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ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する  作者: 鳥助


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2.二人目の捨てられた子

「これだけのお金があれば、当分は困らなそう。しかも、明日もお金が手に入る予定だし……。久しぶりにお腹いっぱい食べれるかな……」


 買った袋に入れた所持金を見てニヤつく。このお金があれば色んな事が出来る。良いところに泊まることだって、良い服を着ることだって、良い食事を食べることだって。


 今まで散々我慢してきたことが出来る。それを思うと、気持ちも上向きになる。こんなに嬉しい気持ちになったのは久しぶり。


「じゃあ、先に食事でも――」


「えぇい! ゴミスキルで役立たずなお前はここから出ていけ!」


 その時、目の前の屋敷の門が開き、一人の少女が突き飛ばされてきた。


「もう二度とこの屋敷に戻ってくるな! 戻ってきた時は縛り首だ!」


 一人の男性が怒声を上げ、荒々しく門を閉じる。すると、突き飛ばされた少女は起き上がり、門にしがみつく。


「絶対にスキルを使えるようにしますから、捨てないで下さい! お願いします!」


 涙を流しながら、許しを請う。その姿は痛々しくて、見ているだけで胸が痛む。だからだろう、見捨てられなかった。


「あの……大丈夫?」


「ご、ごめんなさい……。はしたないところをお見せしてしまって……」


「ううん、大丈夫だよ。状況は察しているつもりだけど、もう戻れないの?」


「……はい。この間、十歳になったのですが……そこで授かったスキルが使えないものと分かりまして。それで……」


 どうやら、この子もスキルがゴミだと言われたらしい。でも、それは良くあることだ。大人たちは子供のスキルに期待している。そのスキルの良しあしで子供を売ったり、利用したりしているからだ。


 当たり前な光景だけど、やっぱり胸が痛む。この子も捨てられないようになんとかスキルを使おうとしたのだろう。


「私、家から追い出されて、どうやって生きていけば……」


「とりあえず、私についてくる?」


「えっ? でも、それだとお家にお邪魔になるんじゃ……」


「大丈夫。私もさ、スキルが使えないって捨てられたから」


「わ、私と同じ……」


 事実を伝えると、その少女は目を見開いて驚いた。そして、少し親し気な視線を向けてきた。


「一人だと心細いからさ、一緒にいてくれない?」


「そ、それは私も同じで……。あ、あの……お願いします。私の名前はティナって言います」


「私の名前はメルだよ」


 手を差し伸べると、その子が私の手をギュッと握ってくれる。そして、少しだけ微笑んでくれた。


「それで、追い出される原因になったスキルってどんなの?」


「えっと、『キャンピングカー』っていうスキルなんですけど……」


 ……キャンピングカー? それって、もしかして。


「それ、私なら分かるよ」


「えっ!? ほ、本当ですか!?」


「うん。ちょっと、外に出ようか」


 ◇


 私たちは王都を出て、外にやってきた。誰もいない平原に立ち、周りに誰もいないことを確認する。


「あの、本当にキャンピングカーというものが出てくるんですか?」


「うん。私の経験だけどね、ティナがスキルを発動出来なかったのは、そのスキルの本質が分からなかったからだと思うんだよね。それで、キャンピングカーっていうのはこんな感じ」


 キャンピングカーを教えるために、枝を使って地面に絵を書く。すると、ティナはそれを覗き込んできた。


「これが、キャンピングカー? 箱、でしょうか? 丸いものがついてますね」


「これはね、移動できる家なんだよ。外見は箱みたいだけど、中にはちゃんと寝る場所も、料理をする場所も、荷物をしまう場所も全部揃ってるの。しかも、この丸いのは車輪っていって、人や動物に引かせなくても自分で動く仕組みになってるんだ。雨や風もしのげるし、夜でも安全に眠れる。つまりね、どこへ行っても家ごと一緒に移動できるってこと。ティナのスキルはね、戦うためのものじゃないかもしれないけど、絶対に野宿で困らない最強の生活スキルなんだよ」


「そ、そんなに凄いスキルなんですか?」


「これで、キャンピングカーっていうのが分かったね。今ならキャンピングカーを出せるんじゃないかな?」


「や、やってみます」


 ティナが気合を入れて、私から離れた。目を閉じて深呼吸をすると、手を前に出す。


「出てきてください、キャンピングカー!」


 そう唱えると、目の前に大きなキャンピングカーが現れた。灰色で大きな車体にタイヤがついている。


「わっ! こ、こんなに大きいものがキャンピングカー?」


「凄いでしょ。これが移動できる家だよ」


「な、中に入っても?」


「もちろん、いいよ。だって、ティナが出したものだしね。中に入るには、そこにある取っ手を引っ張ってみて」


 ティナを恐る恐るキャンピングカーに近づく。取っ手を掴み引くと、ガコンッと扉が動き、自動で開いていく。


 そして、その中を見てみると――。


「な、な、な、なんですかこれは!」


「わー、なんか凄いね!」


 キャンピングカーの扉を開いてみると、そこには広い車内が見えた。大きな窓が印象的なリビング。寝転がれるほど広い床に敷かれた柔らかい絨毯。フカフカのソファー。機能的なキッチンが備わり。扉を開けると、浴室もある。


 階段もついていて、そこを上った先は広々とした寝室があった。そう、このキャンピングカー、外見の大きさと内装の大きさが合っていない。


「あ、明らかに内装の方が広いような気がします」


「これは異空間のあるキャンピングカーだね。現実ではありえないよ」


「これが、キャンピングカー……」


「ティナのスキルは本当は凄かったんだよ」


「は、はい……」


 このキャンピングカーは思ったよりも凄い。異空間内臓のキャンピングカーなんて初めて見たよ。これなら、移動も楽々だし、この中で暮らすことだって可能だ。


 その時、視界の端で何かが動いているのが見えた。見上げると、ものすごい勢いで何かが飛んでくるのが見えた。


「あれ、なんだろう……」


「流れ星、ですか?」


「そんなはずは……。あっ、近くに落ちそう!」


 空から飛んできた何かがものすごい勢いで近くの草原地帯に落ちていった。しばらくして、ものすごい音と振動が響く。


「どうやら、地上に落ちたみたいだね」


「な、なんだったんでしょうか? ……気になるので行ってみませんか?」


「なら、丁度いいね。キャンピングカーに乗って移動しようか」


「えっ、そんなことが可能なんですか?」


「その為のものだからね。操作方法は私が教えるよ」


 戸惑うティナの背を押して、私はキャンピングカーの運転席へと向かっていった。

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