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ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する  作者: 鳥助


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55/56

55.最初の町

 音楽をBGMにして、車内では話が尽きなかった。今、話題になっているのは、今まで見ていた動画の事ばかりだ


「あの主人公たちは良く生き残れたよな。最初は頼りない奴らだと思っていたのに、モンスターと出会うと人が変わったようじゃった」


「私は運転で人が変わったようにカッコよくなるおじさまが素敵でした! 実際に見てみたいです!」


「いやいや、関係性をちゃんと描いた青春映画も良かったよ。胸に来るものがあってさ、感動しちゃったね」


 それぞれが好きだった場面を語り、動画を見ていた瞬間を思い出す。すると、同じ気持ちが蘇ってきて、堪らなくなった。


「次は何を見ようか。それとも同じものを見る?」


「どっちも捨てがいな。もう一度見れば、新しい視点で見られる楽しみがあるし。でも、まだ見たことのない動画を見るのも……」


「私は実践してみたいですね!」


「「えっ」」


「こうやって……!」


 すると、ティナがガンッとアクセルを踏んで、キャンピングカーの速度が上がる。猛スピードで走ったと思うと、タイヤくらい大きな石に向かっていった。


「ティナ! 石、石がある!」


「避けんか、馬鹿っ!」


 ど、どうすんの!? このまま行ったら、絶対に石にぶつかっちゃう!


 だけど、ティナは燃えるような目で石を見て、ニヤリを笑った。


「こうです!」


 キャンピングカーが石に乗り上げ、車体が一気に傾く。


「「わーっ!!」」


 そして、傾いたままキャンピングカーが爆走していく。まるで、映画のようなシーンだ。


「怖い、怖い! ティナ、元に戻して!」


「こら、ティナ! 戻さんかい!」


「見てください! 映画のようですよ!」


「「全然話を聞いてない!」」


 目をキラキラさせてこちらを振り向くティナ。ダメだ、夢中になったら止まらない。


 すると、キャンピングカーがグラリと傾き、ドスンッと元に戻った。


「よ、良かった……元に戻った……」


「うぅ……。見るのは良いのじゃが、やるのは心臓に悪いのう……」


「えっ? もう一度やって欲しいですって?」


「「言ってない!」」


 本当に暴走したティナは怖い。今度、何をしでかすかと思うと……。


 だけど、あれで満足したのか、普通の速度に戻り、いつものドライブモードになった。


「全く、ティナは少しでも気を許すと荒い運転になるんじゃ……」


「運転が楽しいですから!」


「楽しいのは良いけれど、安全運転でね。あっ、見て! 町が見えてきた!」


 視線を前に向けると、遠くに城壁が見えてきた。どうやら、最初の町にたどり着いたみたいだ。


「おー! 着くのが早かったな!」


「じゃあ、この辺で降りましょうか。ドライブ、楽しかったですね」


 キャンピングカーが止まると、順番に降りていく。そして、サリサに預かってもらった手荷物で装備を整える。


「うむ、これで冒険者に見えるぞ」


「怪しまれないで済みそうですね」


「じゃあ、町に行こうか」


 しっかりと身だしなみを整えると、町に伸びる道を進んでいった。


「新しい国の町、どんなところでしょうか? よそ者でも受け入れてくれるといいんですけど」


「大丈夫じゃないか? 冒険者って言えば、怪しまれないだろう?」


「でも、こんな子供だけだからね。何か言われるかもよ」


 そう話していると、城壁の門までたどり着いた。何も気にする素振りも見せず、門兵に近づいていく。


「……子供?」


「こんにちは。こう見えても、冒険者だよ」


 そう言って、三人で冒険者証を見せる。


「ほ、本当だ……。それに、そこそこランクが高い?」


「わらわはとても強いんじゃぞ! だから、これくらいのランクは当然じゃ!」


「……角、魔族か」


 門兵はサリサの角を見て、少し表情を険しくした。隣国が魔族に厳しい国だから、こっちにも少なからず影響があるみたいだ。


「無害な魔族だよ。だから、冒険者としてランクも中々のものでしょ?」


「確かに……。もし、害があるとこんなにランクは貰えないか……」


 おっ? 少しは考えを改めたかな。


「ここに立ち寄った理由は?」


「海に行きたいの。だから、ここを通る必要があったんだよね」


「海か……。それは長い旅路になりそうだな。まぁ、こんな子供が害があるわけないか。通っていいぞ」


 私たちの態度を見て、門兵は態度を変えてくれた。スッと体を横にずらすと、私たちの前に門までの道が開かれた。


「おじさん、ありがとう!」


「じゃあのう!」


「ありがとうございます」


 一礼すると、何事もなかったように私たちは町に入って行った。


「ふー、なんとかなったな。止められた時はドキッとしたぞ」


「私も緊張しました。なんとかなって良かったですね」


「やっぱり、普通の態度をしたのがいいんだよ。違う態度を取っていたら、きっと怪しまれていたと思うよ」


 そう言うけれど、緊張していた。本当になんともなくて良かった。そう思いながら門を抜けると、町並みが見えてきた。


 大きな通りに行き交う人々。それなりに、大きな町のようだ。


「うむ、良い雰囲気の町じゃな。とりあえず、歩いて行くか?」


「この町にはどんなものがあるんでしょうかね。見て回るの楽しみです」


「じゃあ、冒険者ギルドを探しながら、町を見て回ろう」


 新しい町に行くと、ワクワクとした気持ちが沸いてくる。どんなものがあるのか楽しみにしつつ、町を歩き始めた。

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