↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
関東の縄文  作者: 熊さん
第4章:王権の核
PR
45/49

ケヤキの巫女

ケヤキの巫女



リーダーは、気配を察して、サワの声に答えた。


「入っても良いぞ」


サワは驚いて、リーダーに聞いた。


「御用があるなら後にしてもよいのですが、大丈夫ですか?」


「構わんさ、ケヤキの機嫌伺いと田植えの前にイノシシ刈りでもしたいと思って聞いていただけじゃ」


「そんな重要な事、大丈夫何でしょうか」


「儂の話は終わってる。大丈夫」


サワはリーダーと交代で小屋に入った。


「巫女様、押しかけてすみません。」


ケヤキの巫女は、ケヤキの根を触りながら、


「川辺に立って何を考えてたの?」


いきなり、言われて、何だと思った。


「どうして分かるんですか?」


ケヤキを触りながら、


「ケヤキが教えてくれたんだよ。ほら、触ってごらん。」


巫女は、サワにケヤキの根を触らせて、分かるかと聞いた。


「何が教えてくれるんですか?」


巫女は、笑って言った。


「手のひらに感じるんだよ。」


サワには分からなかった。

何とか、出来ないかと色々触ってみた。


「サワは、触ってるだけだ。ケヤキの根は、語りかけているはず」


サワは分からなかったが、フッと外の風の音が聞こえた気がした。


あ、とサワが反応すると巫女がサワの手の上に手を重ね。


「ほら」


と言った。

サワは風の音が強くなり、川の波音も聞こえてきた。


「すごい、、、」


サワがようやく納得できた。


サワは、まだ未熟だが理解できたことを伝えた。


「巫女様、私が考えていたのは、水田の事です。もっと四角く、水田を作ると、合理的に作付けができます。水利も、管理者がいると良いと思ったのです。如何ですか?」


巫女は、何だそんな事がと思いサワに返した。


「サワ、そんなに真剣に考えなくても良いですよ。皆、楽しくやってます。ボチボチ作付が増えればよいと思います。」


サワは、あっさり片付けられたことに、ちょっとムキになった。

合理化の手だてを伝えるのは、自分の役割だと感じていた。


「伊勢の大巫女様は、合理的な作付けは暮らしに直結すると言われておりました。

巫女様もそうした方が良いのでは」


巫女は、ありがとうと頭を下げて付け加えた。


「皆は楽しんでる。新しいものをどの様に自分のものにするかは、彼女たちの力で向こう。相談されたら伝えればよい」


サワは、話が進まないことに、少しイライラしてしまった。

すると、


「サワ、我らは水田を取り入れた。良いではないか、そなた達の思い通りだろう。何故無理に進めるのか。我らの生活は満たされる。案ずるでない。急ぎすぎると壊れてしまう。心配ないよ」


サワはケヤキの根を触り直し、目をつむり思いをケヤキに向けた。


春の風が暖かく、そよいでいて、皮の流れはトートーと流れている。

そんな景色が目に浮かぶ、水田を見ると、笑顔の女たちの声がケタケタと笑っていた。


サワには、幸せそうな姿に抵抗する気持ちが消えていった。


弥生化は、進んでいるのだ。

何を焦ってるのか。


それが、ゆっくり腑に落ちてくるのを感じていた。


巫女が焚き火に火をつけて、薪がゆらゆらと燃えていた。


パキっと割り音がしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。