男どもの猟
男どもの猟
まだ縄文の世界は、木の精霊を感じて、日々の動きを感じる世界であった。
古くからこの地を見つめてきたケヤキの大木。
近くに水の湧く地形があり、岩でゴツゴツしていた。
四季を身体から醸し出すケヤキは、まるで日々の季節を身体全体で感じる精霊が潜んでいると信じられていた。
ゆかりはその動きをそっと感じていた。
そのケヤキの前に小屋があった。
この小屋はゆかりが使ってる小屋で、ゆかりの母は、ケヤキの木から生み出される四季の変化を微妙に受け取る巫女的な存在であった。
しかし母が早く亡くなり、ゆかりが次世代の巫女としてこの小屋で、暮らしていた。
木の精霊からのお告げのように、季節の変化を受け取りながら、雲の流れや風の香りこら日々の暮らしの時を感じて、それを部族に伝えることが大きな仕事であった。
そこに男のリーダーであったよしおが入ってきた。
「ゆかり、春が来る前に、風はまだ冷たいが、少し大物を求めて森の奥に向かうことにする」
「そうか、そろそろ獣も動き出す時期だと思う。冬に石刀や火打ち石が不足してると女が言っていた。ついでに探してきてくれないか」
よしおは巫女のゆかりに報告して動く。
いつものことだった。
よしおは男小屋に戻り、ゆかりへの報告を皆に伝え、男6人を連れて、荒川に向かった。
彼らは、いまの玉淀ダムを過ぎたあたりで、焚き火を作り、様子をうかがった。
まずは、キツネの穴を見つけ、狩ることにした。
三人で焚き火を作り、後の三人でキツネの穴を探した。
よしおは、他の二人が穴を見つけに動いている時に弓を準備した。
すると、男が腰を屈めよしおのところに戻ってきた。
「よしお、来るぞ」
男が知らせると、よしおが弓を構えた。
シュッ
弓の音がするとキツネが倒れた。
もう一人の男が後ろから追い立てたのである。
追い立て男がキツネを捕まえ首を切った。
焚き火の所に戻ると血抜きをして、肉をさばき、肉を石の上でバラマキ焼いた。
軽く皆で食事をとって、小屋づくりを始める。
ここに中継小屋を作って、狩りで出来た肉を置いとく為だ。
小屋が出来ると日が落ちてきた。
焚き火を残して、小屋には、三人ぐらいしか眠れない。
男どもは交代で眠り、一日を終えた。
翌朝は、川辺の草むらに身を掲げ、今度はシカやイノシシが来るのを待った。
昨日とは別に、皆緊張していた。
三人が草むらに隠れていると、残りの三人は腰を屈め、辺りを気配を消しながら歩いて、大物を探した。
荒川の流れは、ザーッという音を立てて静かに流れる。
緊張する時間が過ぎ、風が頬を伝い冷たかった。




