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ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する  作者: 鳥助


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52.動画配信サービス

 夜になると寝室に移動をして、眠たくなるまでお喋りタイムだ。いつも通り、ネットショッピングの画面を開いて、色んな商品を覗いていく。


「なんじゃ、この瓶……。ドクロマークがついておるぞ」


「あー、それ。めちゃくちゃ辛いソースなんだよ。だから、ドクロが付いている」


「も、もしかして……死ぬほど辛いっていう意味ですか!?」


「お、恐ろしい! こんなの売って平気なのか!? 捕まるんじゃないか!?」


「だったら、食べてみる?」


 ニヤリと笑って二人に話しかけると、二人は激しく首を横に振った。顔が絶望に染まっているので、嫌な想像をしてしまったらしい。


 やっぱり、子供の二人には辛い物は苦手か。久しぶりにあの体を体験したくなったな……。こっそり買っておくかな。


「それにしても、毎日商品を見ているのに、見たことのない物ばかり出てくるな。一体、どれだけの商品があるんじゃ?」


「一万とかでしょうか?」


「いやいや、そんなに少なくないよ。億はいくんじゃない?」


「そ、そんなに商品は見れないぞ!?」


 サリサは全部見る気でいたのか。確かに、億もある商品を全部見るなんて言うのは不可能だ。だから、欲しい物を検索する必要がある。


「何か決めてから検索したほうがいいね。次はどんなのが見たい?」


「そうですねぇ……。音楽のような、芸術に触れてみたいです」


「音楽のような芸術ねぇ……」


 ネットショッピングとキャンピングカーの性能があったお陰で、音楽が聞けた。だったら、他のサービスも使えるんじゃないだろうか?


 そう思って、検索バーに文字を打ち込む。動画、と。


 すると、画面が変わって、見慣れたサムネイルが現れた。


「ん? 今度は人が映っているぞ。まさか……人間が売っているのか!?」


「えっ!? 人身売買ですか!?」


「ちょっ、二人とも早まらないで! これは映画とかドラマとかアニメの動画だよ!」


「「……動画?」」


 絶望顔した二人に私は丁寧に説明をした。すると、落ち着きを取り戻し、今度は興味深めに画面を覗いてきた。


「物語を映像化したものですか……。小説が絵になって動くのは、とても興味があります」


「わらわは文字を読むのが苦手だから、絵になるのは大歓迎じゃ! これだと、わらわも楽しめる」


「じゃあ、何か見てみる? 希望とかある?」


「えっと、あの……車の動画はありますか?」


 尋ねてみると、おずおずとティナが手を上げた。


「色々あるよー。車だったら映画とかレースの動画も上がっているみたい。何か興味はある?」


「そうですね……。出来れば、三人で楽しめる物語がある物がいいんですけれど」


「だったら、映画にしようか。んー……これなんかがいいんじゃないかな?」


 そう言って指を差したのは、カーアクション映画。昔、人気になったもので、シリーズ化もしている。


「えっと、キャンピングカーに映し出す機能は備わっている?」


「えーっと……あっ、ありました。これですね」


 ティナが何かを操作すると、寝室の天井から大きな画面が降りてきた。凄い、こんな機能があるなんて!


 私はその画面にネットショッピングを繋げると、買った映画のデータを移動させた。すると、画面が付き、映像が流れる。


「なんじゃ、なんじゃ! なんか出てきたぞ! 音も聞こえる!」


「不思議ですね……。誰もいないのに……」


「そういうものなんだよ。驚くのはこれからだよ」


 騒ぐサリサに、疑い深くなるティナ。二人の驚く様子を見て、私はニヤニヤと笑いながら映画が始まるのを待った。


 オープニングが終わり、映画が始まる。登場人物たちがどんどん出てきて、話しが進んでいく。


「えっ、色んな人が出てきますよ!? どこにいるんですか!?」


「楽器の音も聞こえるのじゃ! どこで演奏しているんじゃ!?」


「ぜーんぶ、映したものを流しているだけだよ。それよりも、ほら。話しに集中しないと」


 戸惑う二人に声をかけると、二人は戸惑ったように頷いた。そして、映画がどんどん進んでいく。


 ストーリーが進み、カーアクションが映し出される。すると、ティナは食い入るように見て、サリサがアクションシーンに百面相をする。


 私も久しぶりに見る映画で楽しく見ているが、二人のアクションを見た方が楽しかった。だって、あんなに面白い顔をするんだもの。


 映画がついでになってしまっている。だけど、そういう楽しみもあるってことで。


 そうして、映画が終わりエンドロールが流れる。


「どうだった? カーアクション映画は?」


「凄く面白かったです! 想像にしていなかった動きをするので、見ていてとても楽しかったです!」


「めちゃくちゃ、ハラハラしたのじゃ。もし、あの車に乗っていたと思うと……うぅ! 背筋が震える!」


「ふふっ、楽しんでくれて良かったよ。じゃあ、そろそろ寝る?」


 二時間半も見れば、もう寝る時間だろう。そう思って声をかけるが、二人はソワソワした様子だ。


「まだ、もうちょっと見ていたいです」


「次、次は魔物と戦うような映画がいいのじゃ! 迫力あるやつじゃ!」


「そんなに楽しかった? じゃあ、次は――」


 そう言って、私はネットショッピングの画面を開き、次の映画を探し始めた。これは、今夜は寝れないかもしれない。


 ◇


 画面が黒くなり、文字が流れていく。エンドロールだ。


 重たい目でふと視線を逸らすと、カーテンの隙間から朝日が零れていた。


「えっ……朝?」


 あれからずっと映画とドラマとアニメを見ていた。そしたら、朝まで起きてしまっていた。


「……メル、続きは……続きはどこだ?」


「次の話……見ていきましょう……」


 隣を見てみると、サリサとティナが虚ろな目で画面を見ていた。い、いやいや……もうこれ以上見たらダメだって。


「二人とも、見て……朝日だよ。今日はもう、寝よう」


「まだ、見る……。もっと、面白い……浸りたい……」


「ふふふっ、ふふふふふふっ」


 眠たくて、まともに喋れないじゃない。私は無理やり二人に布団を被せると、目を閉じさせた。


「また、いつでも見れるから。今日は寝る」


 そう言うと、二人は名残惜しそうに唸り……それがすぐに寝息になった。


「まさか、異世界でこんな徹夜をするとは思わなかった……」


 ネットショッピング、恐ろしい。使えば使うほど、生活が豊かになっていくみたいだ。


 まぁ、たまにはこんな自堕落な日もいいよね。私は布団に潜り込むと、すぐに寝入ってしまった。

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