集団戦
集団戦
北川辺の集まりから4日後の朝。
シカ刈りが始まる。
ケヤキの民は、丸木舟を使って北川辺に集結した。
広場に入ると、大巫女が既に来ていた。
権現堂の巫女と弓使いも集まって来た。
大巫女が、焚き火を焚いて祈っている。
いつもの通り、手を伸ばして火に青白い火が突き上げる。
大巫女が宣言する。
「皆の者、権現堂とケヤキ、そして北川辺の勇者による集団戦だ。心してかかれ。」
北川辺や権現堂、ケヤキの民が声を上げた。
まだ日が昇り始めた時間。
ケヤキの民のリーダーは、前に出て、皆に向かって話を始める。
「俺は、シカを追い立てる。こっちは北川辺の網使いについていき、場所を決める。そしてこの若い者が権現堂を地点に導く。よろしいでしょうか。」
皆の反応を見て、リーダーが前に進んでいく。
風は川から吹いている。
しばらく歩いて、リーダーが止まり、ここで別れて位置に着くことを伝える。
皆の声はなく、静かに場所へ向かう。
リーダーは急いで川から離れ、大きく迂回して、シカの群れの川からの反対側に回った。
リーダーは仲間を見た。
大きく息を吸って身をかがめた。
二人は離れて前に進む。
シカに気付かれ、シカは川の方向にゆっくり進む。
リーダーは、方向を確認して風の流れを感じながら前に進んだ。
緊張が走る。
シカが怯えた。
《いかん、緊張が伝わる》
リーダーは腰をかがめて落ち着く。
仲間を見る。
仲間は、リーダーの動きに合わせている。
リーダーは、川の方面を見て、権現堂が隠れる予定の場所を見直した。
北川辺の男どもは、全く動きが判断できなかった。
しかし、北川辺につけたケヤキの民の者を信じて、前に進むことにした。
シカの群れは川の流れに気がついたようだ。
シカの足が砂利を踏み込むと、ザッと音がした。
リーダーはさらに緊張した。
リーダーは群れの川上に向かって動き出した。
川の水に気がついたシカの群れは、予定の場所に動き出している。
リーダーは、さらに川上に動く。
北川辺の者共が隠れて近づいてるのが分かった。
《よし、ここじゃ》
権現堂の巫女の声が聞こえた気がした。
すると、権現堂の巫女が立ち上がる。
次々に弓使いが立ち上がり、弓を放った。
シュ、シュ、シュ、シュ
シカが倒れる。
弓の第二波が発射された。
シュ、シュ、シュ
先頭の何頭かが倒れるのを見て、北川辺の大網が3頭のシカを包む、その後も、竹弓が刺さってるシカを1頭づつ包む、皆が、集まってきて、シカを抑え、足を縛る。
リーダーはホッとしていた。
何とか6頭か7頭を捕まえることが出来た。
太陽が高くなっていた。
風は相変わらず川上から吹いていた。
利根川の流れは緩やかにたわみなく、流れていた。




