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ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する  作者: 鳥助


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56.お気に入り

 町の中を散策するのは楽しい。やっぱり、国が違えば建物も変わる。その変化に目が惹かれ、興味深く見てしまう。


「よく見ると、ここの建物の壁には線が入っているね。どれも、違う線で面白い」


「見た目が楽しくていいですね。あっ、あの家なんて線で模様を作ってますよ」


「うむ、あれはかなりの技術が必要と見た。中々出来ない品物じゃぞ」


 建物を観察して、お喋りしながら歩いて行く。それだけで楽しいし、異国の地に来たっていう感じがしてワクワクする。


「キャンピングカーにも模様がつけれればいいんですけれど……」


「そういう道具もあるよ。でも、技術がないと難しいかも……」


「まずは自分の顔でも塗って技術を磨いたらどうじゃ?」


「もう! そんな意地悪、言わないでください!」


 ニヤニヤと笑うサリサをティナが怒って肩を叩く。


「だったら、サリサの顔で練習すればいいよ」


「なっ!? メル!」


「そうですね。言い出しっぺなんだから、貢献してください」


「誰が顔を貸すか! どんな模様にされるか分からん!」


 異国の地だからだろうか、会話も弾んでいる。いや、いつも通りではあるんだけど、気持ちがワクワクしているから、そう思えてくるのだろう。


 楽しくお喋りをしながら町を歩いていると――微かな匂いに体がピクリと反応した。ざわざわとした気持ちが溢れてきて、どうしようもなく高揚していく。


「良い匂い……」


「えっ、何か匂いますか?」


「……そんな匂いしないぞ?」


 獣人特有の嗅覚がその匂いをキャッチした。その匂いを嗅いでいくと、ざわめいて止まらない。もっと、近くで嗅ぎたい。その思いで早歩きになって進む。


「こっち!」


「あっ、メル!」


「どうしたんじゃ!?」


 耳がピクピク動いて、尻尾がぐるぐると動き出す。体中が騒いで仕方がない。進んでいくと匂いが強くなって、堪らない気持ちになる。


 すると、目の前に一軒の屋台が見えてきた。あの屋台から匂いがする! 思わず駆け出していき、屋台の目の前に行くと、強い匂いに体が震えた。


「お、おじさん! この匂いって何!?」


「ん? あぁ、いらっしゃい。この町の名物のオリジナルブレンドの香辛料の肉の串焼きだよ」


 くんくんと匂いを嗅ぐと、色んな匂いが混じっている中で――夢中になる匂いがあった。


「凄い良い匂い! どうして!?」


「……もしかして、猫の獣人か? だったら、理由は簡単さ。猫が好きな香辛料が混じっているからな」


 そ、そんな香辛料があるだなんて知らなかった!


「おいおい、メル……一体どうしたんだ?」


「ここ! ここの食べ物食べたい!」


「メルが冷静じゃない? だ、大丈夫ですか?」


「私は大丈夫! だから、食べよう? ねぇ?」


 早く食べたくて仕方がなくて、二人に詰め寄る。二人は驚いた顔をしつつも頷いて、店主にお金を渡してくれた。


「はいよ、お待ち!」


 そして、私たちの前に串が三つ、手渡される。ドキドキしながらそれを受け取り、近くで嗅ぐと、また体が震えた。快感のような刺激が体を走って、堪らない気持ちになる。


 そして、勢いよく肉にかぶりつく。口に肉と香辛料の味が広がると、体がビクリと跳ねあがった。


「美味しい!」


 その勢いのまま、ガブガブと食べ、すぐに無くなってしまった。だけど、食べ終わった高揚感で体がむずむずする。


 あぁ、黙ってられない! なんか、なんかの感触が欲しい! 体中がざわざわして止まらない。


 顔を横に向けると、そこにはサリサが美味しそうに串焼きを食べていた。そのサリサに抱き着き、顔をこすり付ける。


「な、なんじゃなんじゃ!? どうしたんだ!?」


「美味しい、美味しい、美味しい!」


「わ、分かった! 分かったから、落ち着け! めちゃくちゃ、尻尾がブンブンいっとるぞ!? 大丈夫か!?」


 サリサをギュッと抱きしめて、何度も顔をこすり付けた。だけど、その体を無理やり離される。


 ダメだ、体がむずむずして堪らない。この高揚感を一人で耐えるのは厳しい!


 ちらりと隣を見ていると、不思議そうな顔をしたティナがいた。なので、今度はティナに抱き着いて、顔をこすり付ける。


「えっ!? えっ!? メル!?」


「体が疼いて、仕方がなくてっ! 気持ちが高ぶって!」


「そ、そうなんですか? サリサ、どうしましょう?」


「香辛料のせいか? じゃったら、疼くを静めればいいのか……。そしたら、存分にもふもふしてやろうか!」


 すると、サリサが近づいて、頭と耳を撫で回してくる。


「ほれほれ、どうじゃ! 気持ちいいじゃろう!」


「うぅ、気持ちいい! もっと、撫でて!」


「ほら、ティナもやるんじゃ!」


「……この際、仕方ないですね! 私も存分にもふもふします!」


 二人の手が頭と耳を撫でまわして、とても気持ちいい。いつもは恥ずかしいけれど、香辛料のせいで興奮しているせいか、ひたすらに気持ちいい。


 でも、まだまだ疼きが止まらない。それに、美味しかった。こんな食べ物があるなんて、卑怯だよ!

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