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ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する  作者: 鳥助


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75/82

75.飛んだぁぁぁっ!

「ティナ……?」


「はい?」


 返事だけはいつも通りだった。だけど、その目だけが違う。ハンドルを握る両手に力が入り、瞳は谷の向こうだけを真っすぐ見据えている。


 その目は、獲物を見つけた猛獣みたいに輝いていた。


「や、やっぱり下ろうよ? 遠回りでも命には代えられないよ?」


「そうじゃ! 別の道を探せば済む話ではないか!」


 二人で必死に説得する。だって、このままだと本当に命が危ない。だけど、ティナは首を横に振った。


「大丈夫です」


「全然大丈夫じゃないよ!」


「動画では成功していました!」


「動画だからでしょ!?」


「ちゃんと計算すれば飛べます!」


「何を計算したの!?」


 私の頭は完全に混乱していた。どうしてこんな結論になるの!? どうして動画を見て『やってみよう』になるの!?


「ティナぁぁぁ! お願いだから普通に行こう!」


「そうじゃそうじゃ! わらわはまだ死にとうない!」


 本当に駄目だって、駄目ぇっ! 心の底から声を出して叫ぶ。


 でも、ティナは満面の笑みを浮かべた。


「二人とも、シートベルトは締めましたか?」


「そんな確認してる場合じゃ――」


 ブォォォォォン!!


 エンジンが唸りを上げた。


「わああああっ!?」


 その瞬間――アクセルが、一気に踏み抜かれる。


 ガクンッ!!


 猛烈な加速。体が一瞬でシートへ押し付けられた。


「ひゃああああっ!」


「ぬおおおおおっ!?」


 キャンピングカーが猛スピードで駆け出す。さっきまで慎重に走っていたのが嘘みたいだった。


 岩を踏み越え、土を巻き上げ、一直線に谷へ向かっていく。


「ティナァァァァ!! 止めてぇぇぇぇぇ!!」


「ブレーキじゃ! ブレーキを踏むのじゃぁぁぁ!!」


「ふふふふふっ!」


 私たちは必死で叫んでいるのに、ティナが笑っている。いや、それだけじゃない。


「きましたきましたきましたぁぁぁぁぁ!!」


 テンションが爆発していた。


「クロスカントリーラリーみたいですーーーっ!!」


「違うよぉぉぉぉ!!」


「ラリーでも谷は飛ばなかったぞぉぉぉぉっ!」


 私たちは半泣きで叫ぶ。本当に怖いから止めて! 今すぐにブレーキを踏み抜いて!


 でも、私のたちの気持ちはティナには届かない。


「あと少し……!」


 谷がもう目の前に迫っている。距離はある。これを本当に飛び越えるの? ……だめ、落ちる。死ぬ!


「ティナァァァァァァァァァァ!!」


 その瞬間だった――。


 ドォォォォォォォォォンッ!!


 凄まじい爆発音が響いた。


「きゃああああああっ!!」


 車体の後方から衝撃が突き上げる。爆風がキャンピングカーを押し出し――グンッ!! 車体がありえないくらいに浮いた。


「と、とんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


「ぬわあああああああああっ!!」


 タイヤが地面を離れる。車体が完全に宙へ飛び出して、谷底が一気に遠ざかる。眼下には切り立った崖があって、底なんて見えない。


 風だけがゴォォォッと車体を叩いている。


「すごいですーーーっ!! 本当に飛びましたーーーっ!!」


 ティナだけが歓声を上げていた。こんな状況で、喜んでいるだと!?


 私は恐怖で涙目になりながら窓の外を見てみると――飛んでる。本当に飛んでる。夢じゃない。


 キャンピングカーが空を飛んでいる。でも、浮いていられる時間なんて、一瞬だった。


 ふわりと持ち上がった車体は、すぐに重力に引かれ始める。


「あっ……」


 落ちる、ダメだ! もう無理! 死ぬ!


 そう覚悟した瞬間――ドゴォォォンッ!! とてつもない衝撃が車体を襲った。


「きゃああああああっ!!」


「ぬおおおおおっ!!」


 シートベルトが体に食い込み、全身が激しく揺さぶられる。ガタガタガタガタッ!! タイヤが地面を掴み、車体が何度も跳ねる。


 それでも横転することなく、そのまま前へ滑っていき――ギギギギギギッ……ようやく停止した。


 車内は驚くほど静かだった。私はそのまましばらく動けなかった。心臓だけが、耳元でうるさいくらい鳴っている。


 恐る恐る窓の外を見る。そこに広がっていたのは――さっきまで向こう岸に見えていた、反対側の山の景色だった。


「い、生きてる……」


「死んだ……今、わらわは一回死んだぞ」


 あまりにも恐怖体験だった。谷を飛び越えるとか、それ――アニメの世界だから。それをティナはやってのけたという事になる。


 隣を見ると、ティナが目を輝かせているのが見えた。


「す、凄かったです! 帰りもやりましょう!」


「「絶対に止めて!!」」


 もう! 二度と! 谷は! 越えません!

新連載一つ、投稿させていただきました。


「 収納魔法を裏返したら世界最強でした!~極小収納しか使えない無能と辺境に追放されたので、もう好きに生きます~」


もし、興味が沸きましたら、ご覧くださると嬉しいです!

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よろしくお願いします!

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新連載!

魔法で遊んでいた世間知らずな田舎者、都会に出たら怪物扱いされました

旧作

転生難民少女は市民権を0から目指して働きます!

転生少女の底辺から始める幸せスローライフ~勇者と聖女を育てたら賢者になって魔法を覚えたけど、生活向上のため便利に利用します~

追放を計画的に利用して自由を掴んだ王女、叡智と領地改革で無双する

転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした

スラムの転生孤児は謙虚堅実に成り上がる〜チートなしの努力だけで掴んだ、人生逆転劇〜

ゾンビがいる終末世界を生き抜いた最強少女には異世界はぬるすぎる

元社畜はウィンドウで楽しい転生ライフを満喫中! ~ゲームのシステムを再現した万能スキルで、異世界生活を楽々攻略します~

異世界喫茶で再出発ライフ

ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する

推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする

過保護なお姉ちゃん系王女を救うために何度も死に戻っていたら、全部バレていて曇らせてしまった

この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~

コミュ障クラフターの私、引き継いだ能力が異世界では規格外すぎて無自覚に無双してしまう件~地味に暮らしたいだけなのに、なぜか注目されて怖いんですが~

スラムの孤児は慎ましく生きたい~大賢者の遺産を継いだけど、救世主にはなりません~

ド陰キャ聖女に百合キスは荷が重すぎる!~唇への祝福が最強だとバレてしまい、キラキラ王子様系姫騎士と包容力おばけな女傭兵に迫られています~

魔力1令嬢と欠陥王女は魔法が使いたい! ~誰も使えない古代魔法で人生逆転します~

収納魔法を裏返したら世界最強でした!~極小収納しか使えない無能と辺境に追放されたので、もう好きに生きます~

― 新着の感想 ―
歩いて渡る案は無かった
 そろそろぶん殴るか、ガチ泣きしてみせるかで安全運転意識を植え付ける頃かなぁ。  運転手の無茶で友達を怪我させる恐怖と重い責任に気付かせんと。  ……いや、なんかそれっぽい動画でも良いか?  ヤンチ…
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