9.町と冒険者ギルド
「見えてきました! 町です!」
運転するティナが指を差した方向に、町を守る壁が見えてきた。
「凄いね! 一日で着いちゃった!」
「このキャンピングカーは便利じゃのぅ。速いし、疲れないし!」
「私のスキルが役に立って良かったです」
私たちがキャンピングカーを褒めると、ティナが照れたようにはにかんだ。このスローライフ旅にはティナのキャンピングカーは欠かせないってことだね。
「じゃあ、この辺で下りようか」
「どうしてですか?」
「あんまり目立ちたくないからね。キャンピングカーが知られると、利用しようとする奴らが現れるから」
「ふむ、そうじゃな。出来ることなら、隠しておいた方がいいじゃろう」
「なるほど、それもそうですね」
そう言うと、ティナはブレーキを踏んでキャンピングカーを止めた。それから私たちはキャンピングカーから下りた。すると、ティナが大きく背伸びをする。
「んー! 運転は楽しいですけど、少し疲れました」
「運転してくれてありがとう」
「お疲れ様なのじゃ!」
「ふふっ、ありがとうございます。好きなことをして、褒められるの……気持ちよくて癖になりそうです」
いくら好きな事でも運転するのも疲れるからね、感謝の気持ちは忘れないようにいたい。
「じゃあ、町に向かおうか」
「おう!」
「はい!」
私が歩き出すと、二人がついてくる。しばらく歩いて行くと、大きな門が見えてきた。そこには門兵がいて、一組ずつチェックをしているところだった。
「次の者! ……って、子供? 君たちだけなのか?」
「そうだよ!」
「危険じゃなかったかい?」
「大丈夫じゃ! なんたって、わらわは強いからな!」
「そ、そうか。なら、いいんだが。何か証明書があればただで入ってもいいが、何もなければ入領税として一人1000コルトを頂く」
「だったら、入領税を支払うよ。はい、3000コルト」
「確かに受け取った。証明書が欲しいなら、適当に冒険者ギルドで冒険者証を発行してもらうといい。あれがあれば、入領税は取られないからな」
なるほど、そういう仕組みか。だったら、丁度いい。冒険者ギルドに登録して冒険者証を発行してもらおう。
私たちは門兵に別れを告げて、町の中に入っていった。
◇
「あっ、ありましたよ! 冒険者ギルド!」
ティナが指を差した方向に大きな建物があった。その建物の入口では、沢山の冒険者が出入りしている。
「うん、間違いなさそうだね。中に入ろうか」
それから、私たちは冒険者ギルドの中に入った。中に入ると、騒がしい声が響いてくる。談笑している冒険者。酒を飲んで陽気な冒険者。真剣な顔で話し合っている冒険者。色んな冒険者がいた。
その奥にはカウンターが並んでおり、沢山の受付のお姉さんが座って待っている。想像していた通りの冒険者ギルドがそこにはあった。
「えっと、どうすればいいんでしょうか?」
「まずは受付だね」
「よし、行くのじゃ!」
私たちが固まって受付のお姉さんの前に出る。すると、お姉さんは驚いた顔をしてこっちを見た。
「えっと、冒険者ギルドへようこそ。お嬢ちゃんたちは何か用があって、ここに?」
「うん! 冒険者登録に来たの!」
「そ、そうなの? 大丈夫? 魔物とかと戦うのよ?」
「大丈夫じゃ! わらわは強いから、安心せい!」
「う、うーん……本当に大丈夫かしら。あっ、ごめんなさいね。私情を挟んじゃって。こんなに可愛い子たちが冒険者登録に来るなんて、今までなくて。では、登録しますので、こちらの用紙に必要事項を記入してください」
渡された用紙に必要事項を記入する。それを、お姉さんに手渡すと、真剣に確認してくれた。
「はい、こちらで大丈夫ですよ。じゃあ、次は冒険者証を作りますね。このカードに一滴だけ血を垂らしてください」
言われて渡されたカードに指に針を刺して、一滴の血を垂らす。すると、カードが光り、その表面に私たちの名前と冒険者ランクが表示された。
「はい、これでおしまいです。でも、軽く説明させてくださいね。この冒険者カードはご本人にしか使えません。他の人が使うと罰則が下りますので気を付けてください」
「分かった!」
「じゃあ、次に冒険者のランクについて説明しますね。ランクはF、E、D、C、B、A、Sの七段階に分かれています。魔物を倒したり、依頼をこなしたりすると、どんどんランクが上がっていきます。始めは誰でもFからですよ」
うん、ここまでは大丈夫そうだ。
「依頼に関してはあちらのボードを見て、自分のあった依頼をこなしてください。失敗すると罰則がおりますので、決して無茶はしないでくださいね」
「わらわは強いからな! 魔物を沢山倒して、持ってきてやるぞ!」
「む、無理はしないでくださいね。まずは、薬草採取をお勧めします。それか低ランクの魔物討伐とか……」
「わらわは高ランクの魔物を狙う! そうしたら、沢山ランクが上がるじゃろう?」
「は、はい。高ランクの魔物を倒してきた時はそうなりますね。でも、本当に無理はしないでくださいね」
「やり方は分かった! 沢山倒して、がっぽがっぽ、お金を稼ぐのじゃ! 行くぞ、二人とも!」
そう言って、サリサは振り返り歩いて行く。だけど、それだと私が困るんだけどね。
「待って、サリサ。まずは武器を調達しないと!」
「武器ならある! わらわはこの拳じゃ!」
「サリサはそれで大丈夫だけど、私たちの分が……」
「あっ! そ、そうじゃったな! うっかりしておったわ!」
私の話をようやく分かってくれたサリサは困ったように苦笑いした。
「えっと、私は魔法が使えるので、それで戦おうと思います」
「あっ、そうなんだ。ちなみに使える魔法って?」
「風魔法になります」
なるほど。それじゃあ、ティナは魔法使いで活躍してもらうことにしよう。というわけで、必要なのは私の武器かな。
……いや、必要な物は他にもある。
「丁度町に来たことだし、服も新調しない? 私の服はボロボロだし、ティナの服はドレスだし、サリサの服は魔王っぽいし。ここらで、冒険者の衣装に変えようよ」
「そうですね。このままだと怪しまれます。周りにあった服装の方が良さそうですね」
「そういうことなら、着替えるのじゃ!」
よし、二人の同意を得た。じゃあ、武器を買いに行った後に、服を買いに行こう!




