集団戦の提案
集団戦の提案
ケヤキの民のリーダーは、既に竹弓での狩猟に自信を持っていた。
紀元前1世紀に入った冬の頃、北川辺で交流の会が催され、ケヤキの巫女とリーダーが共に訪ねた。
権現堂の巫女も従者を連れて、訪れていた。
縄文の理で暮らす仲間的な感じで、大巫女に対する年の挨拶のようなものであった。
北川辺の大巫女の小屋の中では、正面に大巫女左隣に侍女たちが並び右側には北川辺の男たちが並んだ。
正面に向かって右側には権現堂の巫女と従者、左側には、ケヤキの巫女とリーダーが座った。
北川辺では、米作りが可能になり、酒造りの技術者が入っていてどぶろく的な飲み物が配られ、皆が大巫女につながりの重さに感謝して、乾杯し、食事が振る舞われた。
ケヤキの民のリーダーは、冬に入ったこの時期に、利根川の上流の左側に草原があり、シカの群れが生息していて、自分たちだけでは手が足りない。冬のこの時期に大きな狩りができればと考えていた。
発言の機会を得たリーダーが話始める。
「大巫女様、冬のこの時期、シカは充分、太っており群れを退治することを考えています。北川辺の皆様と権現堂の皆様と合同で狩りを行いませんか?」
大巫女はリーダーの提案に良いことと感じたが、、、
「そんなことできるのか?」
大巫女は狩猟に関しては男任せであった。すると権現堂の巫女が、
「おお、その話、面白そうだ。ワシも出るぞ、なあ皆の者」
権現堂の巫女は竹弓の名手、権現堂の男どもも大いに賛成した。
北川辺の男たちも、それなら参加するのに問題ないと発言する。
「ケヤキの民には。良き提案がある皆で話し合ってやってみてはどうか」
《リーダーの動きは、我らを結びつけるな》
大巫女は、心のなかで考えた。
リーダーは、狙い通りに話が進んだ。4日後に北川辺の広場に集まることを約束した。
北川辺では、網を作る漁期が盛んで、今回のシカ刈りには、大きな網が必要と、リーダーが言うと、冬の時期さ使わないから用意できるとのこと。
権現堂でも竹弓の名手が巫女以外にもいるらしく、参加することを宣言してくれた。
もちろん巫女も参加するらしい。
食事会になったこの会は無事終了し、シカ刈りの共闘が決まったのである。
外に出ると、日はすっかり落ちて月が大きく光っていた。
ケヤキの巫女がリーダーに伝えた。
「リーダー、三つの集落の共闘は、政治的な話にもなる。慎重にやってね」
「政治的、、、か、すまんそこまで考えてなかった。」
「違うのよ、連帯的なつながりは、政治の動きになるからということ。あなたのアイデアはいつも前向き、気をつけるのは、狩猟の役割の分担よ。頑張ってね」
リーダーは緊張した。
大きな月明かりの下で丸木舟に乗ることになった。
川面に風が吹き付けてきた。
川にいた水鳥がバタ、バタ、バタと飛び立った。




