シカとイノシシ
シカとイノシシ
よしお達は、風下の茂みに待機して待っていた。
大きなシカは、オスだろうか。
川霧が出て、足元が隠れているようだ。
一匹のシカが悠々と歩いてきた。
茂みの中から身体が出ないように、一人が風上から歩いてくるシカから離れるように岸側に出ていった。
シカは水を飲むために、まずは、後ろを振り返り、周囲を見回して、首を川に近づける。
川の外側に着くと、おもむろに立ち上がり、弓を放つ。
シュ
続いて、シュ、シュ
と、三本の弓が首元に突き刺さった。
それでも立っているシカに向かって、よしおが走り出し、首元に刺さってる弓に構わず、石刀で首筋を切りつけた。
さらによしおと一緒にいた男が、走り寄ってきて、今度は縄を身体に巻きつける。川から離れた男も縄を持って身体に巻きつける。
動けなくなったシカが倒れ込み、殺す事に成功する。
冷たい風が、吹き付けてきた。
よしおが顔を挙げて大きく息を吐いた。
「はーっ、足に縄を巻き直して、担ぎ上げるぞ」
ついてきた男たち2人がそれぞれ前足と後ろ足を縛り付け、木に挟み込み担ぎ上げた。
「良し、今度は夕方にイノシシだ」
待機所として建てた小屋に持って帰る。
棒を2本立てて、シカをぶら下げる。
「血抜きは少し時間がかかる。飯にしよう」
中から残りの男たちが出てきて、焚き火を吹き上げ、薪をくべた。
昨日のキツネの肉を捌いて、平らな石の上にのせ、焼き始めた。
ジユーっと香ばしい匂いが立ち込め始めた。
焚き火の周りに皆座り、朝飯として食べ始めた。
「イノシシは、夕方日が落ちる前から動こう。」
よしおが皆に声をかけると、オーっと皆が返した。
「今度は、全員で行くぞ。」
太陽が高くなり、風が吹き付ける中、シカの皮に切り込みを入れ、剥ぎ取り、肉を捌く。
肉をバラバラに出来ると小屋の中に入れ、土をかけて、草などを被せ、隠す事にした。
太陽が傾いてくると、皆を集めた。
「今度は全員でゆくぞ。」
よしおは、川岸にイノシシが来た時の構えを確認して、皆で移動を始めた。
よしお達、三人はまた河原の茂みの中に隠れ、後の三人は、少し川から離れたところに隠れた。
大きな一匹のイノシシがやって来た。
川辺の泥に入り込み、ドロドロにして、今度は鼻先で泥状になった土に鼻先を突っ込み始めた。
イノシシの鼻から、フンッ、フンッと大きく鼻息を吐き出す。
よしおが弓を構えた。
構えたまま、ゆっくり立ち上がり、弓を放つ。
シュ
残りの2人がさっと立ち上がり、弓を放った。
シュ、シュ
後ろにいた男たちが両手で抱えた石を投げつける。
イノシシが首元に刺さった弓に構わず、走り出す。だか、岩が3つ、ボコ、ボコ、ボコって当たる。
構わず走り出すイノシシ。
イノシシは、方向転換できず、木に向かって走り出す。
弓を捨てたよしおが、二人で大きな岩を持ち上げ、投げつける。
ボコォ
よしおが首元に石刀を何回も切りつける。
石刀が止まりそうになっても、さっと引き抜き、さらに切りつけた。
走るイノシシは、川から離れ、草むらに入り、木に向かって走り続ける。
イノシシは止まらない。大きな木にぶつかる。
皆が石をぶつける。
ボコ、ボコ、ボコってイノシシがそれでも立ち上がろうとするが、よしおは抱きつくように石刀で、何度も斬りつける。
よしおも血だらけになる。
ようやく、イノシシが倒れる。




