ケヤキのリーダー
※この第五章は、『忘れられた王国』第五章と同じ内容です。
『関東の縄文』第四章を執筆している過程で、
『忘れられた王国』の構想が完全にまとまりました。
現在は次作『もう一つの武士の誕生』の執筆に力を注いでいます。
本作を完結させるため、同章の文章をそのまま掲載いたします。
どうかご理解いただければ幸いです。
ケヤキのリーダー
空からケヤキの木を目掛けて、鷹が飛んできて、木の枝に止まった。
ピー、ピー
鷹は、自分が来たことを知らせるように鳴いた。
リーダーが、巫女の小屋に入った。
「何かあったか?」
「大巫女からの連絡です。那須の巫女に連絡をしたいそうです。大巫女のところに行って、浅間山に向かってくれる?」
リーダーは了解して、男小屋からいつもの連れを伴って北川辺に向かった。
ケヤキの集落では、組み手の練習をしていた。
「しっかりやってくれ。頼むぞ」
ケヤキの男達は、多くは外に出ているので、少ない人数だが、訓練には余念がない。
「俺は、泊まりで出かける。よろしくな」
リーダーの声で、男達が頭を下げ、分かりましたと答えた。
丸木舟に乗り込み、北川辺へ向う。
「リーダー、ご苦労、那須が色々掴んてるみたいだ。筋の流れを見て、見聞してきて欲しい。」
「近畿圏ですか?」
「いや、近畿圏もそうだが、上越と敦賀、それに伊勢だ。大巫女に会ってこい」
「上越って何ですか?」
「近畿圏達は、蝦夷と読んでいる。近畿圏に逆らうものじゃ」
面白そうだ。半年ぐらいかかるかなと伝え、大巫女はケヤキにも伝えておく、と告げた。
リーダー達は丸木舟に乗って、本庄辺に降りて、高崎に向かった。そして、安中の方に入り、キツネを狩って、休憩した。
翌日は、碓氷峠を登り、浅間山の森に入り、婆様に会った。
「よう来たな、リーダー。那須の巫女は、この奥におる。」
「婆様、お久しぶりです。何か動きが色々あるようで、よろしくお願いします。」
「那須が寂しがっておったぞ。」
「はい、私もお呼びがかかり、喜んでます。」
「那須の周りにも移動する者釜あるからのぉ。関東に知らせたいのじゃろう。」
リーダーは、了解したと伝え、穴を出て、小屋を探した。
那須の巫女の小屋は、隠してあった。
そこにあると言われなかったら分からなかった。
「ケヤキです。巫女様、お元気でしょうか?」
「大巫女様が繋げてくれたの。良かった。」
「お久しぶりです。」
リーダーは上越、敦賀の話を聞いた。
どうも動きが別々のようだ。
浅間山の森の暮らしに落ち着いているように見えた。
しかし、動きがあり、どうもよく分からなかった。
伊勢の大巫女の所にも行く話をすると、那須の巫女は、さすがじゃと北川辺の大巫女を褒めた。
いまある、大きな動きの一端をとにかくその目で見てきてくれと那須の巫女は話した。
夜遅くまで、竹弓の話をしながら、リーダーは、明日からの動きに気を引き締めていた。
夜の小屋の中で、焚き火がバキッと音をたてて、過ぎていった。




