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関東の縄文  作者: 熊さん
第五章:取り残される王国
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北川辺の墳墓づくり

※この第五章は、『忘れられた王国』第五章と同じ内容です。

 『関東の縄文』第四章を執筆している過程で、

 『忘れられた王国』の構想が完全にまとまりました。

 現在は次作『もう一つの武士の誕生』の執筆に力を注いでいます。

 本作を完結させるため、同章の文章をそのまま掲載いたします。

 どうかご理解いただければ幸いです。





北川辺の墳墓づくり



一方、北川辺では、微高地から外れた草原に、小屋から煙が出ているが立ち並んでいた。


中では、粘土をコネリ、埴輪を作っていた。


兵らしき物が見回りに来ている。


その草むら先に、墳墓の形が掘られ、岩を重ねたり、民の工事が進んでいる。


ケヤキや権現堂の民も手伝いに来ているようだ。


族長の館では、姫が中央の部屋に座っている。


侍女の何人かが幼い子供の面倒を見ながら、世話を焼いている。


族長の男は、その部屋の隅の方で男達からの報告を受けて、墳墓の製作の指揮を執っているようだ。


外にいる兵達は、鎧等の装束に夢中で、訓練などを行なっているようには見えない。


しかし、ケヤキや権現堂に挟まれる形のこの土地は、安定していて、余裕すらあるように見える。


微高地の先の分墓地にする予定の工事は順調に進んでいるようだ。


北川辺でも田んぼが増え、人口も増えていた。


ここでは、狩りをするのは、兵の仕事ではなく、普通の民が槍をもち、女ともどもが、利根川での魚の漁をおこなっていた。


北川辺の大巫女は、族長が兵士ごっこのような事をする事に対して何も言わない。


そこに、ケヤキのリーダーが入ってきた。


「大巫女様、権現堂の巫女と話をまとめてきました。」


「ご苦労だったな」


「領地としての広がりをまとめるのは、俺の仕事だと思っています。」


大巫女は、報告を聞きながら、信濃や敦賀、伊勢の話を聞いていた。


「また、リーダーには動いてもらわねばならないと思う。

敦賀や伊勢の話は、行かないとわからんからなぁ。」


「大巫女様は族長の墳墓つくりはどう思われてるのですか?」


「あれは三殿台からの話を聞いて、族長達が行ってる。皆の気持ちが高まれば役に立つのではないかと思っている。」


「役に経つんですかね。」


「そりゃ、なるだろうよ。」


リーダーは、ケヤキでも手伝いを出すことも含めて、ケヤキの巫女とも話していた。

米作による食料の安定は、民に時間を与えてるから、よいと思うというものだった。


「大巫女様が仰ることに従います。」


リーダーは、小屋を出て、ケヤキに戻った。


ケヤキの巫女の小屋で、今日の権現堂や、北川辺の大巫女との話を報告した。


リーダーは、ケヤキの集落も豪族化も進んでいると思っていた。


つまり、米作りの民や漁を賄う女どもや男達、リーダーを中心とした隠密の動きは専門化していた。


巫女はにこやかにリーダーを頼りにしてると話す。


「我々の形がまとまれば良いのよ。リーダーが動きやすいようにしてね」


リーダーは、この賢い巫女を頼りにしていた。

リーダーは出発力で動くが、先読みは苦手だった。


そして時は過ぎ、豪族化の社会の新たな動きが見えてきた。


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