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関東の縄文  作者: 熊さん
第五章:取り残される王国
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伊勢の大巫女

※この第五章は、『忘れられた王国』第五章と同じ内容です。

 『関東の縄文』第四章を執筆している過程で、

 『忘れられた王国』の構想が完全にまとまりました。

 現在は次作『もう一つの武士の誕生』の執筆に力を注いでいます。

 本作を完結させるため、同章の文章をそのまま掲載いたします。

 どうかご理解いただければ幸いです。




伊勢の大巫女



国見山で一夜を過ごし、山を下る。

途中でキツネを見かけ、二人で、3匹を仕留めた。


櫛田川を見つけ、河辺の川原で、キツネの皮を剥いで皮を剥ぎ、軽く鞣し、肉を捌いて、焼いて保存食も作った。


翌朝、櫛田川沿に下り、河口近くで伊勢の街道に出た。


伊勢の小屋が海側に向いて立っていて、網が干してあったりした。


ふと見ると、大きな舟が浜辺の奥に浮いて止まっていた。


敦賀で見たような大きな舟だった。


浜には兵が立っている。


宮川を渡り、五十鈴川に入ると、清涼としたきれいな川の先に兵がいた。


10人ぐらいの隊列で奥の竹藪に向かっていた。


リーダーと連れていた男は、分からないように付いていった。


兵たちが、竹藪の先の門に近づいていた。


知らない言葉が飛び交い、兵が門番を思いっきり、叩こうと手を上げた所で、リーダーは中には割って入り、その持ち上げた手を止めた。


兵の男は、力が抜けるような感じで、手を降ろした。

今度はリーダーを打ち叩こうとする。


連れの男が、大きな声で叫ぶ。


「やめろ、辞めないか」


そこに、門の先に突然現れた大巫女が叫ぶ。知らない言葉だった。


「双方やめい。」


兵はどうしようもない感じになり、動きを止めた。


大巫女が近くまで歩いてきて、知らない言葉で、優しく兵に告げた。


侍女がやってきて兵たちを誘う。


大巫女は、リーダーをみて、優しく言った。


「助けてくれたんだな、ありがとう。だが、しばらく、待ってくれ。」


それをいうと振り返り館に入って行ってしまった。


リーダーは連れの男と顔を見て、フーっと大きく息を吐いた。


大分待ったが、兵たちが出てきたので、竹藪に隠れた。


侍女がキョロキョロ見て探していたので、リーダーは顔を出し、誘いについて行って、大巫女の部屋に入った。


「ようきてくれた。そなた達は何処の者じゃ?」


リーダーは、理解されてないことに気がついて、慌てて、頭を下げた。


「私は、関東の者です。二人とも、ケヤキの民です。まずは、ご挨拶で、毛皮を送ります。旅の途中で仕留めたもので申し訳ありません。」


「ご丁寧にありがとう。そうかケヤキの者か。北川辺の大巫女はいかがしてる?」


リーダーは言葉を探した。

大巫女に言われて来たとは言えなかった。


「私は、ケヤキから浅間山の婆様にご挨拶をして、そのとき、敦賀の話を聞いて見てきたので、帰りに伊勢に寄ってみたのです。突然の訪問で失礼しました。」


大巫女は、北川辺の大巫女のことや那須の巫女の事を隠しているのを理解したが、ニコニコして答えた。


「敦賀に行って来たか。舟は見たか?大きかったろう、あれは中国の者じゃ」


リーダーは話を合わせられてることにのって、今日の舟や兵の話に変えた。


「今日の舟は敦賀で見たのと同じような舟でした。ともこの者でしょうか?」


「今日来た者たちは、九州の勢力じゃ、永遠の命の薬を求めておる。熊野を教えた。」


大巫女はそんな些細な事は余り関係ないという感じで次の話に変えた。


「北川辺の族長の息子は健やかか?」


リーダーは合わせるように答えた。


「はい、三歳の時に宝刀の授与式を行い、皆が喜んでおりました。」


大巫女との話の折り合いがついたようだ。


部屋の中が静かになった。


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