10.身の回りの物を整える
「良かったですね。剣を見立ててもらって」
「うん! 使いやすそうな良い剣だよね」
「あの店主、中々気の良い奴だったな! それに、地図も買えるお店も紹介してくれたな!」
武器屋に行ってきた私の腰には、一本の剣がぶら下がっている。武器屋でどんな武器を買っていいか悩んでいると、店主が合う剣を見立ててくれたのだ。
そのお陰で、とても良い武器が手に入った。これで私も冒険者稼業で役に立つことができる。
「メルは獣人なので、身体能力が高いんですよね。近接武器は合っていると思います」
「うむ。わらわの次には役に立ちそうじゃのう!」
「これから強くなるから、二人とも見ててね!」
身体能力が高い分、きっと良い動きが出来ると思う。それに獣人特有の嗅覚もあるし、直感も働く。冒険者稼業にはうってつけの人種で良かった!
それから、地図を売っているお店で地図を買い、次は服屋へと向かった。
「あっ、冒険者の服屋があったよ!」
「店主の言った通りじゃのう!」
「ここで、気に入ったものが見つかるといいですね」
すると、目の前に目的の服屋が見えてきた。期待を胸に扉を開けて中へと入る。すると、広い店内に沢山の服が掛かっている光景が広がっていた。
「わぁ、沢山あるね!」
「いらっしゃいませー。冒険者の服をご入用ですか?」
店内に一歩足を踏み入れると、すぐに店員が話しかけてきた。
「私たちに合う、冒険者の服はある?」
「子供の服は取り扱いが少ないですけど、ありますよ。あちらの一角ですね」
そう言って店員は店の奥へと案内した。
「こちらになります」
そうして、指し示られたハンガーラックにはずらりと色々な服が並んでいた。色とりどり、形も様々だ。
「少ない数ですが、気に入ったものがありましたら、ぜひ着用してみてください。では、ごゆっくり」
そう言って、店員は離れた。うん、必要最低限の良い接客だった。
「じゃあ、ここから選ぼうか。どんなのがいいかなー」
「私はスカートにします!」
「わらわは動きが激しいから、動きやすいものにするのじゃ」
それぞれが好きなように服を手に取り見ていく。うーん、こういうのもいいなぁ。あっ、これもいい。
「ねぇねぇ、どっちがいいかな?」
「私は左の方ですね」
「うーむ、右の方じゃな」
「えー、どっちー?」
二人に聞いても意見が別れる。これは、簡単には決まらなそうだ。そうなのに、嫌な気持ちが全然しない。
「なんか、自分で選ぶのは新鮮ですね。いつもは与えられた服を着ていただけなので、楽しいです」
「わらわもじゃ! 自分の好みにあったものを着れたことはなかったのぅ!」
「私も。自分で選ぶのってこんなに楽しかったんだね」
「ふふっ、でもさっきは選んでほしそうでしたけど?」
「さっきのは始めに私が選んでいたから、ノーカウントだよ」
「そういうもんかのぅ……」
そうそう、そういうこと。服を選んで喋っているだけなのに、楽しい気持ちがどんどん膨らんでくる。
自分の服を選ぶのもそうだけど、二人の服のことも考えるのも楽しい。
「ティナにこういうのは?」
「うーん……ちょっとフリルが多いですかね。可愛いですが、冒険者向きではなさそうです」
「フリフリの服を着た冒険者もいいと思うぞ」
「いえいえ。そこは似合うような服を選びたいのです」
ティナには譲れない好みというのがありそうだ。ものすごい真剣に服を見始める。
「わらわは、どうするかのぅ」
「手に取っているのは似合っていると思うよ」
「そ、そうか? なら、これに……いやいや。もっと良い服が……」
と思ったら、こっちも真剣に服を選びだした。二人とも真剣で見つめていて、なんだか可愛い。
私も自分の似合う服を選びますか!
◇
「ありがとうございましたー!」
店員に見送られて、私たちは外に出た。その私たちの服は、新しい服に変わっている。
「良い服が見つけられて良かったね。二人とも似合っているよ、可愛い」
「そ、そうですか? 褒められるのは嬉しいですね」
「うむうむ、もっと褒めていいんじゃぞ!」
二人は照れ臭そうに笑った。服を選んだだけなのに、私たちの距離がグッと縮まったような気がする。
こうして、少しずつ交流を重ねると少しずつだが、仲良くなっている感じがして嬉しい。
「これで、わらわたちも冒険者に見えるかの?」
「見えますよ。だから、堂々としましょう」
「これで形は整ったから、次は実行に移すのみだね。あっ、冒険者ギルドが見えてきた。早速、ボードの依頼を確認しよう」
私たちは再度冒険者ギルドに戻ってきた。依頼が貼ってあるというボードの前に行き、依頼を確認する。
「まずは薬草採取が良いって言っていたよね。それってこれかな?」
「あっ、そうですね。どうやら、薬草一つで100コルトで買い取ってくれるみたいです」
「100コルト……少ないのぅ。もっと、ドンっと稼ぎたいわい」
「まぁまぁ、始めだから仕方ないよ。まずは冒険者っていう仕事がどんなものか体験しないとね」
まずは色々とやってみて、自分にあった仕事を見つけると良い。そうしたら、上手い具合に攻略できるはずだ。
「薬草が生えているのは、森みたいですね」
「じゃあ、近くの森まで行くのじゃ!」
「よしっ、出発!」
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