千葉に向かう
千葉に向かう
千葉には大変な災害をもたらした台風だったが、権現堂で、水鳥の収穫の知らせを聞いた北川辺の大巫女は、それを見上げていた。
利根川の流れは、静かだったが、見たことない鳥が飛んでいた。
翼を大きく広げた白い鳥だった。
《これは海鳥じゃないか、、、》
大巫女は、空を見上げながら、考えた。
利根川の先には、海が広がる。
その先に、海の巫女がいることに、すぐ気がついた。
空の雲は深く高い、しかも動いていた。
嵐が来てるかもしれない。
しかし、気持ちは、荒ぶらない。
こっちは大丈夫だな。
大巫女がそう結論づけると、ケヤキの民のリーダーが、入ってきた。
「大巫女、水鳥を15羽捕まえました。皆、喜んでいます。今回も成功しました。」
大巫女は、リーダーの喜ぶ顔を見て、愛想を振りまいたが、険しい顔になった。
リーダーが気がつく。
「大巫女、何かありましたか?」
大巫女がこの子は感が良いなと感じて、決心した。
「リーダー、ご苦労さま。お主の計画はことごとく上手くいってるのぉ。ありがとう。じゃが、空が曇ってるのはわかるが?これは、海の巫女からの知らせかもしれない。」
リーダーは、大巫女の声を慎重に考えた。
かも知れない。大巫女の言葉が半端に聞こえた。
「どういうことなんでしょうか?」
「すまぬ。我の思い過ごしかもしれない。だが、海の巫女の所へ行ってくれないか?」
リーダーは大巫女のこのような感に敏感だった。
大巫女が千葉に行けと言う。
それだけで良かった。
「はい」
リーダーは、ケヤキの巫女のところに戻り、大巫女が告げたことを伝え、丸木舟で川を下った。
下ると早い、河口に近づいて来ると、海のような広さが、恐ろしく感じる。
さらに波が出てくると、上下に丸木舟が揺れる。
両岸が見えなくなり、舟を左に曲げる、陸を目指して前進する。
左左と考えて、陸地を目指す。
浜辺に乗り上げた。
ホッとして、舟を陸地に上げる。
力一杯、押して、何とか陸地に上げて、縄を舟にくくりつけて、近くにある木に巻きつけた。
リーダーはホッとした。
海に出て、陸地に上がって周りを見ると、かなり荒れた感じがした。
リーダーは
《こりゃ、大きな嵐が来たな》
単純に思った。
リーダーは海岸線を歩く。
嵐の跡が、次々に見えてくる。
水田が見えて、水かさが高くなっていて、穂が下を向いている。
風が強かった事が明白だった。
早足になった。
まばら水田あとが、次々に見えてきて、穂が垂れ下がってる。
焦る気持ちで、千葉に向かった。
波がザザーンと打ち寄せてくる。
焦りだけがリーダーの気持ちを暗くしていた。




