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ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する  作者: 鳥助


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54.国境入り

 キャンピングカーの扉を閉めて、しっかりとシートベルトを閉める。エンジンをかけると、ネットショッピングで買った音楽のデータを入れた。


「これで準備よし」


「ティナ、安全運転で頼むぞ」


「任せてください! 映画のようにスリリングなドライブをお約束します!」


「「それは止めて!」」


 エンジンがかかると、ゆっくりとキャンピングカーが速度を上げて進んでいった。窓を開ければ、気持ちのいい風が入り込んできて、部屋に閉じこもっていた気だるさを吹き飛ばしてくれる。


「風が気持ちいいのう。昨日は一日、部屋にいたから、自然が恋しくなる」


「そうですね。私も運転していなかったので、キャンピングカーが恋しかったです」


「まぁ、何事もバランスだよね。何事も少しずつほどほどにがいいんだよ」


「いや、一日中浸るのも楽しかったぞ。なんか、良くないことをしているみたいで」


「一日中、寝室に籠るなんて、堕落している感じがして……楽しかったです」


 二人して堕落した時間を楽しんでいたみたいだ。まぁ、そういう私も楽しんでいたわけだけど。


「動画を見ながらのポップコーンとか最高でしたね。あの堕落具合が癖になりそうでした」


「もう、わらわはそれだけでもいいぞ。ずーっと、あんな生活が送りたい」


「だったら、大金持ちにならなくっちゃ。お金をたくさん集めれば、ずーっとそういう生活が出来るよ」


「それはつまり、めちゃくちゃ働けということじゃないか! くっ……たくさん働いて、たくさん堕落するか。ちょっと働いて、ちょっと堕落するか……究極の二択じゃ」


 サリサが本気で考え始めた。それだけ、堕落した生活が合っていたのだろう。


「まぁ、結局働くことになるんですけどね。今回でたくさんお金を使ったから、次の町でちゃんと稼がないと今の生活が出来ないんじゃないんですか?」


「そうだねぇ……。このまま動画を買っていったら、お金が尽きそうだよ。そうなると、食事も節約しなくちゃいけなくなるし……」


「やっぱり、金じゃ! 金が全てを解決する!」


 良い生活をしたくなると、やっぱりお金が必要になる。それを思い出して、サリサは金の亡者モードが復活した。


「今度の町で高い魔物を倒しまくって、がっぽり金を稼ぐのじゃ! 節約された生活など、お断りじゃ! もっと優雅で自堕落な生活を送りたい!」


「もう、サリサは欲深いんだから……」


「でも、あの生活を知ってしまったら、戻るのは大変ですよねぇ」


「じゃが、その為には働かなくてはっ……。あー……寝ているだけで金が手に入ればいいのに」


 思わずその言葉に頷きかけた。


「……ほう。メル、今わらわの言葉に同意しようとしていたな? ほら、正直に言え!」


「わ、私は普通の生活がいいと……」


「メルだって、働かずに金が欲しいと思っておるんじゃろう! 一緒に堕落したいと思っているんじゃろう! ほれほれ!」


 サリサが寄りかかってきて、頭と耳をぐちゃぐちゃに撫でまわす。


「わー! なんで、撫でまわすかな! ぐちゃぐちゃだよ!」


「メルの髪と耳がふわふわだからな、つい撫でまわしたくなるんじゃよ」


「あー、ずるいです。私も運転を止めたら、撫でまわします!」


「宣言しなくていいから!」


 なんであの話から、この話しに発展するんだか。ふくれ面をしながら、髪を撫でていると――前方に何か見えてきた。


「あっ、大きな看板が見えてきた」


「なんでしょうね。ちょっと寄ってみますか」


 ティナが看板に向かってキャンピングカーを移動させる。近づいて止まると、私たちは降りて見に行った。


「……あっ! ここからヨーロギラン王国だって!」


「なんじゃ、もう着いたのか? 町を出て、まだ三日しか経っとらんぞ」


「その内、一日は移動しませんでしたからね。キャンピングカーは凄いですね。こんなに早く目的地に運んでくれます」


 なるほど、ということはここは国境なのか。初めての国境越えか……これは記念になるのでは?


 こういうのって、思い出として残しておきたいよねー。後で見て、あの時こうだったって話すのが楽しい。


 うん、これは記念に何かを残さなければ。私はネットショッピングを開いた。


「何を見ているんですか?」


「写真を撮ろうと思ってね。あった、これだ」


「写真?」


 インスタントカメラとフィルムを購入した。すると、すぐに商品が届く。


「これをこうしてっと……よし。二人とも、看板の前に並んで」


「なんでじゃ?」


「いいから、いいから」


 二人をくっつけて並ばせると、私もその隣に立つ。そして、カメラのレンズをこちらに向けて――。


「はい、二人とも。レンズに向かってピース」


「ピース?」


「こうか?」


「うん、いいね。じゃあ、とびっきりの笑顔をして!」


 そういうと、二人は不思議そうな顔をした後に笑顔を作った。その瞬間にカメラのシャッターを押す。


 ピカッと光り、カメラが動く。


「なんじゃこれは! 光ったぞ!?」


「ま、眩しかった……」


「ほら、出てきた」


 カメラからフィルムが出てくる。すると、そのフィルムから私たちの姿が浮かび上がってきた。


「えっ!? わ、私がいる!?」


「どうなっているんじゃ!?」


「カメラって言って、写真として映した光景を残してくれるんだよ。ふふっ、二人ともなんか中途半端な顔になってる」


 驚く二人に写真を見せる。二人とも笑顔が中途半端になっていて、これはこれで楽しい。


「むむっ。わらわはこんな顔をしてないぞ! もっと、シャキッとしておる!」


「わー、こんな顔をしていたなんて……恥ずかしい。もう一度、もう一度やりましょう!」


「そうじゃ! メルだけちゃんとしてて、ずるいぞ!」


「分かった、分かった。じゃあ、もう一度撮るよ。ポーズ取ってー」


 私たちは再び引っ付き、ポーズを決める。サリサは腕を組んで不敵な笑みを浮かべ、ティナは髪を整えお淑やかな笑顔を浮かべる。


 ポーズが取れると、再びシャッターを切る。またパシャと光り、写真が出てきた。


「どれどれ……おっ! 今度はちゃんと映っているじゃないか! うむ、この凛々しさが堪らんのう!」


「今度は良い感じで良かったです。でも、これを撮ってどうするんですか?」


「記念として残しておくんだよ。後から見ると、楽しいよ」


「そういうもんかの。まぁ、楽しいなら、よし」


 二人は満更でもない顔をして、楽しそうにしていた。よし、今度から写真を撮って行こう。面白い瞬間を残していくんだ。

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