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関東の縄文  作者: 熊さん
第4章:王権の核
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縄文の理

縄文の理



ケヤキの巫女は、改めて話し始めた。


「巫女の卵のサワなら、知ってると思うけど、我らの創世記。」


サワは、伊勢で学んだ国づくりの話だなと思った。


巫女が続けた。


「はじめ、世界は、岩がゴロゴロしているだけだった。


まるで、山の頂が広がったような世界であった。


やがて、雨が降り続き、川が生まれた。そしてやがて海ができた。


すると、岩や川や海が、風を誘い土地に向かって大きな声で命令した。


木や草よ生えろ。


大木が生まれ、草原が風に靡き始めた。


暫くすると獣が生まれ、人も生まれた。


人は弱く、すぐ死んでしまう。


そこで、火を使い、仲間が集まり、道具を持つようになった。


そして知恵を持つようになった。」


巫女はサワを見つめて、つけ足した。


「これが縄文の理としての創世記となった。知ってるよね。」


サワは、違うと思った。


「巫女様、違います。自然の前に太陽があって、人がいます。そして人の力で自然が生まれると習いました。」


巫女は、ケタケタと笑って訂正した。


「人が自然の上にいるなんてないでしょう。人は弱いから火を使い仲間を集め、知恵を使うようになったんだよ。サワはケヤキの思いを見たろう」


サワは、そうだと感じた。

人が自然より上なのは、伊勢の理屈だ。


本来は、逆なんだ。


サワは近畿圏の支配が恐ろしくなった。

こうやって歴史を書き換えてるんだ。


近畿圏の王が支配できる仕組みを作っていたのだ。

このことに気がついたのだ。


巫女は優しく微笑んでいる。

このゆとりは本物だ。

北川辺の大巫女も権現堂の巫女も、皆同じ事に従っていた。

その事であった。


サワは巫女に伊勢で習った話をしようと声を上げたが、止められた。


「サワ、私たちは、自然の摂理の中で生きているのだ。伊勢の理屈は、後付けじゃろう、話さんでも良い。」


サワは、裏切ることの危険性に気がついた。


巫女は優しく、ケヤキの根の上に手を乗せて、確認するようにサワに言った。


「北川辺の大巫女も、権現堂の巫女も、そなたの素性は知っておる。そなたがどう感じるか、何をするのかも自由じゃ。しかし心してかかれよ。そなたの運命が大きく動く、ここで自由にしてれば良いんじゃ」


巫女は優しく、サワを諭す。


サワは、巫女の心は読めなかったが、言ってることは理解していた。

黙らなくてはならない。


また焚き火の薪がパキっと音を立てた。


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