ねないやつはいるのか!?」
「あぁ。そういうこと。」
セナは質問の意味を理解したのか、ポン、と手を打った。
「簡単な話です。私の駒に今、海に出られるコがいないから補充したくて。大丈夫です。情報収集をたまに頼むだけなので。私の駒になるなら表の社会で漁師の仕事を用意しますし、貴方の部下も殺しません。」
「断ったら?」
「骨も残さずに片付けるだけですね。」
「なるほど。拒否権はなしか。分かった。条件を飲もう。お前さんの駒になる。その代わり、部下の安全は保証してくれ。」
セナは交渉が成立すると上機嫌で立ち上がり、外れかけている扉の方に視線を向ける。
「片付けご苦労さま。」
「最初からこれが狙いか。」
セナが声をかけると気配を消していた凪が操縦室に入ってきた。
「麻薬を摂取していた奴らは何人いたの?」
「十三人だ。そこに転がってる船長の部下は仮眠室にまとめてある。それ以外はとりあえず、甲板に転がしておいた。」
「ありがとう。じゃ、今週中に気が向いたら呼ぶわ。またね。」
二人は淡々とお互いの報告と確認を済ませる。凪はそれを終えるとセナより先に操縦室から出て行った。
「船長さん、ここにあとで双子の男の子と女の子が来ます。二人の指示に従ってください。それじゃ、今度は騙されないように気をつけてくださいね。」
セナは船長の拘束を解かずにそれだけ言うと操縦室を出て、甲板から船を降りた。船の方を振り返ると、ホログラムに隠されているため、船など欠片も見えない。
(すごい技術力ねぇ。ルランが喜びそう。その技術をもっと別のものに使って私達のことは放っておく、という選択肢はないのかしらね。)
用事が済んだため、セナはその場を去った。




